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これは魔法の書です。  作者: わおん
14/2276

014

幼稚園から帰宅後・・・


母は、家の前で、郵便屋さんと話を始めた。



つまり、チャンスである。



僕は、家の中に入り、


自分の部屋に行って、服を着替えた。



『実験が出来る・・・』



以前、僕にとって、実験とは、


僕は、本当に魔法使いなのか・・・?


それを確認する為のモノであった。



しかし、現在、僕にとって、実験とは、



『どうすれば・・・』


『自在に、魔法が使えるのか・・・?』



その為のモノに、成っていた。



魔法を発動させる為には、


その様に、考える必要があったのだ。



『魔法は、使えて当然・・・』



芝居では無く、本気で、


その様に、思う必要があったのだ。



しかし、



『では、何をする・・・?』



その時である。



『あっ 何か飛んでる・・・?』



それは、羽毛だった。



おそらく、ダウンジャケットから、


出たモノである。



長さ1センチ・幅3ミリ程度、


とても小さく、見失いそうである。



それは、まるで、


意志を持って、飛んでいる様に見えた。



それが、少しずつ、床に向かって降りて行く。


僕は、もう少し、それを見ていたかった。



すると、その羽毛は、上昇した。



『偶然・・・?』



僕は、羽毛に、息が当たらない様に、


手で口元を隠す。



再び、床に向かって、降りていく羽毛。


僕は、もう少し、それを見ていたかった。



すると、それが再び上昇し、


僕の目線の高さに・・・



それを、何十回、繰り返しただろうか?



『偶然では無い・・・』



僕は、確信した。



『魔法が発動している・・・』



その瞬間、世界が「ぐるり」と1回転した。



実際には「めまい」に襲われたのだ。


意識が薄れて行く・・・



僕は、理解した。



『また、やり過ぎた・・・』


『気を失うんだ・・・』


『頭を打ったら、危ないって言われてた・・・』



すると、僕は、ゆっくりと倒れた。


まるで羽毛の様に・・・




気付くと、僕は、病院にいた。



郵便屋さんとの話を終え、家に入った母が、


部屋で倒れている僕を、発見したのだ。



その後、意識不明のまま、救急車で病院に運ばれ、


精密検査を受けたそうだ。



医師が、5歳の僕にも解る様に、


説明してくれた。



その話によると・・・



原因は、脳を働かせる為に必要な「ブドウ糖」


それが、全く無い状態だったらしい。



結果、ブドウ糖の点滴で、


僕の意識は、回復した様である。



医師も母も、


僕が、羽毛を、飛ばしていた事など知らない。



魔法の使い過ぎで、


脳がブドウ糖を、大量消費したなどと、


解るハズもない。



その為、僕は、ブドウ糖が不足する体質・・・


その様な、結論が出たらしい。



病院のベットで、横たわる僕は、


異常な感覚に、興奮していた。



頭が冴えているのだ。



その理由は、おそらく、


このブドウ糖の点滴である。



周囲の会話で、理屈は解った。



頭を使うと、ブドウ糖が不足する。


それが無くなると、僕は倒れる。


ブドウ糖を補給すると、僕の頭は回復する。



『これ、家に欲しい・・・』


『これがあれば、賢く成れる・・・』



僕は、そう思った。



『これがあれば、魔法が使える・・・』



僕は、そう核心した。



『でも、腕に針を刺すのは恐い・・・』



この時、僕の腕には、針が刺さっていたのだ。



『動いたら死ぬ・・・』



そんな気持ちに成った。



30分後、点滴が終了した。


僕は、退院出来ると思っていた。



しかし、である。


念の為に、明日の朝10時まで入院・・・


その後、再検査を行う。



その様に、話が進んでいる。



『もう、治ったのに・・・』


『よし!ゴネて、帰らせてもらおう・・・!』



と思ったが、雰囲気的に、


その様な状況では無い事が、理解出来た。



僕は、難病という事に、成っているのだ。



そして、奇跡が起こる。



「1時間ごとに、ラムネ菓子を3粒食べなさい」


医師の判断で、その様な、決まりが出来たのだ。



最初、なぜラムネなのか、解らなかったが、


どうやら、ラムネには、ブドウ糖の点滴と、


同じ効果があるらしい。



幼児の僕は、その様に理解した。



『針を刺さなくても良い・・・』


『家でも使える・・・』



僕は、早く家に帰って、羽毛を飛ばしたかった。



しかし、その日は、入院する事が決まっていた。




夜中、病院のベッドの上・・・


目が冴える。


頭が冴える。



夜、ラムネを食べる事は、禁止されていた。


だから、僕は、それを守っている。



でも、体力が、有り余っているので、眠れない。



『よし!眠る練習をしよう!』



僕は、以前、入院レベルの筋肉疲労を、


一晩で回復させた事があるのだ。



僕は、その方法に、ヒントを得た。



筋肉疲労を抜く為には、


『力を抜いて、ファーと流し出す・・・』



これを応用して、


『頭の冴えを、ファーと流し出せば眠れる・・・』


そう考えたのだ。



仰向けで、顔が天井に向いている姿勢。


力を抜くには、これが効率的である。



目を閉じる。



頭の冴えを、液体の様にイメージする。


それがスポンジから流れ出す・・・



『あれ・・・?』



その瞬間、僕は、不思議に思った。


いつの間にか、目を開いていたのだ。



これでは駄目だ。


もう1度目を閉じる。



しかし、


『あれ・・・?閉じてる・・・?』


僕は、目を閉じた状態であった。



少し、違和感を覚えたが、


もう1度、目を閉じて再開。



『あれ・・・天井が見える・・・?』



僕は、不思議に思う。



『目は、閉じてる・・・ハズだ・・・』


『それとも、無意識の内に・・・』


『薄目を開けて、いるのだろうか・・・?』



天井が見えた。



もう1度、目を閉じて再開・・・


閉じたのだから、何も見えない。



ところが、しばらくすると、



『天井が見える・・・・』



僕は、マブタを手で確認してみる。



『閉じている・・・・』



そして、天井は見えない。



僕は、手で顔を隠した。


これなら、もし目を開けても、天井は見えない。



その状態で、もう1度、目を閉じて再開・・・



『見える・・・・』


『手で隠しても、見えている・・・』



天井が見えるのだ。


ところが、少しでも動くと、見えなく成る。



そこで今後は、身体の右側を下にして、


横を向き、壁の方を向いた状態で、


手で顔を隠し、目を閉じる。



すると、


『見えない・・・』


何度か試したが、見えない。



その後、左側を下にして挑戦・・・


『見えない・・・・』



もう1度、仰向けに成って挑戦・・・



気持ちを落ち着け、頭の冴えを液体にして、


流れ出させる・・・



『見えた・・・』


『なぜ・・・?』



理由は、解らないが、目を閉じても、


天井が見えた。



『本当に天井が、見えているのか・・・?』



そんな疑問が、湧いて来た。



目を開いて、天井を確認するが、


暗くて、はっきり見えない。



『見えているのが、本当の天井なのか・・・?』


『それとも、空想の天井なのか・・・?』



『答え合わせが出来ない・・・』


『明日の朝、確認しよう・・・』



その為には、今の内に、


目を閉じた状態で、天井を見て、


その特徴を、覚えておく必要があった。



もう、手で顔を隠す必要は無い。


普通に、仰向けに成って、目を閉じる。



しばらくすると、



『見える・・・』



しかし、観察しようとした瞬間。



『見えない・・・消えてしまう・・・』



これを、何度も繰り返した。



『頭の冴えを、流れ出させる・・・』



その結果、天井が、ぼんやりと見える。



しかし、細かい特徴を見ようと、


一点に集中すると、見えなく成るのだ。



その後、僕は眠ってしまったらしい。



朝起きて、ベットの上に立ち上がり、


天井を見たが、特徴を記憶していないので、


答え合わせが、出来なかった。



『本当に、見えていたのか・・・?』


『それとも、思い込み・・・?』


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