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序章 前奏曲とマヅルカ

あ、ヒロイン終ってたシリーズと世界観がつながっております。


フレップの苗字を変更いたしました。

「ああ、君は美しい・・・・。」

 

 そういって、私と同室の人間が人の紛い物を抱きしめる。


「たのむから・・・・。他のところでやろう・・・・。」

「なぜだ。ここは僕の部屋なのだよ?」

「確かにそうだけど、私の部屋でもあるよね。」


 ああ・・・・。なんでこんな奴と同室になっちゃったんだろ・・・・。なんで!?なんで!?コイツ、男!!私、女!!何故に同室!?不味いよね!!この寮どうなってんの!?と、思うけどさ・・・・。まぁ、仕方ないっちゃ仕方ないんだよね・・・・。どうしてか、というとコイツの能力は『操り人形』という重過ぎなくて、実体のあるものだったらなんでも操れる、という世にも厄介な能力の持ち主であり、私が『カッター』という能力もちだからである。私の『カッター』はあの眼鏡・・・・ディアポロの能力とは違って、実体のないモノか、普通の人には見えない物しか切れない、というあんまり役に立たない能力なのだが、コイツの能力の肝・・・操り糸にはそれが該当し、綺麗に操り糸を切れるのだ・・・・。そんでもってコイツよりも腕力もパワーもある、というのと、幼馴染だから仲いいでしょ!!良いよね!!という謎の偏見によって同じ部屋にされたのである。なほ恨めしき。


「フレップはこのマリオットたちの美しさがわからないのかね?」


 フレップっていうのは私の名前ね。ちなみに姓はツツジ。


「美しいね。美しいけど、お前と人形のイチャイチャを見せられるのとは別問題だよ。」

「いちゃいちゃっ!?そんな卑しい言葉でマリオネットと僕の関係を表さないで頂きたいのだよ!!」


 いや、ドールもお前も非現実的な美しさ・・・幻想的であり、高貴であり、完璧すぎて逆に不気味な美しさだから、ある意味ベストカップルで耽美な光景かもしれない!!でもな!!こっちが居た堪れない!!


「このマリオネットたちは全てが僕の最高傑作であり、僕の娘なのだよ。」


 ヤバいよこの人。怖いよこの人。


「というかさ、なんでルトゥは女の子の人形ばっか作るわけ?」


 いや、男の人形作ってそれとイチャイチャされるのも嫌だけどさ。あ、ルトゥっていうのはコイツのあだ名ね。本名はミスルトゥ・ヤドリギ。


「ふん!!そんなこともわからないのか。永遠の少女こそ究極の美だからに決まってるのだよ。」

 

 ・・・・・。どうやら私の幼馴染には独特の美学があるらしい。


「ルトゥさんよ、せめてだれかと話してるときぐらいは抱きしめるのをやめておくれよ・・・・。」


 どこに目をやればいいのか困るから・・・・。


「断る。なぜお前との会話ごときで、マリオネットを愛でるのをやめなくてはいけないのか、理解しかねるのだよ。」

「お前ごときってなんだよ!!」

「ふん!!成績も見た目も魔力も僕に勝てぬお前なぞ、ごときで十分なのだよ!!」

「ああん!?お前、私にパワーで負けてるだろ!!それにお前の能力の弱点は私なんだかんな!!」

「お前のパワーは野獣にも負けず劣らずなのだよ!?勝てる訳ないのだよ!!能力は工夫次第でお前なんぞ一捻りなのだよ!!」

「野獣!?余裕で負けてるわ!!私はパワーが男子平均よりちょっと上程度だからな!!お前が非力すぎるだけだわ!!このモヤシ!!」

「も、もやし!?」

「それに、この部屋はなんだよ!!他の部屋と比べて色々異質すぎるから!!」

「なんだ!!美しいだろう!?」

「お洒落だ!!それは認めよう!!だがな、人形だらけで怖いんだよ!!」

「怖い!?どこがなのだよ!!」

「夜中にトイレに行くとき目が合ったりして嫌なんだよ!!恐怖!!」

「見守ってくれてるのだよ!!」

「それはそれで怖いわ!!」


 ぜいぜいぜいぜい


「とにかく!!イチャイチャするなら他でやれ!!たまには人形から目を外せ!!!そして、人形の数を減らせ!!」

「断る!!!」

「うがー!!!」


 すーはーすーはー


「そうだ、お前・・・・。」

「なに!?」


 怒ってるんだけど!!


「受け取るのだよ。」


 そう言ってリトゥが取り出したのは、上品で美しいドレス。そう・・・この部屋の人形が着てるような感じの。


「ありがと・・・・。でもさ、どうせだったらもっと日常で使えるような洋服にしてよ・・・・。それに、こんな素敵なもの渡されても私には似合わないから・・・・・。」

                             

 なぜか知らないが、昔からこの幼馴染は、一カ月に一回というペースで手作りのドレスを送ってくるのだ・・・。そう、手作りの・・・・。コイツは手先が器用なのか、人形も作るが、人形のドレスなども作るのだ・・・・。というか、何度も断ってるのにどうして渡し続けてくるのか・・・。


「なぜだね?僕が着ている物と対して変わらないのだよ。」

「たしかに一緒だね、うん。でもね、君もさっき言ってたけど私とルトゥじゃ顔の造りの次元が違うんだよ。」


 次元の違いだからね?うん。というかなんで、君の洋服と対になってるやつを渡してくるの?嫌がらせ?


「まぁ、確かに・・・・。」


 はぁ・・・・。諦めてくれたk


「だが、やはり受け取るのだよ。せめて舞踏会の時に着るのだよ。」


 諦めてなかった!!


「いや、ルトゥが小っちゃい頃から送ってきた奴が溜まりすぎてるんだけど。舞踏会のペースよりもお前がドレスを送ってくるペースの方が早い。それに私、タキシードとか燕尾服とかモーニングも着たい。」


 私はコイツのドレスのせいで、タキシードもモーニングも燕尾服も着たことがないのである。もちろんそれらを色々改造してお洒落にした奴も。


「はぁ・・・?僕はドレスしか作れないのだよ。」

「ダウト!!お前が今着てる燕尾服・改はお前の手作りだろ!!」


 その、タイのフリルとシャツが白でジャケットと帽子が緑の燕尾服がお前の手作りだ、って知ってるんだからな!!


 ちなみに正式な燕尾服はジャケットも帽子も黒だし、タイはフリルなんかじゃなくて蝶ネクタイだからね。最近は正式なのを色々変えて着るのが流行ってるから、別に可笑しくはないけど。それに、燕尾服は昼間から着ない。そもそも、燕尾服やモーニング、タキシード、ドレスは特別な時以外普通は着ない。普段から燕尾服とかドレスとかを着ているルトゥは可笑しいといえる。まぁ、恰好よりもまず言動を治した方がいいと思うけど。


「まぁ、そうだが・・・。僕がお前に作れるのはドレスだけなのだよ。」

「なんで!?」

「君を想像して洋服を作ると必ずドレスになる。」

「何その怪奇現象!!」

「いや、君にはタキシードや燕尾服やモーニングは似合わないのだよ。」

「なんでや!!」

「ああいうものは体型が目立つ。君には・・・・ふふっ!!」

「チビデブだっていいたいのか!?」

「そうだが?」

「ばーかばーか!!」


 チビデブだよ!!何が悪い!!平均身長が高すぎるのと、標準体重が軽すぎるのが悪いんだ!!


「とにかく!!君には僕のドレスが一番なのだよ!!僕以外が作ったドレスやタキシード、燕尾服、モーニングなど着ようと思わないことだね!!」


 そういうと、ルトゥは靴を踏み鳴らして部屋から出て行った。


 ・・・・。本題からどんどん会話がずれてったな・・・。まぁ、とりあえず、人形とのイチャイチャは止められたし。ま、いっか。


「って、この部屋に独りぼっちじゃん!!怖っ!!」


 この人形部屋・・・じゃなくて、私・・・・とルトゥの寮部屋はちょっと・・・・いや、かなり怖い。だってさ、大量の目がこっちを見てるんだよ!?


「だーれかー!!」


 この部屋には誰もいないから、返事をされたら逆に怖いけど!!


「はーい。」

「えっ!?」


 ズルッ


 何かに足を滑らせた、と思ったら体が傾き、頭を強打した。あれ・・・意識が・・・・?というか、誰が返事を・・・? 


 気が付くと、目の前が真っ暗になっていた。


 

人形師って今風に言うと人形作家ですかね?

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