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僕は、悪魔である・・・
僕は、災害、そのモノなのだ。
多くの命を奪う・・・
つまり、僕は、死ぬ訳には行かない・・・
僕が、死ねば、再び、僕の無意識が、
僕の魂を、何処かに移動させる。
そこで災害が起きる・・・
『だから、絶対に死ねない・・・』
本音を言えば、死ぬのが恐い、
そんな僕が、
『もう、生れ変らなくてもいい!』
『魂が消滅してもいい!』
その様に、考えても、
僕が死んだ場合には・・・
僕の無意識は、
僕の魂を、
瞬間移動させるだろう・・・
結果、再び、どこかに、
壊滅的被害を、与えるだろう・・・
『つまり、僕は死んではいけない・・・』
『死なない方法を、考えるんだ・・・』
何度も、何度も、考えた。
しかし、生き延びる方法・・・
それが解らなかった。
一方、3人は、ドングリを拾い集め、
母のリックを、パンパンにしていた。
「ドングリの木、赤ちゃん」
祖母が、ドングリの木の苗木を見つけた。
そこで、その苗を瞬間移動で回収。
それ以外にも、
甘い実の成る木、
通称、ガムの木、
食べられるキノコ、
なども、回収、
一箇所に集め、家族も集合。
次の瞬間、
我々は、岩塩の大地・・・
通称、塩漬けポイントに居た。
行きは徒歩で1日半かかったが、
帰りは一瞬だった。
この塩漬けポイントから、
ネズミの拠点までは、
180キロあるが、
瞬間移動は、この数日で大きく進歩している。
その為、数分後、ネズミの拠点に到着、
時刻は、昼の12時
全員元気である。
昼食を後回しにして、
通称・1番川に来た。
今回、集めたイモの数は、80個、
その中の40個を、
昨日、作った畑・・・
通称、1番畑に埋めた。
そして、川の水を、
畑の上6メートルの位置に瞬間移動・・・
それが、雨の様に落下して、
一番畑に降り注いだ。
次に、ネズミの森で、
直径、30センチ程の木を、
小石を使った瞬間移動で切断・・・
倒れた木を、更に切断、
結果、直径30センチ、高さ、30センチの、
丸太の輪切りが出来た。
とは言っても、
小石で切断したので、
その丸太の上下は、
まるで、トタン板の様に波打っている。
次に、その丸太の輪切りを、地面に置く、
トタン面が、地面と空方向を向いている。
『これは、地面だ・・・』
僕は、自分に言い聞かせると、
次の瞬間、丸太の輪切り内部が消失して、
丸太の隣に、円柱の木材を出現した。
つまり、丸太の内部を、くり抜き、
木製のバケツを作ったのだ。
高さ30センチ、
直径30センチ、
内径25センチ、
深さ25センチ、
後は、これを繰り返し、
バケツを10個作った。
今日は使わないが、
今後は、これを使って、
水やりを行ってもらう。
しかし、このバケツには、
致命的な欠点がある。
このバケツは、重い・・・
その上、乾燥すると割れる。
森の木々は、
塩害の影響で、全て枯れている。
そして、その木々の多くに、
亀裂が入っている・・・
今回、切り出した、丸太は、
亀裂の無い部分を選んだが、
割れるのは、時間の問題である。
そこで、バケツに土と水を入れる。
結果、バケツの中は、ドロで満タンに成る。
理想は、このバケツに石を入れ、
水に沈めて置きたいのだが・・・
川の近くに、
バケツを沈める専用の池を作った場合、
それが、何かの被害を生むのか、予想出来ない。
今後、
水不足が起きるのか・・・?
洪水を起きるのか・・・?
全く解らないのだ。
その為、畑の近くに、池など作れない。
そこで、ドロによる水分補給で、
バケツの乾燥を、防ぐ事にしたのだ。
その上で・・・
バケツに、回復魔法を送った。
僕は、生前、割れたガラスのヒビを、
消した事がある。
2枚のガラスを融合させ、
1枚のガラスにした事もある。
『僕が死んだ後も、皆の役に立って下さい・・・』
僕は、神様を信じないが、
こんな時は、祈ってしまう・・・
祈りとは、一体、何なのか・・・?
誰に、お願いしているのか・・・?
その誰かは、お願いに対応出来るのか・・・?
冷静に考えれば、
その様な、誰かなど存在しない。
しかし、人は、願ってしまう。
それが人間なのだ。
次に、川の向こう岸に
ドングリの苗を植える。
3本植えた。
そして、その後は、
1メートル感覚で、
ドングリを埋めて行く。
結果、
1番川の、
北岸には、芋畑、
南岸には、ドングリの森予定地・・・
それらが完成した。
その後、埋めた、芋、ドングリの苗、ドングリ、
それ以外の苗、
それぞれに、回復魔法を送った。
では、次である。
現在、残った芋の数40個、
その内の5個を、
通称・1番池の周囲に埋める。
5個を、2番川・・・
5個を、2番池・・・
5個を、3番川・・・
5個を、3番池・・・
5個を、ネズミの森と湿地帯の境界線。
という様に、分散して、埋めた。
これらは、基本的に、水をやらない。
自然農法・・・
つまりは、1番川の芋畑以外は、
放置するのだ。
現実問題、父や祖母が、水やりに行くには、
遠過ぎるのだ。
しかし、洪水や、水不足で、
1番川の芋畑が、壊滅した場合を考えれば、
何か保険が必要である。
『放置で育つのか・・・?』
それは疑問だが、
池の近くの地面・・・
つまり、水分のある地面・・・
そこで芋が育つのか、腐るのか・・・?
どの程度の水分なら良いのか・・・?
湿地帯レベルでも良いのか・・・?
池の近くレベルが良いのか・・・?
それを確かめる必要もあるのだ。
では、次である。
この数日、暖かい日が続いている。
つまり、春が近いのだ。
結果、ネズミの森の雪も、完全に溶けている。
そこで僕は、決意した。




