137
深夜、家族が寝ているので、僕1人の時間・・・
僕は、考えていた。
どの様な原理で、魔法は発動しているのか・・・?
生前から、その事は、不思議に思っていた。
何かを動かす為には、エネルギーが必要なのだ。
そして、気付いた。
『砂利で、鳥の向こう側を狙う・・・』
『その時、僕から、鳥の向こう側までの直線・・・』
『本来、砂利が、飛んで移動するハズの直線・・・』
『その直線上にある素粒子・・・・』
『それを、瞬間移動のエネルギーとして・・・』
『消費している・・・?』
そして、気付く・・・
『じゃり・・・?』
『母は、砂利を投げている・・・』
牛を殺した時は、石1個だったが、
それ以前の獲物に対しては、
『1個の石では無く・・・』
『数個の石粒・・・つまり砂利を投げていた・・・』
つまり、その1粒・1粒が、
直前上の素粒子を消費して、瞬間移動していた。
結果、その直線上の、
雨粒、草、鳥の頭部、
今回の場合は、1個の石が、牛の後頭部・・・
それらが、エネルギーとして消費され、
瞬間的に消滅した。
結果、雨粒や、草や、鳥の頭部は・・・
その一部を、突然失い・・・
『結果、吹き飛んだ様に見えた・・・』
そこで、疑問が生まれる。
『では・・・・?』
『瞬間移動を行った瞬間・・・』
『エネルギーとして消費された直線は・・・?』
『真空・空間に成るのか・・・?』
『だとしたら・・・』
3人と1匹が瞬間移動した後には、
大きな真空トンネルが出来て、
不自然な風が発生する・・・
『しかし、その様なモノは発生していない・・・』
僕は、絶えず、全方向が見えているのだ。
岩塩の地面から、塩の砂が、
舞い上がる光景など、見ていない・・・
そして、次の疑問が生まれる。
『家族が、瞬間移動する時・・・・』
『足が接している地面は・・・?』
『直線上の地面は・・・?』
『なぜ、地面の素粒子は、消費されない・・・?』
『地面に、消費された痕跡は無い・・・』
そして、考える。
この世界での、僕の魔法は、
誰かの役に立ちたい・・・
誰かの為に必要・・・
その様な動機で、発動している。
それを、瞬間移動に置き換え、考えてみる。
移動するのは、大切な家族である。
牛だって、大切な食料である。
そんな家族を移動させた直後・・・
『真空・空間が発生して・・・』
『家族に、被害が出たら・・・』
と考えた場合・・・
僕なら、
『エネルギーは、別の場所から、取れば良い・・・』
と考える。
『結果、僕の無意識は・・・』
『それ以外の場所から、素粒子を消費していた・・・』
『それが、その時、軌道上に存在した物体・・・』
つまり、
『鳥の頭部や・・・牛の後頭部を消費した・・・』
『だから、母の手は、真空の被害を受けない・・・?』
『僕の無意識が・・・』
『瞬間移動で、被害を出さない様にしている・・・?』
『僕の無意識には、それが出来る・・・?』
これが、現段階での、
僕が、僕を、納得させた瞬間移動魔法の、仕組みと、
その安全性である。
本音を言えば、
家族さえ無事であれば、
他は、どうでも良かった。
僕が、知りたかったのは、
瞬間移動を使っても、
家族に被害が出ないのか?
という事であった。
そして、僕は、
『家族には、被害が出ない・・・』
その様に納得したのだ。
これにより、僕の瞬間移動魔法は、
向上したハズである。
魔法には、呪文など存在しない・・・
しかし、魔法の仕組みを、考え納得する事で、
その魔法は向上する。
あえて言うなら、
それこそが『魔法の呪文の正体である』
そして、僕は、気付いた。
明日が楽しみである。




