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南のジャングルから、一瞬で逃げ帰り、
父と祖母が、弓矢を発明した。
その翌日、我々は、
再び、南へと出発した。
しかし、ジャングルを目指す訳では無い。
我々は、イカダに乗り込み、
ネズミの拠点から、
10キロ先にある、川の跡に来ていた。
ちなみに、僕は、まだ、胎児なので、
実際、イカダに乗っているのは、
父、母、祖母、タロ、である。
到着後、
僕が、ネズミの森から木を選び、
母が小石を投げ、
僕が、瞬間移動を行い、
直径40センチ、長さ2メートルの、
丸太を用意する。
そして、その丸太を、地面に瞬間移動させる。
刺すのでは無く、
寝かした状態で、半分埋まる・・・
その様に移動させた。
すると、その部分の土は消滅して、
結果、地面に、
深さ20センチ、
幅40センチ、
長さ2メートルのミゾが出来た。
『消滅した土は、どこに行ったのか・・・?』
その様な疑問を感じるが、
僕には、解らなかった。
正直な所、不安ではあるが、
僕の、魔法は、家族の為に発動する。
結果、僕の、無意識は、
家族の、害に成る事は、
実行しない、ハズである。
だから僕は、
丸太を地面に、瞬間移動させ、
土を消滅させる事にした。
川跡から、南へ20キロ先の、
湿地帯に向けミゾを作って行く。
10分程度で、湿地帯に到着・・・
湿地帯の水が、ミゾに流れ込み、
川跡に流れて行く。
『ミゾが小さ過ぎるか・・・?』
と思ったが、
そのミゾは、水の流れで、削られている。
つまり、今後、このミゾは、
適度なサイズに成長する訳である。
では、次に、
ネズミの拠点から見て、
湿地帯の向こう側に移動する。
そして、その先に進み、
ネズミの拠点から見て、2番目の川跡に到着、
再び、丸太を使い、ミゾを作りながら、
先程の湿地帯に引き返す。
その距離20キロ、
これにより、深さ3センチの、湿地帯の水は、
ミゾを通り、川に向かい流れ始めた。
現在、行き場の無い水が、
ネズミの森に広がり、
それが平原に出て、
大きな湿地帯に成っている。
しかし、今回、その水に行き場所を作った事で、
森の中のに、広がっていた水も、
一定方向に、流れる様に成る。
結果、森の地面が削られ、
小川が出来る。
結果、湿地帯は、縮小して、
将来的には、川として機能する・・・
ハズである・・・
しかし、不安があった。
『今後も、水は流れて来るだろうか・・・』
我々が、北と南を調査した結果、
山脈も森も、
その全ての木々が、枯れていた。
つまり、地面の保水力が、低下しているのだ。
森の木が枯れると、
森の湧き水が無く成る・・・
山も同じである。
大雨が降った時だけ、
土砂崩れの様に水が流れ、
雨が止むと、川が枯れる・・・
現在、その様な環境なのだ。
僕の計画では、
川に近くに畑を作り、
作物を育てる予定なのだが・・・
『水が無くなったら・・・』
僕は、自分の計画が、無謀に思えた。
『何とかして、未来が見えないだろうか・・・』
だが、その方法が、思い浮かばない・・・
僕が、僕を納得させ、未来を見る方法・・・
その理屈を考え出す事が、出来なかった。




