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現在、牛の大地で、
牛の移動待ち・・・
将来的には、
僕が、僕の無意識を、納得させ、
空中移動魔法が、使える可能性はある・・・
もしかすると、
今、すでに、使える可能性もある。
しかし、
今、それを確認するは、危険だった。
肉食動物に襲われる危険性・・・
毒被害を受ける可能性・・・
その様な環境で、
落下事故が起きたらなら・・・
母と、僕が死んだら・・・
『残された家族は、どう成る・・・』
母と、僕だけが生き残ったら・・・
『どうする・・・』
僕は、徒歩の移動を決意した。
『徒歩で牛を、追えるのか・・・?』
その時だった・・・
牛の耳が、パタパタと動き出した。
今までも、牛の耳は、絶えず動いていた。
しかし、現在、その耳の動きは、
極端なモノに成っていた。
『何かが聞こえるのか・・・?』
音を見る千里眼では、何も見えない・・・
3人にも、聞こえない・・・
タロは、何か、聞こえる様だが、
表現出来ない・・・
音を見る千里眼は、
おそらく、1キロ範囲の、振動・・・
つまり、音を発したモノを、
感知して、見ている。
しかし、先日、ネズミの大群が、
見えなかった。
つまり、音を見る千里眼は、
絶対では、無いのだ。
おそらく、
僕の先入観、
僕の常識、
それが、何かしらの影響を与え、
音を見る千里眼の性能を、
引き出せないのだ。
そして、今、牛は何かの音を聞き、
耳をパタパタさせている。
そして、タロも、その音が聞こえている。
つまり、本来なら、僕にも、その音が、
見えるハズなのだ。
などと、考えていると、
牛が移動を開始した。
岩塩の大地を背にして、
突然、走り出したのだ。
牛の群れにとって、
それが普通の移動なのか・・・?
それとも、一大事なのか・・・?
判断出来ない。
しかし、僕が目視出来る範囲、
つまり、半径1キロ範囲に、
肉食動物は居ない・・・
『つまり、これは、普通の移動・・・?』
しかし、その走る速度は速い。
我々が、足で追えるスピードでは無い。
その時、僕は、ひらめいた。
『牛の足跡を目印にすれば・・・!』
100頭以上の牛が、走り去った地面には、
はっきりと、足跡が残っている。
ある意味、それは道である。
牛が走っても、平気だったラインである。
もちろん、牛の足と、原始人の足は違う・・・
しかし、全く未知な地面よりも、
直前に、踏み固められた地面の方が、安全である。
もし、サソリが、いても、
踏み殺されている。
毒ヘビだって、逃げている。
僕は、家族に説明を開始・・・
3人と1匹が身をよせ、
密着状態に成り、
牛の群れの200メートル後を、
移動魔法で追跡した。
全員が同時に移動していた。
牛の群れが、巻き起こした土煙が、
舞っている・・・
しかし、
我々には、かからない・・・
我々は、一瞬で移動出来るので、
極端な接近をさける為に、待つ・・・
それを繰り返している。
結果、その間、我々は、
牛の残した土煙の中に居るのだ。
しかし・・・
『見えない何かが、土煙を寄せ付けない・・・』
『バリア・・・?』
『僕の無意識が、バリアを発動している・・・?』
『これは、足にも有効だろうか・・・?』
『毒蛇の攻撃も、バリアが防いで・・・』
『いや・・・どうやって、確認する・・・?』
『駄目だったら、どうする・・・?』
などと、考えながら、
5キロほど進むと・・・
『オアシス・・・?』
木は1本も無いが、
その周囲には草が多い・・・
『おそらく、あそこに池がある・・・』
牛の群れが、
そのオアシス目指し、
真っ直ぐに進んで行く・・・
ところが、
残り300メート・・・
牛の群れの前進が、ストップした。
『おそらく、何かが居る・・・』




