始まりと終わりは同じ場所から・・・
「そろそろ、始めよう」
「ああ、そうだな」
「いい加減、決着つけようか」
「そうだな。始めようか」
「終わりにしよう。山森健一!」
「ああ、漣劔!」
山森健一は右手を漣劔は左手を握り締めて山森健一は空から、漣劔は地より迎え撃つ。
二人の拳がぶつかり健一は、空で受け身を取り、漣は地を後方に下がり体勢を整えて、自らも空に上がると、今度は右足を蹴り上げ、健一の鳩尾に喰らわせる。
「終わりだ。山森健一」
「…………ガッ…………」
そのまま、空で殴られ蹴られ続けて地面に、落とされる。
「…………ゲホッ………ゲホッ…………」
「どうした?健一?」
「漣、お前何が目的だ?」
「目的?別にそんなの無いけど」
「なん………だと………」
「あ〜でも、目的って言っていいなら一つだけあるよ」
「一体、何だ?」
「決まってるじゃないか。君を殺す事だよ」
「っ…………」
「アハハハハハ、言葉も出ないよね」
「漣…………昔のお前は………どうしたん…………だんだよ?」
「昔の僕?アハハハハハ、最初から僕は………俺は君が羨ましかったんだよ。君がいなければって何度も思った。何度も、何度も、何度も。だから、俺は、君が居なくなるように、あの日のあの場所で、君を消そうと考えた。それが、俺が君を誘った本当の真実。それなのに、君はいなくならなかった。だから、俺は、君を、今日ここで殺す!」
「漣………お前……こんな事して、雪になんて……言うつもりだ?答えろ。漣、なんて………言うつもりだ」
「心配する必要は無いよ。雪も他のみんなも、君と関わった全ての人を一人残らず殺してあげるから。先に地獄で待ってな」
「漣………お前……」
「さようなら、山森健一。そして、死ね」
漣劔は懐からナイフを取り出した。
(俺は、死ぬのか。こんな所で、死ぬのか。ハハハ……俺らしくない死に方だな。やっぱ、死ぬのは怖いな。死か。死にたくない。それが、本心だな。まだ、死ぬわけにはいかない。俺は、俺には、まだ為すべき事がある!!)
「これで、終わりだよ、山森健一」
「健一ーーーーー!」
漣劔の振り降ろしたナイフが、健一の首元に突き刺さる寸前で声が響いた。その声の主は、山森涼子だった。健一の大切な人だ。
涼子は、漣劔の前から健一を引きずって、抱き抱える。
「健一、大丈夫?」
「………涼子………なんと………かな………」
「もう、やめて。もう、これ以上戦わないで」
「その……通り……だけど…けど…漣劔は、俺が、決着つけないと駄目なんだ」
「だけど、もう、それ以上戦ったら、駄目だよ」
「涼子、お前の、言う通りだ」
「健一、じゃあ」
「でも、俺はこの世界に生きる全ての人々を守りたいんだ。例え、俺が死んでもな。特に今この場に居る皆は、何があっても守り抜きたいんだ。それに涼子には笑っていて欲しいからさ。それに、アイツとの約束を果たさないといけないから」
「え、アイツって?」
「涼子も知ってるよ。俺のほんの僅かの大切な人だ」
「え?まさか結衣ちゃん?」
「ああ、結衣との約束があるから、な」
「でも、今の体の状態じゃ、まともに戦えないよ……だから」
「涼子、ありがとな。俺の体の心配をしてくれて」
山森健一は、静かにゆっくりと立ち上がる。目の前の漣劔をしっかりと正面に捉えて、今にも倒れそうだが、それでもしっかりとその場に、立ち上がる。
「涼子、お前に逢えて良かった」
「だめ、そんなの駄目だよ。そんなのって無いよ。そんなの無いよ!健一が死んだら、私が悲しむよ。私だけじゃない、ここにいる私以外の皆だって悲しむよ。だから、お願いだから、やめて」
「ありがとな、涼子。悪いけど、今ここでやめることは出来ない。涼子、愛してる」
「そんなの無いよ。駄目だよ、そんな最期の言葉みたいに言わないでよ。まだ私の傍に居てよ!私を守ってよ!わがままかも知れないけど、お願いだから、傍に居てよ、私を守ってよ!」
「涼子、いつもありがとう」
「さぁ漣劔、最後の戦闘にしようぜ」
「もちろんさ。勝つのは、」
「俺だ!」
「駄目。駄目。駄目。駄目。ダメーーーーーーーー!」
「漣ーーーーーー!」
「山森ーーーーー!」
二人の拳が再びぶつかり、最後の戦いが幕を開けた。
「健一(兄貴/お兄ちゃん/兄さん/健一/山森先輩/山森さん/先輩/健一様/山森君/山森/山森ちゃん)!」
涼子が、結香が、凛が、雪が、莉沙が、榊蒼と薺楓が、
如月春香が、鳥桧勝と朝霧優芽が、寺坂が、
山竝證が、神山京介と赤城浩一が、霧山玲と唯がそれぞれ健一の名前を叫ぶ。
何でこんな事になってしまったのかは、事件の発端は四年前に遡る。いや、正確に言うならば十年前から始まっていたのかもしれない。あの日の出来事から全ては始まっていたのかもしれない。
詳しい詳細は活動報告で