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第五章 麦の穂のバラード

そういえば、書き忘れていたのですが、ミスルトゥとフレップはクロユリたちよりも上級生です。

「あ・・・・・・・・・。」


 悲しい事実に気が付いた。


「ここから、どうやって出んの!?」


 恐らく、ルトゥは自分の能力の操り糸を利用して出ることができるのだろうが、私はどうやって出ればいい?私にあるのは中途半端な運動神経と、使えない能力と、残念な容姿と、弱いおつむだけだ。


「・・・・・・・・・・・・・。」


 ・・・・・・ジャンプで届かないかな?


 無謀だと知りつつ、ジャンプしてみる。


 ・・・・・・・・。うん。届かないよね。知ってた!!


「フレップ?何をしているのだね?随分間抜けな姿なのだよ?」


 ドッキーン!!!!!胸きゅんじゃないほうの!!


 でも・・・あれ・・・・?コイツ、怒ってなくない?『フレップ!?勝手に帰ろうとしていたね!?勝手に帰ろうとするとは許せないのだよ!?』とか言うと思ってたのに。それに、さっきのヤバそうな雰囲気もほとんど消えたし。


「い、いや・・・薔薇の香りにちょっと酔っちゃって・・・・。部屋に戻ろうかな・・・・と。」


 一応、嘘ではない。ちょっとは酔ってた。


「ああ。確かにあそこは少々薔薇の香りがな・・・・。」


 あ、自覚あったんだ。


「つーか、あの部屋の薔薇とか林檎って枯れたらどうすんの?」


 私が見る限り、あの薔薇や林檎は造花ではなかった。まぁ、香りがある時点で造花ではないけど・・・。


「あそこは薔薇も林檎も枯れない。」

「なんで?」


 生き物としての法則に逆らっちゃってね?


「時間系の魔道具を使って、特別な空間にしているのだよ。そもそも、誰もあの部屋に居ない時は時が止まっている。だが、あの部屋に人間が入れば時間は動き出す。そして、その人間が出て行くと止まっていた時間まで時が逆戻りする。それを繰り返すから、あの部屋に何日間も居ない限り枯れることはないのだよ。まぁ、枯れたとしてもその人間が出て行けばすぐ元通りなのだが。」


 これまた凝った仕掛けを・・・・・・。


「ところで、なんで跳ねていたのだね?」


 あ、聞きたかったのはそっちだったのね。


「いや、部屋に戻ろうとしたのは良いんだけどさ、私、どうやってここから出ればいいの?」


 こてん、とルトゥが首をかしげる。ちょっと可愛いじゃねえか、ちきしょう!!

 

「・・・・・・・・・?」


 ・・・・・・・まって。本気でわかってないな、コイツ。わざわざ言わなきゃいけないの?


「ああ・・・・・。確かに君の能力ではここは登れないね。失念していたよ。でも、君の野獣なみの運動神経であれば・・・・。」

「登れねぇよ!?」

「まぁ、流石に無理か。ほら、ここにくるのだよ。」


 そう言って、ルトゥは腕をこちらに向けて広げる。


「は・・・・・?」


 何が言いたいんだ?コイツ?まさか、その腕の中に入れと?


「だから、ほら。」


 げぇっ!!こっちに来た!!と思ったら、私の体を持ち上げ、お姫様抱っこ?とやらをしてきた。


「セ!!ク!!ハ!!ラッ!!!」

「幼馴染なのだよ?何を言っているのかね?」


 幼馴染ってセクハラが許されるほどのすごいものだったの!?


「それに部屋に戻りたいのだろう?」


 まぁ・・・・・・。


「ちょっと・・・いや、かなり重いな・・・・。」


 挑発してんのか!?


「ほら、部屋に戻るのだよ。」


 ルトゥがそういうと、ルトゥの体にいつの間にか巻き付いていた糸が一気にルトゥ・・・・・と私を持ち上げ、部屋の床まで運んでくれた。・・・・・いや、ルトゥが操作してたんだけども。


「楽だね。」


 出来れば行きもこういうのが良かった。あんなスリリングなの望んでなかった。


 私をおろし、ルトゥは体に巻かれていた糸をほどくと床をいじり始めた。


 ・・・・ああ。普通の床に戻すのね。


「よしっ。」


 ガタッ、と音いう音ともに普通の床に戻った。


「とりあえず、食事にしよう。作品の感想はそこでじっくりと聞くとして・・・・・。フレップ?君、僕がわざわざ君の栄養管理の為に献立を立てるだけでなく、手ずから料理を作ってることを知りつつ、買い食いをしていたね?」


 ゲッ!!バレてたのかよ!!


 コイツは、カフェテリアとか、料理店とかいう便利なものがあるにも関わらず、健康のためだー!!とかなんとか言って、わざわざ手作りの料理を作っているのだ。いや、ありがたいんだけどさ・・・・。いっつも部屋で食べてるからたまには外で食べたいんだよね・・・・。カフェテリアとかもお洒落だから行ってみたいし・・・。


「なぜ、お気づきに・・・・!?」

「君を抱っこしたときの感覚がこの前の月と全く違う事や、君の小遣い帳からしてモロバレなのだよ!!」


 ヒエッ!!忘れてた!!お小遣いは部屋ごとに(理不尽だよな!!)月一で学校から支給される。普通は二人で半々にするのだ、が、悲しいかな・・・・。この部屋ではカッチリお金の使い方が管理されてて(私だけ)、私は何かを買うたびに、お小遣い帳と言う名の監視帳に記入しなくてはいけないのだ。で、少しでも無駄遣いしたらルトゥにキレられる。そしてお小遣いは減らされていく。今は月で二千円だ。ルトゥは四万八千円。理不尽すぎやしないか!?いくら食費はルトゥが出してるとは言ってもさ・・・・。それにルトゥの人形作りのお金は別支給だぜ?


「はぁ・・・・。言ってくれればなんだって作ったし、その分の栄養も視野に入れて献立を立てたものを・・・・。」


 忌々しい、とでも言うかのようにルトゥがため息をつく。


 ええー!!買い食いを嫌がるのは知ってたけど、そこまでやってくれるつもりだったの!?つーか、買い食いぐらい好きにさせろよ・・・・。


「これからはもっと管理を厳しくするのだよ!!小遣い帳に書かなくたって僕は、君が買い食いしたかどうかなんて簡単にわかるのだからね!!」


 何そのストーカー。・・・・まぁ、お小遣いを減らされなかっただけ良かった。


ブックマークや評価や感想を書いて下さった方々、ありがとうございます。お礼を言うのが遅くなって申し訳ありません。

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