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第7話 上級学校のレベルって……

 試験が始まった。

 上級学校初日にいきなり試験である。

 歴史、政治、法学、算術が主の筆記試験であった。


 試験は午前中で終わり、今は昼休み。


「二人とも、お疲れのようね」


 ティオニアは涼しい顔で食後の紅茶を楽しんでいる。

 さすがに一端の御令嬢である。上級学校の筆記試験程度は余裕であった。


「は、はははは。ちょっと、私の知っている試験とは違いまして……」


「ふふふふふ。知らない言葉がいっぱいだったヨ……」


 レイフィードとミリルは半笑いである。

 これまで読み書きレベルしか学んでいないのだ。

 簡単な加除であれば理解しているのでまだ算術はマシであったが、歴史、政治、法学は完全に終わっていた。


「知識だけ詰めても仕方ないけれど、前提の知識がないと話にならないことも多いわ。

 まずは貴族として現在の王都の政治体系だけでも理解しておきなさい」


「はいぃ……」


「わかったよぉ……」


 二人は、別に知らなくてもハンター困らないと思ったが、ティオにアホ扱いされて距離を取られても困るので真面目に勉強はしようと……少しだけ誓ったのであった。




 学校二日目。

 本日は校庭で武術技術の試験であった。


 初めは木製の武器を所持しての模擬戦闘。1対1の戦いである。

 レイフィードは一般的な長さの剣、ミリルは短剣を所持して向かい合った。


「さて、今日はミリルがどれだけ強くなったか見せてもらいますね」


「お手柔らかにお願いします」


 双方、余裕の表情で構える。

 視線を交わし、緊張感が高まっていく。


 開始の合図の直後、二人はすぐさま間合いを詰めて……


「えぇぇい♪」


「やぁぁぁ♪」


 かん。かん。こん。


「とぉぉぉ♪」


「とりゃぁぁ♪」


 こん。かん。こん。


「ああ!?」


 からんからんからん。

 木剣を落とし、膝を付くレイ。


「ふ。勝負ありですね。姉さん」


「強くなりましたね、ミリル……」


「姉さんのおかげですよ」


「えぇっと、貴方たち。レイフィードさんとミリルさんでしたっけ。大丈夫?」


 いい勝負を終えた感を演出して握手をしていた二人に、学校の女性教師が声をかけた。


「はい、先生。私たちに怪我はありません」


「そう、よかったわ。それで頭は大丈夫?」


「はい……え? 頭?」


「打ってないですけど?」


「ええ。でも残念ながら中身は大丈夫じゃないでしょう。…………走ってきなさい!!!」


「「は、はい!!!」」


 教師の怒声に思わず返事をして、二人は走り出した。




 レイとミリルは校庭の周りをそれなりの速度で走りながら、生徒達の武術試験を観察していた。

 剣士のレイは言うまでもなく、魔法使いのミリルについてもある程度の基礎体力はあるため多少走ったところで息が切れることはない。


「いくらお嬢様感を出すためでも、先程のはやりすぎだったんでしょうね」


「そうかなぁ。貴族のお嬢様ってああいう感じじゃないの? この間護衛したお嬢様なんて戦闘中は怖がってしゃがんでただけだし。

 この学校に、姉さんみたいなバリバリの女剣士なんて存在するのかなぁ?」


「うーん……あ、剣士ではありませんが、あの槍の人、いい動きです」


「あ、ホントだ! ……でもなんでメイド服?」


「さ、さぁ? どうしてでしょうね……」


 二人の視線の先には、槍を持ったメイド姿の少女がへっぴり腰の少年を滅多打ちにしているところだった。

 少年はかろうじて剣で受けているが、それは単にメイドの方が正確に剣を狙って打ち込んでいるにすぎなかった。


 他にもよく見れば、意外と動ける人が多いことに二人は驚いた。

 さすがに中堅レベルとはいかないが、下手なハンターと比べれば、こちらの生徒の方が戦闘センスに秀でている者もいる。

 所詮は貴族のお遊びだろうとタカをくくっていたが、認識を改めたほうがよさそうだった。


「そういえば、ティオさんは?」


「……あれだね」


 ミリルが指した先には、木製の矢と弓を持って佇むティオと、ヘタリこんで気を落とした様子の少年の姿があった。

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