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これは魔法の書です。  作者: わおん
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生前の両親は、


僕に、


ゴルフは、駄目!


空き缶を転がしては、駄目!


紙飛行機は、駄目!


自転車は、駄目!


その挙句、勉強しては、駄目!



もちろん、これは、


僕の、病的な性格が原因で、


止めなければ、死んでしまう・・・


その様な事情が、あったのだが、



では、その代わりを、僕に与えたのか・・・?



というと、何も無かった。



僕は、この様な教育は、間違っていると思う。


大切なのは、将来の為に、育てる事である。



子供は、ペットでは無いのだ。



将来、大人に成る人材なのだ。


その人材を育てる事が、親の義務である。



産んだ責任である。



僕は、その様に思う。



そして、そんな僕が、


生前の世界で、


素晴らしいと、思ったのが、


歌舞伎の世界であった。



名門の歌舞伎俳優は、男子誕生を熱望する。



跡取りが必要だからである。


倫理など、関係ない・・・



先祖代々守ってきた、誇りを受け継ぐ為に、


役者の顔を、受け継ぐ為に、



血縁の男子が必要・・・



現実的に、役者の息子が、


役者顔に、生まれて来るのか?



それは、疑問であるが、



それでも、その決まりを、守り続ける意地・・・


その必死が、歌舞伎の世界にはある。



その為、歌舞伎の名門に、誕生した男子は、


幼い時から、舞台に上がる。



その為に、生まれて来たのだから、


当然である。



人間国宝の指導を受け、


将来、本物の歌舞伎俳優に成る。



大人が、責任を果たし、


子供を、育てているのだ。



幸せか、どうか?



そんな事は、関係ない・・・



別の人生と、比較する事など出来なのだ。


綺麗事では無いのだ。



歌舞伎の世界では、


必要だから、誕生させ、


必要な人材に、育てる。


親が、生んだ責任を果たす。



それが存在するのだ。



この仕組みは、今後も受継がれるだろう・・・


そして、歌舞伎は、生き残るだろう・・・



それを踏まえて・・・



現在、僕は、原始時代に居る。


そして、我々には、子孫を残す義務がある。



命がけで、受継いで来た命を、


ここで終わらせては、失礼である。



このまま、我々家族だけで生活して、


最後の1人が死んだら、それで終わり・・・



『それは、命に対する侮辱だと思う・・・』


『我々は、どれだけの命を・・・』


『奪って生きて居るのか・・・』



狼、鹿、熊、猪、ヘビ、


トカゲ、ミミズ、虫、鳥、芋・・・



我々は、他の生命から、


子孫を残す権利を奪い、生きているのだ。



『そこまでして、生きているのだ・・・』



『面倒だから、終了・・・』


『そんな侮辱が、許される訳がない・・・』



『だから、我々は、生きる・・・』


『子孫を残し、命をつなぐ・・・』


『我々には、その責任がある・・・』



とはいえ・・・


今、直ぐに、子孫を残せる訳ではない。


他の原始人を探す事は、困難である。



『まずは、我々が生きて行ける環境・・・』


『それを作る事が、大切だ・・・』



『それが最優先だ・・・』



無謀な前進は、自殺である。



などと、考えてる間、



3人と1匹は、周囲をキョロキョロと観察して、


興奮している。



牛の群れは、恐いのだが、


捕まえて、食べる相談をしたり・・・



牛革で、リュックを作る、話をしている・・・



3人には、幼稚な一面がある。


中学生2人と、推定30歳の保護者・・・



こんなモノなのだろうか・・・



一方、牛の群れは・・・


『動きが無い・・・』



そこで、僕は、決断した。



ここで、一旦、食事をする事にしたのだ。



3人と1匹に、


その理由を説明する・・・



全員、緊張している。


もちろん、僕も、不安である。



しかし、食べない訳にはいかない。



祖母がリュックから、


火起こしセットを出し、


父が焚き火をおこす。



牛の様子を確認・・・


その距離300メートル・・・



『大丈夫だ・・・』


『特別、反応しない・・・』


『火を知らない・・・?』



その後、


ネズミの干し肉を出して、


それを焼く・・・



当然、匂いがする。



牛の群れは、完全に、


こちらの存在に気付いている。



しかし、特別、動きは無い・・・



『この匂いで、肉食動物が来るだろうか・・・?』


『その時、牛は、どの様な反応をするのか・・・?』



目的は、その確認である。


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