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「そうだね。母さん」
「っ! カノンっ! 何てことをっ!」
思わずマカは叫んだ。
カノンの側には………マカと同じ顔の少年がいた。
マカと同じ顔の作りだが、色素が薄い。
マカの通っている高校の男子制服に身を包み、マノンは笑顔でそこにいた。
いてはいけないモノが、目の前にいる。
マカは眩暈した。
けれど自分がしなければいけないことは分かっていた。
足に力を入れ、駆け出した。
そしてカノンの頬を叩いた。
パンッ!
「きゃっ…! マカ、いきなり何を…」
「何を、じゃないっ! 何ではこっちのセリフだ! 何故静かにマノンを眠らせてやらなかった!」
カノンの肩を掴み、マサキに渡した。
「マノンは人間だっ! 生き死にを勝手に操ってはいけないんだっ! 何故禁忌に触れたんだっ!」
「そんなに責めちゃ、かわいそうだよ。姉さん」
この場でも平然としているのは、マノンだけだった。
マカは弟を睨みつけた。
「マノンっ…! この世によみがえりたかったという気持ちは分かる。だが分かってくれ。お前はこの世にいちゃいけないんだ」
「マカっ! あなた何てことをっ」
「誰のせいでこんな言葉を言ってるんだと思うんだっ!」
マカの鬼気迫った表情に、カノンは黙った。




