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僕が、原始人の胎児に転生して2ヶ月・・・
胎児の僕に、脳が出来て、
それが機能を開始した場合、
僕は、死ぬ可能性がある。
つまり、僕には、それを回避する必要がある。
劣悪な環境に、家族を残して死ぬ事など、
僕には、出来ない。
『僕には、家族を守る義務がある・・・』
『だから、僕は、死ねない・・・』
『だから、僕は、僕の脳を治す・・・』
魔法によって、破壊される脳を、
魔法を使い、治療する。
『しかし、そんな事が、本当に可能なのか・・・?』
それが解らないのだ。
現在の問題点は、
治っている事が、確認出来ない事である。
存在しなモノを、治しているのだから、
『治る訳がない・・・』
『つまり、現在、行っているのは・・・』
『ただの、イメージトレーニングだ・・・』
『そんなモノに、効果がある保障は無い・・・』
イメージトレーニングだけで、何とか成るなら、
全人類が、世界記録保持者に成れる。
しかし、そんな訳が無い。
イメージトレーニングとは、
実際に出来る事の、
最善をイメージする事で、
パフォーマンスを向上させる事が、
目的である。
出来ない事を、イメージしても、
それは、出来ないのだ。
では、どうすれば良いのか?
『練習では、魔法が発動しない・・・』
『つまり、本当に使う必要がある・・・』
『しかし、現在の僕には、治す部分が無い・・・』
その時、ひらめいた。
『あっ!』
『母だ・・・』
『母を、魔法使いにすれば良い・・・!』
『母に、治してもらえば良い・・・』
現在、母は、父や祖母やタロを抱きしめ、
その回復を行っている。
しかし、それは母の能力では無い。
僕の回復魔法を、母に通して、
僕が、家族の回復を、行っているのだ。
つまり、母は、今現在、
ただの原始人であり、魔法使いでは無い。
結果、母も、出産後は、
僕に抱きしめられ、回復を受ける事に成る。
しかし・・・
僕は、元々、
自動で開くトイレのフタを見て、
自分を、魔法使いだと、勘違いしたのだ。
そして、その勘違いによって、
魔法使いに成ったのだ。
これを、母に置き換える・・・
母は、原始人である。
教養や常識といった、先入観が無い・・・
その為、僕が、魔法使いである事を、
そういうモノとして、受け入れている。
そして、毎日、家族の回復を行なっている。
実際、母の能力では、無いが、
それでも母は、頑張っている。
少しでも、多く回復する様に、
心を込めている。
そして、それに意味があると、信じている。
つまり、母は、自分も、魔法を使っていると、
勘違いしているのだ。
つまり・・・
幼児期の僕と、同じである。
生前、僕には、姉がいた。
もし、その姉に、魔法を見せて、
魔法の存在を、認識させても・・・
姉は、現代人である。
教養や常識が強い。
その為、姉の場合は、
魔法の実在を知って、感激して、
自分も使いたいと、思っても、
姉の常識は、
自分には、無理だと理解してしまう。
つまり、姉は、魔法使いには成れないのだ。
これは、絶対である。
確認した訳ではない、
しかし、これは、確実である。
これは、姉に限った事ではない。
現代社会で生きる、人間であれば、
自分には無理という、固定概念が存在する。
無理を理解する、知識があるのだ。
そんな人間が、魔法を信じる芝居をした所で、
無意識が、それを認めない。
だから、魔法が使えないのだ。
魔法を信じる芝居で、
魔法が使えるなら、
幼稚園は、魔法少女で溢れている・・・
しかし、その様な事実ない。
つまり、知識が邪魔をして、
人間は魔法使いに、成れないのだ。
ところが、僕は実在する。
生前の現代社会で、
僕は、魔法を使っていた。
なぜなら、僕は、
幼児期の、絶妙なタイミングで、
自分を、魔法使いと勘違いして、
本当に、魔法使いに成ったのだ。
知識を得る前・・・
知能が、発達する前・・・
無理を理解する常識が、身に着く前・・・
その様な段階で、勘違いをする事で、
魔法使いに成れる可能性が、生まれる。
僕は、その様にして、魔法使いに成ったのだ。
それを踏まえ・・・
『母は、魔法使いに成れるだろうか・・・?』
『母は、原始人である・・・』
『知能が高い・・・』
『僕の教えた言葉を、理解する・・・』
しかし・・・・
『現代人の様な、常識は、存在しない・・・』
『無理だと判断する、知識が無い・・・』
その結果、母は、自分も魔法が使えると、
勘違いしている。
そして、それは、ただの勘違いでは無い・・・
回復魔法は、実在しているのだ。
これにより、家族は、回復していのだ。
それを発しているのは、僕なのだが、
母は、そこに、自分の力も加わっていると、
勘違いしているのだ。
つまり、魔法が使えると、
本気で勘違いを、しているのだ。
『これは行ける!』
僕は、核心した。
ちなみに、
父や祖母は、魔法使いには成れない。
なぜなら、僕と一心同体では無い、
その為、僕の影響を受け難く、
魔法使いには成れない。
つまり、僕は、
父や祖母が、魔法使いに成れない事を、
理解している。
『父や祖母には、無理なのだ・・・』
そして、その無理を理解した上で、
僕と一心同体である母なら、
魔法使いに成れると、核心している。
これは芝居では無い・・・
納得の事実である。
僕の無意識は、意地悪では無い。
僕を守る為に、
存在しているのだ。
『必ず協力してくれる・・・』
『母を、魔法使いにしてくれる・・・!』
僕は、本気で、確信した。




