男女平等と言う言葉と踊れ
男女というものが、そもそも相容れないものなのかもしれない。
黒板には仲良し学級会と可愛らしくデコられているが本質は違う。
仲良しなんて可愛らしく終わった事など記憶にはない。
ニコニコと笑っている担任は、担任がもつ学級日誌にどう記録しているかは、知らないが仲良しなんて少なくとも僕の記憶にはないのだ。
学級会に討論という火種をぶち込んだらどうなるかなんて、小学校4年目の僕でさえわかるのだから、担任はわざとやっているに違いない。
毎度、毎度、心を傷つける刃に、心を抉る弾丸の前に傷ついている男子は数しれない。
しかし、戦わず逃げることは男子としてなんか許されない。
かといって、迂闊にも黙れブスと怒鳴った男子数名は、ヒドイという声、最低という声が教室を、空爆のような音で埋めつくし、大撃沈した。
どうやら好きな子にまで言われたのだろう。
コレで怯んでしまう男子達、日和って女子の意見に賛同する事が、わかってしまう。
勉強出来る奴らも、ドッチボールが強いリーダーもそれに付属する子分AとかBも日和って、女子の意見に賛同してしまう。
「そもそも男女平等を謳うのならこんな話し合いなんかしなくても、従来通りで良いはずだし、機会は平等に与えられている、悪しき慣習なら是正されるべきではあるが、女子が望む結果を得られないからといって、すでに男女平等の枠組みがある枠を更に変更してしまうのは、つまるところ女子が努力を放棄し、怠惰に有利、優位を築きたいだけであり、男女平等の枠を破壊するという本末転倒な行為であります、もし女子が男女平等な変更を望むならこちらの変更案を飲むのが妥当」
「異議あり、先生、ヨシユキ君は、難しい言葉で正しさ演出するのは卑怯だと思います」
そっちが卑怯だろう。
子供だからわかんないですみたいな。
塾に行ってるんだろう、このぐらいわかるだろうが、大体のニュアンスで!
「異議を認めます、ヨシユキ君は簡潔にまとめるように」
卑怯だろ。
だけど、それでも、言わなければならない。
「今までのルールで特に問題ないと言いたいです」
「今まで男子が有利なんだから、ルールを変更すべきです」
「男子はルールを守っています、ルール上特に問題はないはずです」
「お互いに守って女子だけ不利なら、ルールに問題がありそこを変えていくべきです」
「ルール変える前に、女子は努力すべきです」
「頑張っている女子だけに更に努力苦痛を強いるのはどうかと思います、ルールを変えれば平等になります」
「ルール上給食のお替りは早いもの勝ちでありそれに従うべきです」
「だからカレーとかだと洋服とかの汚れを気にするぶんゆっくり食べないといけない女子が不利なの!」
何で男子数人頷いてるんだよ。
なるほどなぁじゃないから、よくよく考えて。
「だからってお替りは、女子が3人するまで男子禁止とか女子に都合良すぎだろ、せめてジャンケン」
「ジャンケンだと、決着つかずに食べれない可能性あるじゃない、残すともったいないでしょ」
だから確かにじゃないからな。
ジャンケンの引き分けが長引くこと、そうそうないから。
「先生が決めてください、ヨシユキ頑固だからこっちが何言っても無駄です」
「異議あり、譲歩してあげてるみたいな態度は卑怯です、コッチを悪者に仕立ててます」
「んーでも、しょうがないから先生が男女平等になるように判定します、お替りは女子の提案をひとまず3ヶ月くらい確かめてみて、学級会でまたあらためて議題に上がったら判断しましょう」
「異議あり」
「異議を却下します、女子の主張を体感もせずに反対ばかりだとそれこそ男女平等とは言えないわ」
先生それ、絶対に学級会で議題に上がらないやつですよねという言葉を飲み込んだ。
次こそはと思う。
理不尽だろうとも思う。
無駄な労力だと思う。
何故ならば男女平等と言う言葉を使う時点で、女子に優位性を与えている。
だけどそれでも、言わなければ、戦わなければならないのだ。
男女平等と言う言葉が平等なんかじゃないとわかりきっていても。
女子のほうが、ずる賢く生きて平等にしてほしいのはコッチだと思ったとしても。
男女平等と言う言葉に一番踊らされるとしても。
男子だから、戦わず負けるなんてなんか許されない。