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3人と1匹は、イカダの上に乗って居る。
しかし、それは、水の上では無く、
地面の上である。
これを使い、家族全員で、瞬間移動を行う、
これが、あれば、足に何かが刺さる心配は無い。
そのサイズは、
縦2メートル、
横1メートルなので、
少々、せまい・・・
しかし、これ以上、大きなサイズを作る技術は、
我々には無かった。
『壊れるのでは・・・?』
その様な不安を感じながら、進んで行く。
しかし、
100メートル刻みで進んだが、
壊れる様子は無い。
そこで、その後は、
300メートル刻みに切り替えた。
以外と、丈夫な様である。
右手方向に、ネズミの森を見ながら、
北を目指し、枯れた大地を進む。
ネズミの森は、
おそらく、岩塩の大地が完成した後、
雨によって、山から流れ出した、土によって、
出来たモノである。
そして、枯れた大地は、
ネズミの森から、流れ出した土で、
出来たモノである。
結果、巨大な岩などが1つも無い・・・
全くの平地である。
僕の理屈では、
この枯れた大地は、
岩塩の大地に向かい、
傾斜している・・・?
ハズなのだが、
僕には、解らないレベルであった。
北に向かい順調に進んで行く・・・
僕の移動魔法は、進歩していた。
見えない手の様なモノで、
300メートル先の地面を、
確認・・・
その感触で、イカダが安定するポイントを探す。
その為、瞬間移動の際、
イカダへの負担は少ない。
元々、その場所のあった様に、
安定している。
千里眼に関しても、
ズームと、周囲観察と、音を見る千里眼、
それらが複合的に働く・・・
結果、300メートルを、1秒程度で移動出来る。
そして、回復魔法に関しても、
進歩していた。
現実問題、1秒間隔で、風景が切り替われば、
誰だって、目や脳が疲れる・・・
昨日は、何も無い岩塩の大地であった為、
それ程、問題は無かったが、
今日は、右側に、ネズミの森が見えている。
結果、無意識的に、それを見てしまい。
目が疲れる。
ところが、3人と1匹に、
その様な疲労は全く無い。
これが、魔法を理解して使う効果である。
これを実行して、問題は無いのか?
家族の為には、何が必要なのか?
僕の、魔法に、何が出来るのか?
それを考え理解する事で、
魔法の効果が、向上するのだ。
昨夜、瞬間移動の仕組みと、
安全性を考えた事は、
無駄では無かったのだ。
僕は、その様に実感した。
北に20キロ程、進んだが、
ネズミの森は、枯れている・・・
『変化が無い・・・』
と思っていたら、
我々の前方に、川の跡が現れた。
川幅は、約6メートル・・・
深さ、約3メートル・・・
川底は、バキバキに、ひび割れていて、
それが、ネズミの森から、
岩塩の大地方向に、続いている。
瞬間移動を使えば、
この程度の川の跡など、
何事も無く通過出来るのだが、
ここで、疑問である・・・
『この川は、どこまで続いている・・・?』
家族も興味津々である。
そこで、進路変更、
川の跡に沿って、岩塩の大地方向に進む。
この川の跡は、S字カーブをしていた。
どの様な理屈なのか・・・?
『岩1つ無い、平地で、なぜ・・・?』
『どの様な理由で、川が曲がった・・・?』
結局、答えなど出ないが、
そんな事を考えながら、
数キロ進むと、ゴールが見えた。
池の跡である。
水は無い・・・
大きさは
『小学校の校庭くらい・・・?』
形状は、
『台形・・・』
深さは、
『4メートル・・・?』
周囲は、斜面に成っており、
その気に成れば、徒歩で、底まで歩いて行ける。
しかし、我々は、その様な、危険な事はせずに、
池の周囲を、イカダで移動しながら、底を観察した。
『魚の痕跡は、見つけられないが・・・・』
『あれは、貝殻だ・・・死んでいる・・・』
『それと、動物の骨が目立つ・・・』
『津波の後に、死んだモノだろうか・・・?』
などと見ていると、
干からびた恐竜の死骸があった。
死後硬直が原因なのか・・・
不自然に捻じ曲がった、その姿は、
最初、恐竜とは思えなかった。
しかし、念入りに観察すると・・・
その形状から、
おそらく、2ヶ月前、
我々が目撃した恐竜、
あるいは、その同種と思われる。
僕は、その事を、家族に説明する。
3人と1匹にも、それは見えているが、
僕の様に、ズーム機能が使える訳では無いので、
納得行かない様子である。
そこで、僕は、家族に説明した上で、
恐竜の死骸を、
我々の、4メートル前方の平地に、瞬間移動させた。
千里眼を使い、周囲の安全を確認、
3人と1匹は、イカダを降りて、
恐る恐る、恐竜の死骸に近付く・・・
『死因は、塩分の過剰摂取・・・?』
『津波を生き延びた動物を、食べ尽くし・・・』
『その後、飢えをしのぐ為・・・』
『池の泥水を飲んだ・・・?』
『そのドロ水は、津波の影響で塩水だった・・・』
その恐竜の死骸は、
のた打ち回って、死んだ様な印象を受けた。
そして、ある可能性に、気付く・・・・
『ネズミ・・・ネズミから逃げて来た・・・?』
『飢えたネズミの大群・・・』
『一体、何を食べた・・・?』
『何を食べて、大量に増えた・・・?』




