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これは魔法の書です。  作者: わおん
115/2334

115

現在、我々は、山頂から、1日下った地点、


後1日で、森の到達する位置に居る。



家族全員を魔法で、眠らせ、


僕が、1人で、見張りを行っている最中、



音を見る千里眼が、


異常な存在を見つけた。



『何だ、これは・・・?』


『巨大な赤色・・・』


『赤色は、何・・・?』



『まさか・・・』



『こんな、巨大な生き物がいる訳がない・・・』



それは、体育館の床一面・・・



それ以上に大きかった。



『地面が動いている・・・?』


『土砂崩れ・・・?』



『いや違う・・・』



『登って来ている・・・』



その巨大な何かは、


山の斜面を、登って来ているのだ。



僕は、直感した。



『ネズミ・・・ネズミの大群・・・!』



しかし、ネズミは、青く見えるハズ・・・



『音が大きいから、赤く見えるのか・・・?』


『ネズミが、悲鳴を上げている・・・?』



その距離は、数百メートルに迫っていた。



『なぜ、気付かなかった・・・?』



『なぜ、これ程の音が、見えなかった・・・?』



僕の魔法には、何の保証も無い。



全ては、偶然の発動・・・


全ては、僕の思い込みで、使っている。



その為、僕は、その正しい使い方など、


知らないのだ。



真っ赤な地面が、こちらに向かって来る。


その距離、2百メートル・・・



僕は、その赤い地面に集中した。


すると、その輪郭が、はっきりと見えた。



『やはり、ネズミだ・・・』



それは、間違いなく、ネズミの大群であった。



僕は、狂気を感じた。


ネズミ達に、何かが起きたのだ。



そして、錯乱して、暴走しているのだ。


そして、それが、こちらに向かっている。



『食われる・・・』


『ネズミの大群に、食い殺される・・・』



タロが、目を覚ます。



母も、僕の感情を受け、起き上がる。


それに気付き、父と祖母も、起き上がる。



『逃げないと・・・!』


『でも、どこに・・?』



3人は、原始人である。


本能的に、木に登る事を選択した。



僕の、視覚が、無意識に、通常に戻る。



結果、ネズミの、現在位置が解らない・・・


しかし、3人は、その接近を理解している。



つまり、音が聞こえる程、接近しているのだ。



迷っている場合ではない。



父が、タロを担ぎ・・・


母の肩を踏み台にして、



巨木によじ登る・・・



僕は、その父を包み込み、


上昇させようと、考えた。



しかし、恐怖感が、それを止めた。



『父は、砂利ではない・・・』



生きているのだ。



『気持ちが、あせっている・・・』


『この状況で、父を包み込んだら・・・』



『音速移動してしまう・・・』


『父を死なせてしまう・・・』



僕の脳裏に、



父が、音速で上昇して、


巨木の枝に、激突する光景が、浮かぶ・・・



『駄目だ!』


『成功のイメージをするんだ!』



過去、母を、熊の突進軌道から、逃がした時、


僕は、母を包み込み、移動させた。



『その時の感覚・・・!』


『大切な石槍を、父に返す時の感覚・・・』



次の瞬間、父は、


不自然な程、スムーズに巨木を登って行った。



父の自力と、魔法による上昇・・・


まるで、下手なワイヤーアクションであった。



『成功だ・・・!』



続いて、祖母を、魔法を包む・・・



祖母は、自分よりも、


食料入りのリュックを気遣いながら、


父とタロの待つ、巨木の上部に到達・・・



『上手く行った・・・・』



その瞬間、僕の視覚に、ネズミの群が・・・



『しまった!』



母の足元に・・・ネズミが!



次の瞬間・・・・



『バリア・・・!』



僕は、叫んでいた。



後々考えれば、幼稚な発想である。



過去に、その様な魔法が、


発動した事など無いのだ。



つまり、バリアーなど、実在しない・・・


使うベキではない・・・・



冷静に考えれば、解る事である。



事実、バリアは発動しなかった。



しかし、母は浮いていた・・・



地面から、約6メートル程の空中に、



腰の引けた、不自然な直立姿勢で、


浮かんでいた。



『しまった・・・・!』



後悔しても遅い。



移動魔法とは、明らかに違う何か、


その何かで浮いている。



しかし、その何かが、何か解らない、


何か解らないが、浮いている。



僕は、思い出した。



生前、逆立ちコマの逆立ちを、


初めて阻止した瞬間を・・・



突然、部屋に入って来た母に、驚いて、


条件反射で、発動した魔法であった。



結果、どの様な原理で、


それが起こっているのか?



それを維持するには、


どの様にすれば良いのか?



全く解らなかった。



そして、今、それ以上に、深刻な状況を、


向かえていた。



僕は、どの様にして、母を浮かせているのか?


これを維持するには、どの様にすれば良いのか?



この状態で、移動魔法を使っても、


大丈夫なのか・・・?



全く解らない・・・



もし、この魔法が途切れた場合・・・


母は、6メートルの高さから、


ネズミの群れの中に落下する。



『絶対に落下させない!』



と決意するも・・・



母は、空中で、踏ん張ってしまう。



地面が無いのに、足に力が入る。


地面が無いのに、立とうとする。



結果、バランスを崩す。



条件反射で、手が動き、


バランスを取ろうとする。



しかし、それは不可能である。


バランスを取る支えなど、無いのだ。



6メートル下には、ネズミの激流・・・



母は落下した。



『バリア!!!!』



意味など解らない、



しかし、僕は、再び、叫び、


その結果、母は、地面に激突する直前、


再び、地面から6メートル上の、


空中に戻った・・・



僕は、気付いた。



『魂の中心・・・・』



どうやら、僕は直径12メートルの、


球体であるらしい、



僕は、母の胎内に、


胎児として固定された、魂である。



その僕が、バリアと証する、


未知な魔法を、発動させた事で、


地面から、6メートルの位置に、


母が移動した様である。



この後、母は、落下と上昇を繰り返した。



5回目からは、祖母が笑い出し。


6回目からは、母も父も笑っていた。


7回目からは、僕も、使い方が解って来た。



その間、


時間にして、2分程度だったが、


その時間が、恐ろしく長く感じた。



10回目で、


ネズミの大群は、走り去った。



その後、僕は、バリアを少し弱め、


母の上昇を、加減して、



13回目で、母は、無事地面に降り立った。



第2波の可能性を考え、


その日は、木の上で過ごした。



驚いた事に、3人は、


その状況で眠っている。



魔法は、使っていない。



おそらく、原始人としての、猿的な本能によって、


木の上で寝る事が、可能なのだ。



つまり、夜、木の上で過ごす場合、


その本能が機能して、眠ってしまうのだ。



残念ながら、タロには、その様な本能は無いので、


僕が、眠らせた。



結果、再び、僕1人での見張りが始まった。


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