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横穴生活2週間目・・・
我々は、この地域の、
イモや、幼虫を、食べ尽くしていた。
つまり、もう、食料が無いのだ。
ちなみに、芋とは、僕が勝手に、
呼んでいるだけで、
実際には、芋では無い。
何かの根っ子である。
その為、イモ畑の様に、
群生している訳ではない。
つまり、貴重なのだ。
そして、冬眠中の、
ヘビや、トカゲに関しては、
元々、その数が、少なかった。
ここは、高い山の、山頂付近である。
中腹部に下りるだけでも、1日かかるのだ。
その為、津波以前から、
川や池など、存在しない。
その為、水が少なく、
元々、食料の少ない地域なのだ。
では、山の中腹部まで下りれば、
食料が、手に入るのでは?
その様に考えたのだが、
それも、無理であった。
我々の居る山脈から見て、東側には、
壁の様な山脈が見える。
そして、その「壁山脈」が盾と成って、
現在、我々がいる山脈は、
津波の直撃を、受けなかった様である。
しかし、直撃を受けなくても、
海水は流れ込んでいる。
結果、中腹部の木々は、枯れている。
そして、中腹部で冬眠中だった生物は、
海水の影響で、死んだと考えられる。
事実、中腹部に食料探しい行っても、
タロには、芋以外の食料を、探し出す事が、
出来なかった。
もちろん、3人も、これまでの経験を元に、
それらしき場所を、掘って探したが、
残念な事に、冬眠中の生物を、
見つける事が、出来なかった。
つまり、タロに必要な、食料が無いのだ。
タロの体力を、維持する為には、
動物性のタンパク質が必要なのだ。
回復魔法があっても、栄養失調は防げないのだ。
では、どうするか・・・?
僕は考えた。
「東の壁山脈」には、
元々、木々が無く、
生き物が居る環境では無い様である。
しかし、我々が、以前、
猪の内臓を捨てた「北の崖」・・・
その向こう側は、
現在、我々が生活してる環境に似ている。
山の高さが、ほぼ同じであり、
山頂部分の木々も、生きている。
しかし、その向かう側に、移動しても、
その後、春が来て、暖かく成った時、
『山の異臭はどう成る・・・?』
『蚊の異常発生は、どうする・・・?』
『カビは・・・?』
現在、周囲の木々には、カビが生えている。
母に聞いた所、カビの大量発生など、
初めてらしい。
つまり、今回のカビは、津波の影響であり、
3人には、未知の経験である為、
対応が出来ないのだ。
しかし、昨晩の雪によって、
カビに変化が出る可能性があった。
僕の知る限り、雪の積もる山中で、
カビが増える事など、無いのだ。
『これでカビ問題は、解決するのか・・・?』
しかし、
『ここは、本当に地球なのか・・・?』
『僕が、知っているカビなのか・・・?』
『それが、春に成ると、どう成る・・・?』
『全く、解らない・・・』
そこで、解る事を考えた。
川が倒木で、埋め尽くされた状況は、
我々の力では、対応出来ない。
つまり、川の復活は、期待出来ない。
倒木の影響で、
水の流れが悪い、ドロ水状態、
木の皮や葉が腐り、虫も発生する。
暖かくなれば、今よりも臭く成る。
ドロ水で蚊が発生する。
これは、当然の現象である。
住み難い環境に成る。
つまり、山の復活は絶望的であり、
数年後に、戻ってくる事も、困難である。
その可能性も考えられた。
『地震も気になる・・・』
現在、毎日の様に、地震が起きているのだ。
『地震で、山が崩れる・・・?』
『だから、動物は逃げた・・・・?』
『大震災の予兆を感じたのか・・・?』
『では、タロは・・・?』
そして、気付いた。
『タロは、回復魔法の影響で・・・』
『地震の予兆を、感じないのか・・・?』
実際、タロは、
土砂崩れは、感知出来るが、
地震は、感知出来ない・・・
現在、3人とタロは、魔法の影響で、
寒さが軽減している。
つまり、
その魔法による軽減効果で、
タロは、地震前に発生する電磁波を、
感じ取れないのだ。
ちなみに、タロは、土砂崩れは、
音で判断している。
原始人よりも耳が良いのだ。
つまり、
『我々に地震の予知は出来ない・・・』
『この先、大地震が起こるのか・・・?』
『それとも、地震は減少するのか・・・?』
考えた所で、全く解らない。
そこで、地震以外の問題点を考えてみる。
『山の木々は、今後、どう成る・・・?』
我々は、2週間、横穴を拠点に生活している。
そして、その周辺の木々は、
生きている・・・
正常に見える・・・
しかし、
中腹部の木々は、枯れ始めている。
つまり、我々が暮らす、山頂付近も、
『近い将来、枯れるのでは・・・?』
『木々が枯れれば、水も枯れる・・・』
地面の保水力が失われるのだ。
昨日まで、雪が無かった為、
3人と1匹は、朝露を飲んでいた。
早朝、葉っぱに、水滴がつくのだ。
それを、集めて飲んでいたのだ。
とても面倒だが、
それを、しない場合、
1日かけて、中腹部に下りる事に成る。
つまり、早朝に、葉っぱの水を飲む方が、
合理的だったのだ。
ところが、今後、
その葉が、枯れる可能性も、考えられた。
それを踏まえて。
現在、
崖の向こう側の、山には、
充分な木々が残っている。
つまり、芋などの食料が、
あると考えられる。
しかし、
あちら側に移動した場合・・・
そこで、数週間を過ごし・・・
再び、食料を食べ尽くし・・・
雪が溶け・・・
木々が枯れ・・・
朝露も飲めなく成り・・・
春に成り・・・悪臭で息苦しく成り・・・
その段階で、結局、平地に移動する。
しかし、その時、
『平地での、水分補給は・・・』
『その時には、平地の雪も、溶けている・・・』
『つまり、水分を補給出来る保障はない・・・』
しかし、今、平地に出た場合、
『雪が、あれば、雪で水分が補給出来る・・・』
『では、食料は・・・?』
『恐竜を倒して食べる・・・・?』
『鳥の様に、殺せるだろうか・・・?』
平地に行く場合、恐竜との戦いを、
考える必要があるのだ。




