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剣道やろうぜ

作者: スグル

注意:事情により、話が端折り気味になっておりますので、ご了承下さい。

………………


 生まれながらに、剣道をやる運命にあった黒田は、ついに宿命のライバル、白井と、県大会個人戦決勝戦で戦うこととなった。

 黒田は決勝戦を前にして、防具を着けたあと、部のマネージャーであり、恋人の灰原の手を握る。


「必ず、勝ってくる…」


 そう言い残して、黒田は道場に向かう。

 向こうには、ライバルの白井が防具を着けながら、冷徹な瞳で微笑みを浮かべた。

 宿命のライバル同士、この決勝戦で激しく火花を散らす…。

 果たして、勝利の行方は…。




 次回予告!

 ついに、激突する黒田と白井。

 非情な白井の突きが、黒田の防具を貫くが、起死回生の胴が白井に当たり、黒田は、ついに決勝戦を優勝!

 恋人の灰原とも、ラブラブになり、まさに幸せの絶頂に。

 そんな、彼を恨めしそうに見つめる白井は、なぜ!俺に彼女が出来ぬ!と泣き叫ぶのであった!!



 次回、『青春なんかいらん!早く終われ!』。

 お楽しみに!



………………


 決勝戦後の灰原とイチャつく、ライバルの黒田の姿を見た白井は酒に溺れた。


「うぉん、俺は、まるで非モテの権化だ」


 ビール瓶を片手に、夜の街を彷徨い歩きながら、白井は泣き叫ぶ。ビール瓶の口から垂れてくる残りのビールは、まるで彼の涙のように、ポツンポツン…、とアスファルトに跡を残した。

 そんな千鳥足の彼の目の前に、一人の初老の剣道着の男が立ちふさがる。


「ふははは!なんという様だ、白井太郎!これが、かって『代官山オシャレ剣道部』の中堅の男の姿か!」


 その初老の男の声に、白井の酔いが消し去られ、彼の瞳に光が戻る。


「あっ、あなたは!?」


 果たして、白井を再起させた、この男の正体は!?



 次回予告!

 白井の目の前に現れたのは、かって、小学生の頃に入団していた伝説の剣道集団、『代官山オシャレ剣道部』の長、『梅山毒夫』であった。

 彼との運命の再開を果たした白井は、帰宅途中に、ラブホテルから出ていく黒田と灰原の姿を見てしまい、雨の中、一人、地面に這いつくばり泣き叫ぶのであった。


 次回、『悲しみは、ボボ・ブラジル作曲の殺しのサンバのように』。

 どうぞ、お楽しみに!




………………


 地獄稽古により、血反吐を吐きながら、竹刀を振る白井であった。だが、梅山毒夫は容赦せずに、彼の体にめがけて鞭を打つ。


「なんだ、その素振りは!?やる気がないなら、やめてまえ!!」


 先日、思いがけずに目撃してしまった宿命のライバルの黒田が、マネージャーの灰原とラブホテルから出て行く姿を思い出すと、白井の涙は止まらない。きっと、白井の想像を超える、つばぜり合いが行われたに違いない。

 しかし、そんな彼の思いをよそに、梅山は厳しい眼差しを向ける。


「再び、黒田と剣を交えるのは、来月の『ワァオ!剣道カーニバル大会』でだ…。その時までに、貴様は、私の稽古をすべて、クリアせねばならない!」


 そう激しく檄を入れる師匠をよそに、白井は、黒田と灰原のつばぜり合い模様を想像するのであった。




 次回予告!

 とうとう、性欲が抑えきれなくなった白井は師匠を無視して、歌舞伎町へと足を運び、多大な借金を背負うこととなった。そのため、白井は剣の道を諦め、ついにホストとしての一歩を踏み出す。

 しかし、勤め先のホストクラブには、あの運命のライバル、黒田の姿が!?


 次回、『下心の下心…!?二重の下心!?』

 お楽しみに!




………………


「なんだと…!」


 金色に染めた髪の毛をなびかせ、トップのホストとなった黒田が、白井の目の前に立つ。現実が理解出来ない白井に向けて、黒田が強烈な一言を放つ…。


「お前…、あんぱん買ってこい…。釣りはやる」


 運命のライバルである黒田が、白井に一万円札を渡す。それを、ありがたく受け取り、コンビニへと白井は向かうのであった。


「このお釣りで、俺は…」


 あんぱんを買いに走る白井。

 果たして、あんぱんのお釣りで、彼は何を買うのだろうか!?




 次回予告!

 あんぱんのお釣りで、宝くじを買った白井。なんと一等賞を当ててしまい、一夜で大金持ちに。

 それを聞いた黒田は、えぇ?と驚くが、別にどうでもいいやと、恋人の灰原と仲間達とで、自宅でのバーベキューを楽しむのであった。


 次回、『嘘!?でも、優しい嘘!!』

 お楽しみに!




………………


 宇宙を漂う白井は、かっての故郷、地球を見つめる。ボロボロになった宇宙服からは、空気が漏れている。どうやら、もう助かりそうにない…。

 死を覚悟しながら、白井は地球の…、ちょうど、日本の位置に目を向ける。

 今頃、黒田はみんなとバーベキューか…、と思いながら、白井は宇宙服のヘルメットで涙を流すのであった。


「あぁ…、肉が食べたかった…」


 ひび割れたヘルメットの隙間から、白井の涙が漏れた。




 次回予告!

 宇宙に散った白井!しかし、着ていた宇宙服は大気圏突入可能であったため、なんとか、地球に帰還。

 その頃、仲間と楽しくバーベキューをしていた黒田の元に、なんと、勤め先のホストクラブのオーナーが、コンビーフの食べ過ぎで倒れ、閉店になったとの知らせが!

 果たして、二人の少年の運命は!?


 次回、最終回、『やばい!太平洋だ!』

 お楽しみに!




………………


 大気圏突入に成功した白井は、喉が渇いたので、降下した場所の近くにあったコンビニに入った。

 すると、そこで、コーラを購入しようとしている運命のライバル、黒田の姿が…。


「貴様は、黒田!」

「白井…!」


 宇宙で激しい戦闘を繰り広げ、地球に降下したばかりでボロボロの宇宙服姿の白井…。

 そして、ホストクラブが潰れ、一夜にして借金まみれになり、友人達からは見捨てられ、恋人だった灰原には新しい彼氏が出来たのを理由に逃げられ、フリーター生活を始めた黒田…。

 お互い、その変わり果てた姿で見つめ合う。数日前まで、県大会で試合をしていたとは思えないくらいに、濃厚な時間を生きた二人に言葉はなかった…。

 そして、白井は、ふっ…、と口から息をもらし、黒田の肩に手を置く…。


「剣道やろうぜ」


 この白井の言葉に、黒田は目に涙を浮かべながら頷いた。

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