剣道やろうぜ
注意:事情により、話が端折り気味になっておりますので、ご了承下さい。
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生まれながらに、剣道をやる運命にあった黒田は、ついに宿命のライバル、白井と、県大会個人戦決勝戦で戦うこととなった。
黒田は決勝戦を前にして、防具を着けたあと、部のマネージャーであり、恋人の灰原の手を握る。
「必ず、勝ってくる…」
そう言い残して、黒田は道場に向かう。
向こうには、ライバルの白井が防具を着けながら、冷徹な瞳で微笑みを浮かべた。
宿命のライバル同士、この決勝戦で激しく火花を散らす…。
果たして、勝利の行方は…。
次回予告!
ついに、激突する黒田と白井。
非情な白井の突きが、黒田の防具を貫くが、起死回生の胴が白井に当たり、黒田は、ついに決勝戦を優勝!
恋人の灰原とも、ラブラブになり、まさに幸せの絶頂に。
そんな、彼を恨めしそうに見つめる白井は、なぜ!俺に彼女が出来ぬ!と泣き叫ぶのであった!!
次回、『青春なんかいらん!早く終われ!』。
お楽しみに!
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決勝戦後の灰原とイチャつく、ライバルの黒田の姿を見た白井は酒に溺れた。
「うぉん、俺は、まるで非モテの権化だ」
ビール瓶を片手に、夜の街を彷徨い歩きながら、白井は泣き叫ぶ。ビール瓶の口から垂れてくる残りのビールは、まるで彼の涙のように、ポツンポツン…、とアスファルトに跡を残した。
そんな千鳥足の彼の目の前に、一人の初老の剣道着の男が立ちふさがる。
「ふははは!なんという様だ、白井太郎!これが、かって『代官山オシャレ剣道部』の中堅の男の姿か!」
その初老の男の声に、白井の酔いが消し去られ、彼の瞳に光が戻る。
「あっ、あなたは!?」
果たして、白井を再起させた、この男の正体は!?
次回予告!
白井の目の前に現れたのは、かって、小学生の頃に入団していた伝説の剣道集団、『代官山オシャレ剣道部』の長、『梅山毒夫』であった。
彼との運命の再開を果たした白井は、帰宅途中に、ラブホテルから出ていく黒田と灰原の姿を見てしまい、雨の中、一人、地面に這いつくばり泣き叫ぶのであった。
次回、『悲しみは、ボボ・ブラジル作曲の殺しのサンバのように』。
どうぞ、お楽しみに!
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地獄稽古により、血反吐を吐きながら、竹刀を振る白井であった。だが、梅山毒夫は容赦せずに、彼の体にめがけて鞭を打つ。
「なんだ、その素振りは!?やる気がないなら、やめてまえ!!」
先日、思いがけずに目撃してしまった宿命のライバルの黒田が、マネージャーの灰原とラブホテルから出て行く姿を思い出すと、白井の涙は止まらない。きっと、白井の想像を超える、つばぜり合いが行われたに違いない。
しかし、そんな彼の思いをよそに、梅山は厳しい眼差しを向ける。
「再び、黒田と剣を交えるのは、来月の『ワァオ!剣道カーニバル大会』でだ…。その時までに、貴様は、私の稽古をすべて、クリアせねばならない!」
そう激しく檄を入れる師匠をよそに、白井は、黒田と灰原のつばぜり合い模様を想像するのであった。
次回予告!
とうとう、性欲が抑えきれなくなった白井は師匠を無視して、歌舞伎町へと足を運び、多大な借金を背負うこととなった。そのため、白井は剣の道を諦め、ついにホストとしての一歩を踏み出す。
しかし、勤め先のホストクラブには、あの運命のライバル、黒田の姿が!?
次回、『下心の下心…!?二重の下心!?』
お楽しみに!
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「なんだと…!」
金色に染めた髪の毛をなびかせ、トップのホストとなった黒田が、白井の目の前に立つ。現実が理解出来ない白井に向けて、黒田が強烈な一言を放つ…。
「お前…、あんぱん買ってこい…。釣りはやる」
運命のライバルである黒田が、白井に一万円札を渡す。それを、ありがたく受け取り、コンビニへと白井は向かうのであった。
「このお釣りで、俺は…」
あんぱんを買いに走る白井。
果たして、あんぱんのお釣りで、彼は何を買うのだろうか!?
次回予告!
あんぱんのお釣りで、宝くじを買った白井。なんと一等賞を当ててしまい、一夜で大金持ちに。
それを聞いた黒田は、えぇ?と驚くが、別にどうでもいいやと、恋人の灰原と仲間達とで、自宅でのバーベキューを楽しむのであった。
次回、『嘘!?でも、優しい嘘!!』
お楽しみに!
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宇宙を漂う白井は、かっての故郷、地球を見つめる。ボロボロになった宇宙服からは、空気が漏れている。どうやら、もう助かりそうにない…。
死を覚悟しながら、白井は地球の…、ちょうど、日本の位置に目を向ける。
今頃、黒田はみんなとバーベキューか…、と思いながら、白井は宇宙服のヘルメットで涙を流すのであった。
「あぁ…、肉が食べたかった…」
ひび割れたヘルメットの隙間から、白井の涙が漏れた。
次回予告!
宇宙に散った白井!しかし、着ていた宇宙服は大気圏突入可能であったため、なんとか、地球に帰還。
その頃、仲間と楽しくバーベキューをしていた黒田の元に、なんと、勤め先のホストクラブのオーナーが、コンビーフの食べ過ぎで倒れ、閉店になったとの知らせが!
果たして、二人の少年の運命は!?
次回、最終回、『やばい!太平洋だ!』
お楽しみに!
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大気圏突入に成功した白井は、喉が渇いたので、降下した場所の近くにあったコンビニに入った。
すると、そこで、コーラを購入しようとしている運命のライバル、黒田の姿が…。
「貴様は、黒田!」
「白井…!」
宇宙で激しい戦闘を繰り広げ、地球に降下したばかりでボロボロの宇宙服姿の白井…。
そして、ホストクラブが潰れ、一夜にして借金まみれになり、友人達からは見捨てられ、恋人だった灰原には新しい彼氏が出来たのを理由に逃げられ、フリーター生活を始めた黒田…。
お互い、その変わり果てた姿で見つめ合う。数日前まで、県大会で試合をしていたとは思えないくらいに、濃厚な時間を生きた二人に言葉はなかった…。
そして、白井は、ふっ…、と口から息をもらし、黒田の肩に手を置く…。
「剣道やろうぜ」
この白井の言葉に、黒田は目に涙を浮かべながら頷いた。