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これは魔法の書です。  作者: わおん
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僕が、原始の世界に来て、2ヶ月目・・・



季節は、完全な真冬の様である。



そして、昨晩、今年、初めて、雪が降った。



生前、雪国で育った僕には、


この光景は、冬の始めに思えるが、



この地域では、これが真冬の様である。



雪が10センチほど積もっている。



『どうする・・・』



僕は、悩んでいた。



最近、地震が、1日に、何度も起きている。


らしい・・・



残念ながら、僕には、それを感じる感覚が無い。



母の感覚から察すると、


震度3程度・・・?



歩いている最中は、一瞬気付かないレベル・・・


その様の思う。



『鳥を見かけない理由は、地震の影響・・・?』



この1週間、鳥を見かけない。



『大地震の前触れ・・・?』



『だとしても、我々は・・・』


『どこに逃げる・・・?』



そもそも、逃げる場所が無いので、


この劣悪な山中で、生活をしているのだ。



しかし、我々は、さらに、


危機的状況を、向かえていた。



半径数キロ圏内の、食料を食べ尽くしたのだ。



我々の食料調達は、非常に効率が悪い、


全員で、移動して、タロが探し、


父が掘り、皆で食べて、


横穴に戻る。



理屈だけなら、父とタロだけでも、


行けるのだが、



『そこで、獣に襲われたら・・・?』


『何かが起きたら・・・?』



おそらく、父とタロを失う事に成る。



また、祖母だけ横穴に残して行くと、


祖母が危険である。



タロと出会って以降、1度も獣を見かけないが、


居ないという保障は無い。



地震などで、危機的状況を、


向かえる危険性もある。



そして、その時、


僕の魔法が必要に成る。



結果、全員で移動する必要があった。



そして、現在、半径数キロ圏内の、


芋、幼虫、冬眠中のヘビやトカゲ、


これらを食べ尽くした事で、


横穴を拠点にするメリットが、


失われたのだ。



とはいえ・・・



ここを捨てるという事は、


夜寝る時の、防寒に必要な、横穴・・・


それを捨て、他に移り住む事に成る。



僕は、周囲の雪を見た。


10センチほど積もっている。



『溶けない・・・』


『つまり、寒い・・・』


『家族の吐く息は白い・・・』


『体温が奪われる・・・』



『そんな中、新天地を探し、野宿する・・・』



普通に考えれば、自殺行為である。



しかし、我々には、希望があった。



先程、祖母が気付いたのだが、


母の周囲、約6メートル範囲に居れば、


寒さが、軽減される様に、成ったのだ。



しかも、全員、咳をしなくなった。



これが、


母の魔法なのか?


僕の魔法なのか?



相変らず、解らない。



しかし、寒さが軽減出来る事は、事実である。



つまり、希望はあるのだ。



『では、どこに移り住む・・・?』



別の山に移動して、



『そこで生活をする・・・?』



崖の向こう側には、


津波被害の少なかった山が、存在する。


ここと良く似た山がある。



そこに行けば、再び数週間は、


食料に困らない。



ハズである。



しかし、その後は?



春が来て、


虫が湧き、


異臭が強く成ったら?



『その時は、その時?』


『その時に成ったら考える・・・?』



それは、愚かである。



実際、今現在、食料を食べ尽くし、


「その時」を向かえ、困っているのだ。



横穴を掘るのは、簡単な事ではない。



崩れない山の斜面・・・


それを掘るのだ。



山中で、その様な場所を掘ると、


木の根が邪魔をして、掘れない。



岩だって埋まっている。


それを、無理矢理に掘るのだ。



つまり、テントの様に、


手軽なモノでは無いのだ。



崖の向こう側の山は、


100メートル先に見えるが、


実際に向かう場合、


おそらく、4日以上かかる。



その間、毎日、横穴を掘る事など、


不可能である。



つまり、その間、野宿をする事に成る。



『大丈夫だろうか・・・?』



我々には、回復魔法がある。



その結果、疲労は少ないし、


寒さも、ある程度は防げる。



しかし、


その回復魔法にも、不明な点がある。



例えば、


骨折の場合、


どの様に、回復するのか?



正常な状態に、回復するのか?


折れ曲がった状態で、回復するのか?



折れ曲がった部分を、


見た目、真っ直ぐにして、



回復を行った場合、


正常に回復するのか?



腕であれば、見た目、真っ直ぐに出来るが、


肋骨の場合は・・・?



それ以外にも


目が潰れた場合は・・・?


指が千切れた場合は・・・?



『どの様に回復する・・・?』



など、不安も多く、



回復魔法があるから、大丈夫などと、


楽観的に、考える事は出来ない。



住む場所を変える。


これは、命に関わる選択なのだ。



『最善を、考えるベキだ・・・』



そんな中、僕には、


1つの考えがあった。



『今こそ、平地に出るベキなのでは・・・?』



雪が10センチ積もっている。



おそらく、平地にも、雪はあるハズだ。



つまり、平地の、川や池が、


津波のドロで、その機能を失っていても、


積もっている雪で、水分補給が出来るのだ。



つまり、この時期であれば、


水を用意しなくても、



平地を移動出来るのだ。


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