自分は自分に嘘をつく。
あ~
眠い。
腹痛い・・・
「な、なんでいる?」
首斜め30°
「は?学生が学校に行かずとしてどうする!」
「いや・・・殺しに来たのか?」
ため息
「酷いぞ。僕はずーっと貴様が声をかけるのをわくわくしながら待っていたというのに」
なんかのキャラなのか・・・?
やっぱりツンデレか?
「わ、悪かったな」
とりあえず謝礼
俺が悪いのかわからないが
「で、これから我と昼食でもどうだ?積もる話もあるしな」
その前に自分のことを我か僕かどっちで統一しやがれ。
「今は食欲ないんだ。また今度な」
今は・・・・
「なんだと貴様は俺の言うことが聞けんのか?」
「頼む・・・」
「つまらぬぞ!来いやー」
男は俺の袖を無理やり引っ張る。
「やめ・・・」
「やめませーん」
バンッ
一瞬で五月蠅かった教室が静まる。
「いい加減にしろ!!」
ガタンッ!
椅子が倒れて床に叩き付けられた。
クラスのみんながこっちを向いている。
静けさが解けて生徒のざわざわとした声があちらこちらから聞こえだす。
それは言わずと知れた俺のことだ。
はっ
我に返り男の事が気にはなるが周りの目線がきつくて下げた顔が上げられない。
きっと男は動揺しているだろうか、それとも逆にまた杭を下げた俺の首元に振りかざしてくるのだろうか
頭が混乱する。
「ほっとけ」
一人つぶやいた言葉は心にもない一言だと気が付いた。
上げる目線は男子女子の数人の生徒。
そこに灰色頭は居なかった。
屋上前4階踊り場。
鋼鉄の扉に仕込まれた窓ガラスから真昼の太陽が見える。
空は秋の雲が浮かび、座る廊下の木が少しぬるい。
さっきチャイムが鳴った。
もう昼休みは終わりだ。
そんな中、俺は一人でこの場所にいる。
何やっているんだ、俺は?
自分に問うが解答は何処にもない。
ましてや俺が答えられないのだから当たり前なのだろう。
だけどもやはり俺は知っている。
その質問の答えを
それが言えないのは俺がそれを答えと認めていないからだ。
「何をやっているのですか?」
聞こえた声は階段の下からだ。
俺は体制を立て直して下を覗く。
時同じくして太陽が薄い雲に隠れて今までの陽気な光は消え、辺りは一瞬暗くなる。
こんな時間に話しかけられたのは初めてだ。
生徒は不良以外、全員授業。
教師は見回らない。
ましてやこのような場所には絶対に来ないはず。
階段の中間あたりにその人は立っていた。
「え?」
不意に出た声は抑える暇すらない。
「あ、菜々美さん」
雲が太陽から離れて窓から眩しい程の光が照らす。
そこにいたのは何時ぞやの黒髪少女の菜々美さんだ。
「あら、聞こえたのですね。よかった」
彼女は真っ向からの日差しを眩しそうに掌で隠しながら言った。
「そりゃそうですよ」
当たり前の様な事を聞くなこの人は。
よく漫画で主人公は初対面の女子に話しかけるが現実でもこんなのあるんだな・・・
「今日もまたおサボりですか?神田君は」
「ちょっと違うね・・・」
「あら?喧嘩ですか?」
「まぁ・・・そんなとこ」
「そうでしたか・・・いいですね青春です」
彼女は笑顔でそういった。
青春・・・
青い春と書いて青春と読む。
青春ってなんだ?
こんな力さえなければ・・・・
「神田君?どうかなさいましたか?」
笑顔。
この笑顔は青春なのか?
ふと思った疑問が馬鹿らしくて笑った。
「あ。悪い。ちょっと考えごとしてた」
「そうですか。悩むこともまた青春です」
いつでも笑っていそうな人だな。この人は
「じゃあ毎日が青春だよ」
俺も笑った。
こんなに人と楽しく会話したのは久しぶりだ。
昔は浅比と今までは師匠としかしてこなかった。
まぁ時折は琴音やら相良さんもあったかもしれないが
この高校でこんなに温かい時間は入学以来、今ぐらいなのではないだろうかと思うほどだ。
あれ?
今は確か授業中のはずだ。
「なぁ。菜々美さん?こんな時間に・・・」
コン
下の方から木と叩く足音が響く。
本日、二回目だ。
「あら。誰か来たようですね神田君。」
菜々美さんは笑う。
今度こそ教師かもしれない。
コン
足音。
やっぱり下から誰かがこちらへ上がってくる。
「近いですね。では私はこれで」
一礼。
そのまま彼女は体を後ろへと方向転換した。
「あ、待って」
俺は咄嗟に彼女を止めようと声を出す。
彼女は一瞬だけ振り返って笑う。
「また話しかけてくださいね」
そう言い残して静かに階段の下へと歩いて消えて行った。
なんで今、俺は彼女を呼び止めたのだろうか。
ふと、そう思った。
コン
足音。
足音は菜々美さんが消えてからもより近くそして大きくなってくる。
やっぱりさっきの階で上ることを止めなかったということは後は屋上しかない。
しかし足音は階段の手前で止まる。
日差しのあたる階段途中では白く光る頭が一つ。
そこにいたのは山田だった。
二日連チャンの更新です。
あ~
眠い。
次の更新はきっと遅れますねw
P・S
高画質でPCだと化けるので修理中の代替機に送っておきました。
昔の機会は今時の絵には合わないw