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第二章 情景

遅くなりました・・・・。すみません・・・・。

「うわああああー!!!」


 なんだなんだ?というか、顔が見えないけど、こいつは・・・・・。


「なんだよ・・・ディアポロ・・・・・。情けないなぁ・・・・。」


 コイツは私の一つ下の幼馴染、ディアポロだ。

  

「そういうなよー!!!オイラがな、アカツキに舞踏会のパートナーをお願いしたらな、変な手がニョキーって出てきてギューって首を・・・・。」


 なるほど。わけがわからん。


「そこのマリオネット!!いや、マリオネットにすらならぬゴミ!!フレップから即刻離れるのだよ!!」

「ゴミ!?」

「ゴミなのだよ!!」


 ちなみに、マリオネットっていうのはルトゥの二人称。


「フレップ、この人だれ!?」

「こっちのほうが聞きたいのだよ!!フレップ!!まず、そこのゴミはフレップから離れ給え!!」


 ディアポロが私から離れ、『コイツ誰?』という視線を投げかけてくる。そしてルトゥもまったく同じ視線を投げかけてくる。


「まず、ルトゥがゴミゴミ言ってるのはディアポロ・キバナコスモス・キク。さっき話してた私の幼馴染。」

「このゴミが君の幼馴染!?」

「で、ゴミゴミ煩いのがミスルトゥ・ヤドリギ。やっぱりこちらも幼馴染。」

「ヤドリギ!?あの名門の!?って、え!?ミスルトゥって有名な人形師の名前じゃ!?」

「そうなのだよ。僕こそが名門ヤドリギ家の当主であり、人形師であるミスルトゥ・ヤドリギなのだよ!!」

「そうだったんですか!!失礼しました!!」


 権力の強い相手になんて腰が低い奴なんだ!!


「それで?なんで泣きべそかいてたわけ?」


 さっき、顔ヤバかったよ。


「え?ああ。それはさ、さっきまでね、オイラ、アカツキっていう幼馴染の部屋行ってたんだ。で、オイラ、今度の舞踏会で最初に一緒に踊らないか?ってアカツキに言ったんだ。オイラと同じでアカツキは友達いなそうだし。そしたらさ、地面から手みたいなのが出てきてぶばばばばばーっと・・・・。オイラ、首を絞められて、地面に引きずりこまれそうに・・・・・。」


 何そのホラー。


「つーかさ、ディアポロ。お前、最初に踊る相手いないの?」

「うん。いない。」

「じゃあ、私と一緒に踊ろう。」

「ええっ?いいの!?」

「私も友達いないしね・・・・。ハハハ・・・・。」

「意外!!メチャクチャいるんだと思ってた!!」


 ハハハ・・・・。いないよ・・・・。誰かさんのせいで・・・・・。


「フレップ!?何を言ってるんだね!?ミスルトゥと言う名の至高の存在が君の最初のダンスの相手だろう!?」


 自分の事、至高の存在って言うなよ・・・。というか、なんで勝手にダンスの相手決めてんだ。


「ええっ!?そうなんですか!?」

「違うよ。だから一緒に踊ろう。」


 ルトゥよりはディアポロだ。いや、普通にルトゥと踊ってる所見られたら、ファンクラブとやらに刺されるから。


「なんでだね!?さきほど驚かしたことの報復なのかね!?」

「驚かす?」

「そんな事は気にせずに二人でダンシングしようぜ!!」


 なんだよ、さっきのふざけた転びかたをディアポロに教えようとでも!?


「フレップ!?」

「ミスルトゥさんと踊らなくていいの?」

「駄目なのだよ!!」


 はぁ・・・・・・・・。


「コイツは無視しt

「もし、フレップが君と最初のダンスを踊るようであれば、ヤドリギ家の権力で君の家を取り潰すこともやぶさかではないのだよ?」

「権力の乱用反対!!」


 なんだその金持ちの脅しの定番文句!!


「え、え、え、え、え、お、オオオオオイラ、やっぱいいです!!フレップ!!ミスルトゥさんとお幸せに!!!」


 やっぱりお前権力に弱いな!!つーかなんだよ!!お幸せに!!って!!結婚なのかよ!?


「はぁ・・・・・・。ディアポロがあまりにも哀れだからさ、人形を貸し出してやったらどうかと思うんだけど。」

「えっ?」


 ディアポロが驚いたように声を上げる。


 まぁ、驚くよな。コイツ、人形を作るには作るけど売ることもほとんどないし、貸し出したりすることなんてないしね。


「・・・・・・・・・。」


 まぁ、渋るよね。ルトゥは人形を穢されることを極端に嫌うしね。


「え?だったら私、ディアポロと一緒に最初のダンス踊るけど?」

「えっ、いや、ちょっ、家が。」


 大丈夫だよ。つぶされはしないさ。きっと、多分、おそらく、あるいは。


「・・・・・わかったのだよ。ただし!!フレップは必ず僕と踊る事。マリオネットはダンスを踊ったらすぐ返す、マリオネットに触れるときは手袋で。その条件を呑むのだったら貸し出してやろう。ああ、もちろん監視もさせていただくがな。」


 やっぱそうだよね。


「え・・・!?え・・・・!?人形を貸し出し・・・・?いいんですか・・・・!?」


 私の犠牲には触れないのかよ。


「もちろんその条件はのまさせて頂きます!!ああ!!ミスルトゥさんの人形・・・・!!」


 ねぇ、私への感謝は?ディアポロ?


「ふん!!君にはこのマリオネットを貸してあげよう。」


 ルトゥがパチン!!と指をならすと、私のすぐ隣に座っていた、深い碧のドレスを着た美しい人形が立ち上がる。その人形が金色の髪を揺らして、ディアポロの前まで歩いて行き、無感情な碧の瞳をディアポロに向けた。


 ディアポロがその人形に魅了されたように手を伸ばす。


 パチンッ


「いった!!」

「マリオネットに触れないでくれたまえ。」

「あ、すみません。なんか・・・・魅了されちゃって・・・・。たしか、この人形って・・・『虚ろなる黄昏』シリーズの『碧き目のアリス』ではないですか?」

「その通りだが・・・。良く知っているね?」

「いや・・・・。ミスルトゥさんの人形のファンで。写真集とか良く買ってるんです!!」


 え、そんなもんだしてたの?


「写真集・・・・?ああ、クラスペディアとやらが勝手に作っていたものだな。」

「そうです。」


 クラスペディア・・・・あ、クラスペディア・キクか。あの写真ばっか撮ってる。


「舞踏会当日の午後の三時ごろにここに来たまえ。そうしたら、このマリオネット・・・アリスを貸しだしてやるのだよ。」

「はい!!ありがとうございます!!」


 だから私への感謝どこ行った。


「んじゃ、オイラはこれで!!あ、そうだ!!」


 元気いっぱいになったな・・・。そんなに人形を貸してもらえるのが嬉しいのか・・・・。


「フレップ!!今度オイラに髪切らせてよ!!」


 厚かましいやつだなぁッ!!お礼言わないどころか髪切らせてとは!!


「残念ながら、フレップの髪をきるのは僕だときまっているのだよ。君は引っ込んでいたまえ。マリオネットを貸して欲しければな。」


 そんな決まりあったか!?確かにお前には良く髪切られてるけどさ!!


「えっ?オイラ、小っちゃい頃からフレップの髪切ってるんd・・・・・やっぱなんでもないです!!」


 珍しく賢明な判断だね、ディアポロ。


「それじゃあばいばーい!!」


 そう言って、ディアポロは部屋から去って行ったのだった・・・・。


 来たときの深刻さはどこへ行ったんだよ!?絶対アイツ、ビビってた時のことすっかりさっぱり忘れてんだろ!!


ディアポロ大活躍!!あれ・・・?誰が主役だっけ・・・?

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