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これは魔法の書です。  作者: わおん
123/2327

123

現在、我々は、移動魔法で、


岩塩の大地を、西に進んでいる・・・



昼前・・・


まだ、太陽は、真上では無い。



『11時頃だろうか・・・?』



岩塩の地面に、砂が混じり始めた。



さらに、10キロ進むと、


砂の比率が上がった。



さらに、20キロ進むと、



前方の地平線が、ギザギザして来た。


この先に、何かがあり、それが見えて居るのだ。



それと同時に、地面も、


岩塩と砂から、土に変化し始めた。



数キロ先には、草も見える・・・



『生きている・・草だ・・・』


『緑の草が生えている・・・・』


『やった!』



我々は歓喜した。



しかし、つまり・・・


ここは、野生の王国なのだ。



おそらく、恐竜も生息している。


注意深く、周囲を見渡す。



『テレビで見たアフリカの大地・・・』



その様な光景が、広がっている。



遠くに牛の様な群れが、移動してる。



『バッファロー・・・?』


『いや・・ヌーか・・・?』



などと、思ったが・・・



正直な所、僕は、バッファローも、ヌーも、


詳しくは知らない。



これが通称・賢い芝居である。


知らない事を、知っている様に演じる。



そして、自分自身を騙す。


自分相手に、賢い芝居をしているのだ。



これは、愚かである。



『止めるベキだ・・・』



そこで、僕は、観察を開始した。


牛までの距離、1キロ程度、


『遠過ぎて見えない・・・』



僕は、千里眼のズーム機能を使い、


牛を見た。



そして、驚いた。



『ズーム機能が、持続出来る・・・』



これまで、鳥を仕留める一瞬だけ、


ズームで見る事が出来た。



ところが、


10秒程度、持続出来る様に成っていた。



その理由は、理解出来た。



ここに来るまで、


千里眼で、100メートル先の地面を、観察して、


安全を確認する・・・



その作業を、繰り返した事で、


ズーム機能が向上したのだ。



しかし、ズーム機能を使う間、


周囲は見えなく成る。



これは、危険なので、


長時間は使えない・・・



そこで、3人と1匹に、


周囲の警戒を、お願いして、


僕は、ズーム機能を繰り返し、


1分程、牛の観察を行った。



『黒い牛・・・』


『短毛・・・』


『乳牛よりも頭が大きい・・・』



生前の僕は、


ホルスタインを、見れる環境に居たので、


これは、事実である。



『首が丈夫そう・・・』


『頭突きに注意・・・』



これは、僕の感想・・・



『数は、100頭くらい・・・』


これは、僕の感覚・・・



『こちらには、まだ、気付いていない・・・?』


などと、考えていると、



母の不安が伝わってきた。


3人は、明らかに、動揺している。



山脈の奥深くで、何世代も生きて来た原始人には、


牛の群れが、化け物に見えるのだ。



牛との距離は、1キロほど、離れているが、


平原での1キロ先は、以外と、見えるモノである。



しかし、はっきりとは見えない。



母は、クマの様な、イノシシを、


連想している様である。



そう考えると、


僕だって、恐かった。



その時、僕は、疑問を感じた・・・



『牛は、恐竜と、同じ時代に・・・』


『生存出来たのか・・・?』



『恐竜に、食い尽くされて・・・』


『牛は、絶滅するのでは・・・?』



しかし、恐竜は見当たらない・・・



『こちら側に、恐竜は、居ないのか・・・?』


『なぜ・・・?』



僕は、冷静に考えた。


そして、周囲を見て思った。



『自然界の平原なのに・・・』


『動物が、少ししか居ない・・・?』


『なぜ・・・?』



現在、見渡せる範囲には、牛しか居ないのだ。



僕は、理由を考えた。



『エサだ・・・』


『エサが、確保出来ないからだ・・・』



『エサとは、何か・・・?』



その根本は、水である。


水が、草を育てる。



草が、草食動物のエサに成る。


草食動物が、肉食動物のエサに成る。



つまり・・・


自然界で、


肉食動物が、ウジャウジャ居る環境など、


エサが、維持出来ないのだ。



肉食動物が、増え過ぎると、


草食動物が、絶滅してしまうのだ。



それを踏まえ・・・



現在、我々が、居るのは、平原である。



1キロほど先に、牛の群れがいる・・・


100頭くらい・・・



『これは、一体、何を意味するのか・・・?』



そして気付く・・・



『肉食動物は、少ない・・・』


『しかし・・・』


『牛を襲って食べる肉食獣が、生息している・・・』


『それは、間違い無い・・・』



という事である。



事実として・・・



『牛が100頭、生きられる環境があるのだ・・・』


『もし、あの牛に天敵が居ない場合・・・』


『牛は、過剰に増え・・・・』


『この辺りの草を、食べ尽くしている・・・』



僕は、周囲を観察した。


草が、生えている・・・



つまり、この平原には、


肉食動物が生息している。



それが、牛の増え過ぎを防いでいる・・・


だから、草が残っている・・・



『つまり、油断は禁物・・・』


『恐竜や、ライオンが居ても・・・』


『不思議ではない・・・』



では、次である。



僕は、考えを、まとめ、


3人と1匹に説明した。



タロに通じるとは、思えないが、


それでも、今後は、タロにも、


聞いてもらう事にした。



僕が、母に伝え、


母が、父と祖母に伝える。


全てがカタコトである。



そして、僕が、タロに伝える。



牛が生息出来る・・・という事は、



この地域には、


雨が降り、川があり、池があり、


草が育ち、草食動物が育ち、


その過剰な繁殖を、防ぐ程度の、


肉食動物がいる。



実際、教えるまでも無く、


家族は、その事を、充分に理解していた。


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