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これは魔法の書です。  作者: わおん
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122

僕は、2ヶ月程前まで、


日本の小学5年生だった・・・



そして、そんな僕が、


今まで、使った事も無い移動魔法で、


原始人の家族を、180キロも運んできた。



そして、僕は、今、不安を感じている。


この先、水分補給が出来る保証は無いのだ。



回復魔法があっても、


飢え死には、防げない。



つまり、水分補給が出来ない場合、


母は、疲労する。



結果、その胎児である僕は、


魔法が使えなく成る可能性があるのだ。



だから、その事を、家族に説明した。



そして、3人の意見を求めた。



ある意味、卑怯である。



僕が、有能であれば、


この様な問題は、起こらないのだ。



事前に、この様な状況を予想して、


対策を考えれば、


3人を、困らせずに、済んだのだ。



今思えば、ネズミの森を背に進む必要など、


無かったのだ。



ネズミの森を右に見ながら、


これまで通り、北に進めば、


津波被害の無い地域が、


あったかも、知れないのだ。



その状態であれば、


もし、魔法が使えなく成っても、


横には、森があったのだ。



森には、雪があったのだ。



実の所、その様な妥協案では、


魔法は発動しなかった可能性もある。



しかし、試す価値はあった。



僕は、それをしなかったのだ。


後悔しても遅い・・・



3人は、進むベキか、戻るベキかを、


身ぶり手振りで相談している。



本来なら、この3人の中で、


ボスは、父である。



相談などせずに、ボスの考えで行動する。



それが、野生動物の習性なのだ。



しかし、僕が登場した事で、


父は、ボスの座を失い。



代わりに、相談しいて決める権利を得た。



困ったら、話会えば良いのだ。



感情論では無く、


利に叶った方を選べば良いのだ。



すると、


3人は、僕に、質問した。


我々の、並び順である。



今、なぜ、それを知る必要があるのか?


僕は、不思議に思ったが、



3人は、ある意味、野生の動物なのだ。


その為、序列、順序を大切にする。



それが、動物の本能なのだ。



現在、我々は、横1列に成って移動している。



左から、タロ、祖母、母、父、


この順で並んでいる。



その状態から、母が100メートル前進すると、



100メートル後方に、


タロ、祖母、○、父、



という並びで、残される。



父は、右利きなので、


右手で槍を使う、



その為、右側に人がいると、


槍が使い難い・・・



だから、父の立ち位置は、


右端である。



タロは、条件反射による回避能力が、


原始人よりも高い。



だから、タロの立ち位置は、


左端である。



結果、祖母は、父と、タロに、守られている。



理由は、祖母が1番弱いからである。


守る必要があるのだ。



その為、


母が移動して、


次に移動するのが、祖母である。



母は、右手で砂利を投げる。


だから、その邪魔にならない様に、


祖母の立ち位置は、母の左側である。



祖母の次に、移動するのは、父、


なぜなら、タロよりも、


回避能力が劣るからである。



槍を使う関係で、立ち位置は、母の右側。



そして、タロは、万が一、襲われた場合でも、


条件反射の回避能力が、


原始人よりも高いので、



最後に回収する。



つまり、タロは優れているから、


最後に回収されるのだ。



立ち位置は、祖母の左側。



実の所、千里眼で、周囲を確認しているので、


半径1キロ圏内に、恐竜などが居ない事は、


確認済みである。



しかし、それでも、何が起きるか解らない。



その為、警戒が必要である。



そして、我々は、父の狩りの能力を信じている。


だから、右利きの母の、右側を守ってもらう・・・


これは、大きな信頼である。



そして、我々にとって、


祖母の、器用さは大切である。


生活には必要な存在である。


だから、食料を持つ係を任せ、


1番に移動させる。



そして、タロは、芋などを探してくれる。


我々が生きて行く上で、絶対に必要である。


だから絶対に、見捨てない。



カタコトの説明で、


どの程度、通じたのか不明だが、



母に通訳をしてもらい、


2人に伝え、



僕は、心の声でタロに伝えた。



すると、3人と1匹は、


誇らしげな表情に成った。



おそらく、気持ちが通じたのだ。



そして、家族は、前進する事を選んだ。



そして、それが、


僕の不安を消し去り、


僕の魔法を向上させた。



『移動のペースが、上がってる・・・』



岩塩の大地を、進み始めて1時間・・・



母が、移動した次の瞬間、


祖母、父、タロは、


同時に、移動を完了していた。



『1秒で、100メートル進んでいる・・・』


『移動魔法は、完全定着している・・・』



『移動中に、考え事が出来る・・・』



そのレベルに達していた。



『10秒で1キロ』


『1分で、6キロ』


『10分で、60キロ・・・』


『1時間で、360キロ・・・』


『凄い!』



その事は、充分に理解出来た。



しかし、僕は、少し、残念な気持ちに成った。



『具体的には、どの程度、凄いのか・・・?』


それが解らないのだ。



僕は、


新幹線が、時速何キロで、走っているのか?


飛行機が、時速何キロで、飛んでいるのか?


全く知らないのだ。



もちろん、今さら、


それを知っていても、何の役にも立たないが、


それでも、知識は、大切である。



『知識があれば・・・』


『人生は充実する・・・』



今さら、悔やんでも遅いのだ。


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