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身内

 マカは足音高く、とあるビルの廊下を歩いていた。

 オフィス事務所に入ると、スーツ姿の社員達がマカを見て、笑顔で頭を下げる。

「あら、お嬢様」

「マカさん、お久し振りです」

「社長なら私室の方で休憩中ですよ」

「すまんな。ちょっと借りるぞ」

 奥の社長室をノックも無しに明けて、そしてそのまた奥の扉も開け放つ。

「マサキっ!」

 文字通り怒鳴り込むと、中にいた中年の男性が眼を丸くした。

「マカ…。会社に怒鳴り込んでくるとはどうしたんだい? お小遣いが欲しくなった?」

 部屋の中心のベッドに寝転び、テレビを見ていたマサキはあくまでも笑顔。

 だがマカは殺気立っている。

 どかどか中に進み、首を掴んだ。

「言えっ! どこのバカ女に言われて、あんなモノを作らせた?」

「バカ女? モノって何?」

 きょとんとしているマサキの首を、力の限り握り締めた。


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