プロローグ 見えない違和感は通り過ぎる
ウチには上手く入れない遊びがあった。
保育園の頃、他の園児はごっこ遊びをして遊んでいたが、ウチにはそれを理解するのはちょっと難しかった。
戦隊ヒーローを見た皆はそれに倣い、自分自身がヒーローや悪役になりきるのだと思うのだが、そういったイメージはウチには湧いてこなかった。他者の展開するストーリーに、何一つ着いていけなかった。
そもそもそういった戦隊ヒーローなどの作品も興味を持たなかった。
だからこそ、ウチがそういった遊びに入るのはハードルが高かったのだろう。
では逆に友達と何をしていた?と聞かれると答えるのが難しい。あまり誰かと遊んでいた記憶が無いのだ。
1人で靴を飛ばしたり、竹馬をしたり、缶ぽっくりなんかやったりもした。
1人で遊ぶ。それがウチにとっては十分に楽しかった。
家では保育園の頃からテレビゲームをやったり、庭でおもちゃのゴルフセットを使い、遊んでいた。
両親もそんなウチを見て、特に変とは思わなかっただろう。
ウチ自身も幼いながら、生きていく上で、何も苦労は無かった。
ただ少し、周りと遊べないぐらいなだけだった。
そんな少しの違いは、この時から、ウチと周りを少しづつズラして行き、少しづつ狂わせて行く。
あなたは、自分だけが周りと違うと気づいた時、それがとても生きづらいと感じた時、一体どうしますか?
抱え込んで生きていきますか?誰かに相談しますか?
もし相談するとしたら、それは誰に言いますか?
その人は、あなたを受け止めてくれますか?
あなたが今の状況や、自分の事を理解してくれるようにしっかり口で説明出来ますか?
そして、自分が障害を持っていると知った時、あなたはどう受け止めて、どう生きていきますか?
これは、空気も文字も上手く読めない「ウチ」が、違和感に悩まされながら、障害と共に歩んでいく筆者の実話となっています。
ウチと同じように障害を抱える方の少しでも励みになれば、幸いです。