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第三章 マヅルカ

皆さま、お元気でしょうか?私は元気です。

「良かったの?」


 ディアポロが去り、静かになった部屋の中で私はルトゥに問いかけた。


「なにが?」

「ディアポロに人形を貸すこと。」


 正直言って、断ると思っていたのだ。『フレップと存分に踊るがいいよ。マリオネットを穢されることよりかはかなりマシなのだから。』とか言って。


「ふん!!マリオネットを穢されるよりもフレップを取られることの方が最悪なのだよ。」

「なんで?」

「僕と踊る相手が居なくなるからね。」


 ・・・・・・・・・。友達いないからか?確かにルトゥ、友達いないけど・・・・。でもファンクラブとかあるし、お願いすればイチコロだと思うけど・・・・。


「フレップと舞踏会での初めのダンスを踊るのは、未来永劫僕だけであるべきなのだよ。」


 なに言っちゃんてるんだ?コイツ?私、ルトゥと踊り続けたら、マジで刺されると思うんだけど?それに、私かルトゥが誰かと結婚したり、婚約したりしたら絶対に無理だと思うんですけど?


「そういえばだね、最近、新しいマリオネットが完成したのだよ。」


 へぇー。


「それを、フレップに見せようと思っていたのだよ。ついてきたまえ。」


 あ、うん。


 ルトゥは、ブーツのヒールをカツカツとならして部屋の奥へと入っていく。そして、いきなり立ち止まったかと思うとひざまずき、床をいじりはじめた。


「なにやってんの?」


 怖いんだけど。


 私の問いかけに答えず、床をいじり続けること一分。ガタッ、と音がしたかと思うと、ルトゥの目の前の床がなくなっていた。


「はぁっ!?」


 どこいったんだ!!床!!


「驚いたかね?これは、今回のマリオネット制作にあたって特別につくらせた地下の部屋への扉なのだよ。」


 なに作っちゃんってんの!?ここ、学園の寮だよ!?


「ああ、安心したまえ。この扉がいきなり開いて地下へまっさかさま、なんてことは滅多にないからね。」


 滅多に!?安心できないわ!!


「いやいやいや。それよりもここ、学園の寮だから。そこの下に地下部屋って・・・・。」

「ん?他にも地下に色々作っている輩はいるのだよ。」


 いんの!?ここの学園どうなっちゃってんだ!!


「とにかくここへ入りたまえ。床に着地するまで、ちょっと浮く時間があるが、いざという時は僕が糸で助けるから安心するのだよ。」

「え?とっさに能力で君の糸きっちゃうかもだけど、私大丈夫?」


 焦ったり、驚いたりするととっさに能力を発動してしまうことが多々あるのである。特に風属性と火属性の能力持ちは。


「・・・・・・・・・・・・・。」


 なるほど。安心できないな。とは言っても、上手く着地できなかったとしても、ルトゥがよっぽど深く穴を掘らせていないかぎり、骨折か捻挫ですむだろう。それくらいだったら『癒し』の能力を持ってる人にお願いすればすぐ治る・・・・はず・・・・。


「そーれ!!!」


 大丈夫、と思いつつやっぱり暗闇に身を投げるのは怖い。・・・・こういうと死ぬみたいだな・・・。まぁとにかく、変な掛け声をかけつつジャンプで下へと降りて行った。


「っと・・・・。」


 よかった。普通に着地できた・・・・・。思ったより深かったな・・・・。


 あたりを見回してみると、全部真っ暗・・・・というわけではなく、視界のはしに光が写った。なるほど。ここから進めばちゃんと光があるらしい。・・・・ここらへんにもちゃんと光つけとけよ・・・・。


「フレップ!!大丈夫かね!?」

「あー、大丈夫大丈夫。生きてる。」

「そうか。よかった。とりあえず、入り口の真下から退いてくれたまえ。」

「あ、ごめん。」


 確かに退かなきゃルトゥが降りられないわ。いや、私を下敷きにするんだったら話は別だけど。


「っと・・・・。」


 私が入り口の真下から退くと、すぐルトゥが下に・・・・・あれ?なんか降りるスピード遅くね?どうしてちょっとずつ下に降りてくるの?


「ふぅ・・・・・。」


 やっとルトゥが地下の地面に足を付けた。


「・・・・・・私に飛び降りさせたじゃん・・・・・。」


 さっきの絶対『操り人形』の能力つかってたよね!?操り糸ガッツリ使ってたよね!?私、こんな能力だから普通の人に見えないものも色々見えるからね?操り糸で自分の体つってたよね!?私にさ、飛び降りさせたよね?確かにさ、糸切っちゃうけどさ?それはさ、驚いたときとかにとっさに出ちゃうだけだからね?別に常にスパスパ切ってるわけじゃないんだよ?だからさ?今の君みたいな使い方だったらさ、普通に君みたいにできるんだけど?それに、普通の人は操られるとき以外は君の糸に触れられないけど、私は普通に触れられるからね?


「君の運動神経は野獣なみだから必要ないだろう?着地に失敗しそうだったら助けたのだが。」


 なんなの?そのちょこちょこ入る私への偏見。私、そんなんじゃないからね?君よりパワーと運動神経があるだけだからね?君が非力で運動音痴過ぎるだけだからね?それにいざという時に出されても、多分ビックリしたりしてるだろうから切っちゃうからね!?操り糸。


「さぁ、行こう。新作のマリオネットはこの奥にある。」


 地下にわざわざ部屋まで作らせるほどの人形とはどんなものやら。



 


なんかこの二人はお互いに変な偏見を持っているような気がします。

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