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これは魔法の書です。  作者: わおん
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現在、牛の大地、オアシス付近・・・



僕は無知であり、僕の判断には、失敗が多い。



つまり、


この状態で前進するのは、危険である。



『では、どうする・・・?』


『手ぶらで帰るのか・・・?』



と考えていると、



牛の群れの後方・・・


その中の1頭が糞をした・・・



群れの前方は、すでに、斜面を下り、


水を飲んでいる様だが、


後方の牛は、まだ、斜面を下りられずにいる。



その中の、1番後ろ・・・


たった今、糞をした1頭に注目する。



その瞬間、僕は、母に、


石を投げてもらう。



砂利では無く、


直径2センチ程の、石である。



恐竜との戦いを考え、


母が、砂利とは別に、用意したモノである。



母が、その小石を1つ投げた。



次の瞬間、僕は、


その石を包み・・・


牛の後頭部を、ズームで見る・・・



『頭を、撃ち抜かない・・・』


『後頭部側の、頭蓋骨を貫通させ・・・』


『脳を貫通させ・・・』


『おでこ側の、頭蓋骨の内壁で停止する・・・』



そのイメージ・・・



もし、ここで、牛の頭を撃ち抜き、


血や脳が飛び散ったら・・・・



牛が暴走して、大切な恐竜を


殺してしまうのでは・・・?



という不安があったからだ。



次の瞬間、


後頭部を打ち抜かれた牛が、



「ピクリ」と動いた。



その瞬間、その牛を包み込み、


岩塩の大地方向・・・


ここから、1キロほど先の地面をズーム、



次の瞬間、


牛が、その場所の出現・・・


そして、倒れ込んだ。



他の牛は、その出来事に無反応である。



もちろん、消える瞬間を見た牛も、


何頭かは居たかも知れない。



しかし、平然としている。



『パニックは、起こっていない・・・』



僕は、それを確認すると、


3人と1匹に、密着してもらい、


今来た、牛の足跡ラインを、


100メートル刻みで移動しながら、


1キロ先に横たわる、牛の元へと向かった。



牛は、痙攣していた。



『脳を破壊しても、痙攣するのか・・・』



今後、この方法で牛を狩る場合には、



痙攣が始まる前に、移動させる必要がある。



暴れる動物を、包み、移動させる事は、不可能・・・


それは、多くの鳥で確認済みである。



痙攣が続いている・・・



『これでは、移動出来ない・・・』


『大丈夫か・・・』



僕は、不安を感じた。



ここは、まだ、牛の大地である。


岩塩の大地は、まだ数十キロ先である。



牛の後頭部からは、血が出ている・・・


その量は少ないが、


出血は確認出来る。



1.3キロ先には、恐竜が居るのだ。



『匂いは、どの程度、届くのだろうか・・・?』



生前、テレビで、



『○○は、数キロ先の血の匂いを嗅ぎわけ・・・』



というフレーズを聞いた記憶がある。



つまり、



『この状況・・・危険でなのでは・・・!』


『早く移動したい・・・』


『早く痙攣が止まって欲しい・・・』



そんな中、父が動いた・・・


牛の耳の後ろに、槍を叩き込んだ・・・


と同時に、



岩塩の大地を指差し、


僕に合図、



次の瞬間、


牛の死体は、


そのままの状態で、


1キロ先に移動した。



我々は、100メートル刻みで、


そちらに向かう・・・



『全員、牛の上に乗れば・・・』


『同時に1キロ先に行けるのでは・・・?』



現在、我々が、


100メートル刻みで、移動している理由は、


移動地点の、安全確認の為である。



それ以上、遠くの地面は、


目視による安全確認が困難に成る。



その不安が、僕の無意識に作用して、



100メートル以上の移動を、


不可能にしている。



ところが、牛の死体であれば、


1キロ移動出来たのだ。



つまり、安全に関する不安が、軽減出来れば、


我々も、一瞬で、1キロの移動が、出来る訳である。



などと、考えながらも、



牛を1キロ先に、移動させ、


我々は、100メートル刻みで、


それを追う・・・



その繰り返しを続け、


岩塩の大地に到着した。



そこで、ひらめいた。


まず、牛を1キロ先に移動させる・・・



そして、次の瞬間、


その牛を、もう1メートル先に、移動させる・・・



つまり、牛が、移動した1キロ地点は、


死体とはいえ、牛の身体が1度、


乗っかった地面である・・・



その場所に、サソリや、ヘビがいた場合、



それは、牛の乗られて死んでいる・・・



もちろん、岩塩の大地に、


蛇やサソリが居るとは思えない。



ここは、岩塩の大地なのだ。



エサが居ないのだ。


水も無いのだ。


生きて行ける訳が無いのだ。



そして、何よりも、重要なのは、


ここが岩塩の大地であり、


千里眼のズーム機能で、


移動地点の目視確認が、


可能なのだ。



ズーム機能なので、


見れる範囲は、小さいが、



それでも、


牛が1度乗っかり安全確認、



その後、牛をのかせて、


ズーム機能で、その場を、


もう1度、目視で確認、



実際、サソリなど、生き物が居ない事は、


解っているのだ。



石や枝など、足に刺さるモノが無い事も、


解っている・・・



結果、僕の無意識も、



『これなら大丈夫!』と判断する。


と、僕は、僕に言い聞かせると、



次の瞬間、



我々は、1キロ先に移動していた。


先ほど、牛が一瞬だけ、乗った地面である。



この後は、簡単だった。


牛を、1キロ先に移動させ、


その直後、もう1メートル先に移動させ、


牛が、のいた場所に、我々が移動する・・・



この方法を使う事で、


行く時は、約3時間かかった道のりが、


帰りは、1時間かからなかった。



枯れた大地に到着・・・



岩塩の大地と、枯れた大地の境界線付近・・・



父は、牛の血抜きを行った。



実の所、手遅れであった。



殺した直後、


心臓が動いている状態なら、


動脈を切る事で、


血が排出できる。



しかし、1時間経過していると、


さすがに、血抜きは困難だった。



その為、父は、牛の血に苦戦しながら、


その腹を割き、


内臓を出し、


皮を剥いだ・・・


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