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これは魔法の書です。  作者: わおん
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現在、我々は、山の中腹部に居る。


以前、僕が、空想で言っていた中腹部では無く。



正真正銘の、中腹部である。


後1日で、森に到着する距離・・・



その状況で、我々は、


ネズミの大移動に遭遇した。



ネズミは、我々を、


襲いに来た訳では無かった。



しかし、その通過点にいた場合、


我々は、無事では、済まなかっただろう。



父、祖母、タロは、木に登り、


母は、不自然な魔法によって、


その通過を、切り抜けた。



そして、現在、我々は、木の上にいる。


3人と1匹は、


その状況で眠っていた。



3人は、僕の魔法では無く、


自分で寝る事を、選んだのだ。



おそらくは、動物的本能だと考えられた。



ちなみに、僕は、眠る事が出来ないので、


見張りを行っている。



通常視野の千里眼で、周囲を見る。



通常視野と言っても、


魔法の反射で見ているので、


真っ暗闇でも、全方向が見える。



しかし、通常の視力と同様、


木の向こう側は見えない。



その為、現在、僕が見れる範囲は、


限られていた。



ところが、それでも、


ネズミの大群が、通り過ぎた場所には、


何匹もの、ネズミの死体が転がっていた。



おそらく、体力の限界で、


心臓が止まったのだ。



『死に物狂いで走った・・・』



僕は、思い出していた。


生前、何かで聞いた・・・



ネズミは、沈む船を見捨てて、海に飛び込む。



これが、事実であるのか?


それは、僕には解らない。



しかし、ネズミに、何かが起きたのは、


事実である。



『平地で・・・?森で・・?』


『何かが起きたのか・・・?』


『平地は、それほど危険なのか・・・?』



『我々は、そんな危険な場所に・・・』


『向かっているのか・・・?』



不安に成る。



この様な場合、馬鹿馬鹿しいと思いながらも、



『神様の、お告げなのでは・・・?』


と考えてしまう。



『神様が平地に行くな・・・!』


『と言っているのか・・・?』



と考えてしまう。



しかし、僕は、あえて、


神様を信じない事にしている。



もし、神様が実在して、


『平地に行くベキではない・・・』


と言いたいのなら、



直接来れば良いのだ。



それが駄目なら、


地割れを起こして、進めなくすれば良い。



それも駄目なら、



山を出発する以前に、


平地以外の選択肢を、


我々に、与えれば良かったのだ。



しかし、実際、


その様な事は、行われていない。



つまり、神様など存在しないのだ。



だから、我々は、


命がけで、平地を目指すのだ。



それなのに、



『ネズミは、神様の、お告げ・・・』


『平地に行くな!と言っている・・・』



などと、自分勝手に想像して、


一生懸命に考えた選択肢を捨て、


思い付きで行動する。



これは、愚かである。



だから、僕は、神様など信じない。


考え抜いた上での、平地への移動なのだ。


不安に、負ける訳にはいかない。



とはいえ・・・


周囲には、ネズミの死体が、転がっている。



つまり、ここは、食料の山なのだ。



結果、我々は、3日間、この場所に滞在して、


保存食を作る事と成った。



『本当は、神様が居るのだろうか・・・?』



考えるベキでは無いが、


どうしても考えてしまう。



『平地に出る前に、食料が手に入った・・・』


『ネズミの肉を食べれた・・・』


『体力が温存出来た・・・』


『そして保存食も完成した・・・』



『都合が良すぎる・・・』



ネズミの暴走が無ければ、


我々は、空腹の状態で、


平地に出る事に成ったのだ。



『神様のお陰・・・?』



神様の、お告げを否定しておいて、



今度は、


『神様の、お陰・・・・』


それを信じそうに成る。



自分1人で、


勝手に信じる分には、問題無いが、


僕の判断は、3人と1匹の命に関わるのだ。



そんな時に、


『大丈夫・・・神様が守ってくれる・・・』


こんな考えは、危険である。



『何が大丈夫なのか?』



何の根拠も無い。


ただの希望である。



『神様を信じてはいけない・・・』



僕は、自分に言い聞かせた。



そして、ネズミの暴走から3日後、


保存食を完成させ我々は、


山を下り、森へと向かった。



途中から見えてはいたが、


到着して、核心した。



『森が死んでいる・・・』



山を下りると、


森が広がっている。



その森の木々が、全て枯れていたのだ。



冬なので、葉が枯れて、落ち葉に成る事は、


珍しくない・・・



しかし、ここは、原始の森である。


全ての葉が、枯れる訳ではない・・・



現代の山は、全てが誰かの所有地である。


結果、利益を生む為に、植林を行う場合が多い。



つまり、不要な木を抜いて、


杉の木など、売れる木を植えるのだ。



ところが、自然界では、


山の木が、全て杉の木などという事はない。


様々な木々が生え、生存競争を行っている。



結果、冬に強い木も存在する。


モミの木などが、それに該当する。



冬の間も、葉が枯れないのだ。


結果、クリスマスツリーに使われる。



ところが、この森では、


その類の、木の葉も枯れている。



原因は、津波による、塩害である。



本来、津波は、海から来て、海に引き返す。



ところが、


山脈地帯を、乗り越えて来た津波は、


海には引き返せない・・・



結果、海水の全てが、森の地面に吸収されたのだ。



木々が枯れるのは、当然である。


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