表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは魔法の書です。  作者: わおん
155/2340

155

現在、ネズミの拠点・・・



昼に成り、


焼肉を食べる最中も、


父は、考えていた。



矢は、遠くに飛んだが、


孫の手方式では、駄目なのだ。



孫の手を使うと、


投げる動作が、大きく成り、


結果、矢が飛び出す瞬間、


獲物に、こちらの存在を知られるのだ。



つまり、先ほど、南で見た矢は、


孫の手方式で、飛ばしたモノでは、無いのだ。



では、どの様にして、飛ばしたのか?



父は、一生懸命に考えている。



そして、その事に僕は、疑問を感じた。



『なぜ、魔法の力だと、思わないのか・・・?』



僕という魔法使いが居るのだ。



南の原始人が、魔法使いだとは、思わないのか?



僕には、常識がある。


魔法使いなど居ない事を、理解出来る。



しかし、父には、その様な常識は無い。



僕という存在が現れ、


魔法を使うのだ。



そんな父にとって、


未知な出来事は、魔法と同じ事なのだ。



それなのに、父は、なぜ、


あの弓矢を、魔法だとは考えないのか?



しかし、この様な質問は、


父の一生懸命を、馬鹿にする様に思え、


僕は、その答えは、聞けなかった。



その時だった・・・



祖母が、左手に持った小枝の先に、


人差し指をあて、


その枝を曲げた。



そして、指を離す・・・


すると、枝が真っ直ぐに戻る・・・



父も、その光景を見ていた・・・



これにより、父と祖母は、何かに気付いた。



昼食後、


父は、長さ、2メートル、太さ、2センチの、


通称、槍木の棒を用意した。



それを、地面に立て、祖母が、それを支える。



父は、棒の先に矢をあて、棒を曲げる・・・



そして、手を離す・・・・



すると、矢は、ほどんど飛ぶ事なく、


地面に落ちた・・・



しかし、父と祖母は、それを元に考える。



何が原因なのか・・・?


なぜ失敗したのか・・・?



そして、槍の木の棒が2本に増えた・・・



祖母が左右の手に、棒を1本ずつ持ち、


地面に建て、身体で支える。



そして、その棒の先には、


ツルが張られている。



つまり、スリングショット・・・


別名・パチンコである。



使われているのが、


ゴムでは無く、ツルであり、


ゴムの代わりに、棒の反発、


それで、矢を飛ばそうとしているのだ。



結果は、失敗であった。



理由は、父の力が強すぎて、


祖母では、支えられないのだ。



そもそも、この様な構造では、


狩りには使えない。



が・・・



次の瞬間、祖母が、ひらめいた。



長さ2メートル、太さ2センチの棒・・・


その先に、ツルをくくり付ける。



そして、棒を曲げ、もう一方の先に、


ツルの、もう一方の先をくくり付けた・・・



つまり、弓が完成したのだ。



父と祖母は、弓を見た事など無い・・・



数時間前、矢が飛んで来た・・・


そして、それが、凄い技術だと理解した・・・



そして、その仕組みを考え・・・


そして、再現したのだ。



祖母の作った弓は、ツルの張りが弱く、


それほど、飛ばなかった。



しかし、父が張り直すと、


矢が、うねりながら10メートル以上飛んだ。



それを見て、祖母は理解した。



祖母は、数時間前に、一瞬だけ見た矢を覚えていた。



矢には、羽が生えていた・・・



「羽、大切、羽、遊び、違う、羽、大切・・・」



祖母には、空力などは解らない、


しかし、鳥は、羽で飛ぶ、



そして、あの時見た矢にも、羽があった。


偶然では無い・・・


それを理解したのだ。



しかし、羽が無い・・・


すると、祖母は、皮で羽の代用品を作り始めた。


そして、それを、皮ヒモで固定する。



それは、幼稚な工作に見えた。



『羽とは、モノが違う・・・』


『僕なら、絶対に挑戦しない・・・』


『やる前に、無駄だと理解出来る・・・』



しかし・・・・


その矢は、15メートル飛んだ。


飛距離が5メートル増えたのだ。



皮がオモリに成って、


矢の飛行に、安定を与えたのだ。



僕には持論がある。



僕のクローンだけの世界・・・



その世界では、


コンピューターは発明出来ない・・・



車も、電気も、実用出来ない・・・



永遠に原始時代を続ける事に成る。



つまり、僕の発想だけでは、


進歩が得られないのだ。



しかし、現実の世界は違う。



「誰か」が、何かを発明して、


それが、生活に進歩を与えた。



そして、次の「誰か」が、


それを、改善して進歩させた。



そして、その進歩を積み重ねが、


コンピューターを、生み出したのだ。



そして、ここには、その・・・


最初の「誰か」が居るのだ。



『将来が、楽しみだ・・・』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ