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僕は、必死に成って、
この大陸が誕生した仕組みを考えた。
全方向が、山脈に囲まれ、
それが、海水を封じ込め、
その結果、岩塩の大地が出来たのだ。
東西の距離は、千キロ・・・
南北の距離は、それ以上である。
どの様な原理で、そんなモノが出来るのか・・・?
まるで、解らない。
幼稚な理屈では、僕は納得出来ない。
僕が、納得出来ないと、
僕は、この大陸を作ったのが、
先輩魔法使いだと考えてしまう。
その結果、本当に困った時、
僕は、自分では、解決せずに、
実在しない先輩魔法使いに祈ってしまい。
その心の弱さが原因で、魔法が発動せず、
助かるチャンスを、失う危険性があるのだ。
だから、僕は、必死なのだ。
この大陸は、自然現象によって、出来た・・・
そう確信出来る理屈を、考える必要があるのだ。
しかし、何も浮かばない。
そこで、考え方を変えてみた。
この星は、どの様にして誕生したのか・・・?
巨大隕石と、巨大隕石との激突・・・
巨大隕石が激突すれば、
そこに、大きな質量が誕生する・・・
そして、大きなモノほど、
大きな重力を生む・・・
結果、巨大隕石の激突によって、
周囲に飛び散った残骸も、
その重力に引き寄せられる・・・・
おそらく、その様な出来事で、
星の原型が誕生した。
引力は、物体の中央にある。
そして、隕石の残骸は、
その中央に引き寄せられる・・・
結果、星の中心には、大きな圧力が加わる・・・
圧力が加わると、熱が発生する。
地球が作れるほどの、
大きな隕石・・・
それが、激突して、飛び散って、
再び、中央に引き寄せられた場合・・・
その圧力によって発生した熱で、
隕石の残骸は、ドロドロに溶ける・・・
そして、マグマの玉と成る・・・
それが、生まれたての星である。
熱は、膨張する・・・
結果、真っ赤なマグマの星からは、
ボコボコと、泡が吹き出す・・・
つまり、星から、気体が噴射される。
しかし、その気体も、
重力の影響を受ける・・・
その為、宇宙には飛んで行かない・・・
星の周囲に、とどまる。
それが大気圏である。
星の内部から、気体が噴出し、
その代わりに、
マグマが星の中央に引き込まれる・・・
これを繰り返す事で、
大気圏内の、大気量が増える・・・
すると、雲が発生して、雨が降る・・・
すると、マグマの星の地面は、
雨の影響で固まる・・・
しかし、内部は、まだ熱い、
結果、熱膨張の影響で、
噴火が起こる・・・
それが火山である。
降り注いだ雨は、
地面の熱で、再び蒸発して、
雨に成る。
この繰り返しを続ける事で、
マグマの星は、
全てが海でおおわれ・・・
そして、その海は、沸騰して、
湯気が上がり・・・
雨が降り続ける・・・・
その繰り返しによって、
星は少しずつ冷やされ、
海底は、分厚く固まり、
丈夫な地面と成る。
しかし、星の内部の熱膨張が、
無くなった訳ではない。
結果、海底火山が生まれる。
そして、噴出した分、
固まった地面が、星の内部に引き込まれる。
その現象が、地面の移動を生む・・・
それが、大陸移動の原理である。
引き込まれ、移動して来た地面が、
激突して、海底山脈を作る。
それによって、
今まで、地面を、
星の内部に、引き込んでいたポイントが、
海底山脈で、閉じられる。
結果、今度は、別の場所が、
星の内部に引き込まれる。
おそらく、その様な繰り返しで、
海底内に、次々と山脈が出来・・・
それが、東西南北の全方向を、
山脈で囲まれた環境を作った。
その後、
星の、熱は引いて行く・・・
その結果、太陽熱を受け難い場所、
つまり、北極と南極に、
氷が出来る・・・
そして、その氷の上に、雪が積もる・・・
それを繰り返す事で、
北極と南極に、
雪の大地が誕生する。
すると、その分、海の水が減る・・・
結果、海底山脈の頂上が、
海から顔を出す。
そして、そこにも雪が積もる。
すると、その分、海の水が減る・・・
これを繰り返す事で、
他の海底山脈も
海から顔を出す。
それが、我々の暮らす、
この大陸である。
東西南北、全ての方角が、
山脈で囲まれた海底山脈・・・
それが、海面の低下で、
海上に姿を現した。
結果、山脈内に海水が残る。
後は、その海水が蒸発して、
岩塩の大地を作った・・・
その後、風化で、山が崩れ、
その土が、ネズミの森を作った・・・
その土の一部が流れ出し・・・
枯れた大地を作った・・・
つまり、この環境は、
『自然に誕生したモノだ・・・!』
僕は、その様に納得した。




