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これは魔法の書です。  作者: わおん
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現在、森の中、


平原まで、推定2時間の位置・・・


我々は、あえて野宿を行っていた。



恐竜の襲撃を受けた場合、


森の中の方が、我々は、有利なのだ。



木々が邪魔に成り、


恐竜は、足の速さを生かせない。



しかし、恐竜が現れる事は、無かった。



翌朝、僕は、


音を見る千里眼で、絶えず、周囲を警戒。



2時間程度で、森を抜け、平原に出た。



ここで通常視界に戻す。



2ヶ月前、数メートル範囲しか見えず、


見る事の出来なかった平原・・・



それが実在して、前方に広がっている。



動物の骨は見かけるが、


『生き物の気配は無い・・・』



以前、母に聞いた通りだった・・・


本当に平らな地面だった。



まるで、運動場の様に、


平らな地面が続いている。



今、我々が出てきた、ネズミの森は、


不自然な程、一直線に途絶えていた。



ネズミの森を背にして、


前方を見る・・・


左右を見る・・・・


そのどちらも・・・



『地平線が見える・・・』


『山さえ見えない・・・』



つまり、我々が進む方向には、何も無いのだ。



僕は、自分の判断の間違いに気付いた。



地平線とは、ここから何キロ先なのか?



『100キロか・・・?』


『1000キロか・・・?』



残念ながら、僕に、


その様な知識は全く無い・・・



僕は、自分が、恐ろしく無力に思えた。



『3人と1匹に・・・』


『1000キロ歩けと言うのか・・・?』



『その先に、何も無かったら、どうする・・・?』


『今からでも、山に引き返すのか・・・?』



『駄目だ・・・』


『それが、何の解決に成る・・・?』



と考えては、みたが・・・



『先日の、ネズミの暴走・・・』


『ネズミは、平地から山に向かった・・・』



『山に引き返す・・・』



それが、正しい選択に思える。



しかし、そう考えた事により、


僕の中で、スイッチが入った。



僕は、神仏を信じないのだ。



『普通に考える・・・』


『ネズミの暴走は、神様のお告げでは無い・・・』


『実際、多くのネズミが死んでいる・・・』



『助かっていない・・・』



『最終的に、ネズミの大群が・・・』


『どの様になったのか・・・?』


『おそらく、全滅している・・・』



『ネズミは、津波の後・・・』


『絶滅回避の為に、異常繁殖した・・・』



『その結果、エサが無くなりパニックに成った・・・』



『そして、本能的に、山に逃げ込んだ・・・』


『しかし、その山は、死んでいる・・・・』



『地震、土砂崩れ、鉄砲水・・・』


『進めば、進むほど、その被害は大きく成る・・・』



『だから、我々は、平原に逃げて来たのだ・・・』


『賢いから、平原に来たのだ・・・』



『パニックで、暴走するネズミとは違う・・・』



『考え抜いて、ここに来たのだ・・・』


『地平線の向こう側を目指す・・・』



『我々には、その方法がある・・・!』



『我々には、移動する方法があるんだ・・・!』



と自分に言い聞かせ、



『えっ! 方法がある・・・?』



僕は、気付いた。



先日、ネズミが暴走した際、


僕は、父と祖母の木登りを、包む魔法で手伝った。



『つまり、移動魔法は・・・』


『仲間にも使える・・・』



生きている鳥は、包まれた瞬間、


抵抗する。



結果、魔法の包みを振り払い、


逃げてしまう。



しかし、3人と1匹は、


包む魔法を知っている。



結果、恐れる事なく、受け入れてくれる。



その為、木登りの手伝いに、


移動魔法が使えたのだ。



つまり・・・


『平地の移動にも使える・・・』



僕は、練習出来ない事に、不安を感じた。



しかし、本当は出来るのに、


恐がって使わないのは、愚かである。



だから、僕は、使う事にした。



千里眼で、10メートル先の地面の安全を確認。



母に、小さな水溜りを、飛び越える感覚で、


ジャンプしてもらい、



僕が、それを包み込む・・・



次の瞬間、母は、


10メートル先に移動していた。



瞬間移動と錯覚する・・・


一瞬での移動だった。



母の身体に、異常は無かった。



『成功・・・なのか・・・?』



少し不安だが、出来た事は、事実である。



では、次である。


母が右手を上げた。



すると、今度は、祖母が、


水溜りを、飛び越える感覚で、ジャンプした。



次の瞬間、


祖母が、母の左隣に出現した。



一瞬で、10メートルの距離を、移動したのだ。



『本当に、瞬間移動なのでは・・・?』



出現時、ジャンプによる着地は、行われたが、


移動による、風の影響が無い・・・


母に聞いてみた所、



「風、無い、音、無い」



と言った。



『つまり、音速で飛行している訳ではない・・・』



祖母の身体を確かめる。


回復が必要な箇所が、見付からない。



『つまり、この移動は、無害・・・』



続いて、母が、左手を上げた。



次の瞬間、父がジャンプ・・・


母の右隣に、出現、着地・・・


父も無事である。



最後、母が、両手を上げた。



次の瞬間、タロがジャンプ、


祖母の左隣に、出現、着地・・・



その後、ネズミの森を背に、地平線を目指し、


この移動を、10回繰り返した。



全員、無事である。



では、次の段階に進む。



千里眼で、100メートル先の地面を確認、


周囲に、生き物が居ない事も確認、




同じ手順で、100メートルを移動する事、


10回・・・



『実用出来る・・・!』



僕は、そう核心した。



この世界では、魔法の練習が出来ない。



しかし、必要で、繰り返し使えば、


その魔法は定着して、考える必要が無くなって行く。



最初は、100メートル先の地面を


ズーム機能で見て、



着地地点に、石や枝など、


足に刺さるモノのが、無い事を確認・・・


周囲に生き物が、居ない事を確認・・・



これを意識的に、行っていたが、



10回目には、


100メートル先の、


条件の良いポイントが、


無意識に理解出来た。



では、次の段階である。


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