98.ドキドキ
ドキドキする。
大変なドキドキだ。
こんな気持ちは、初めて感じる。
この気持ちは、何だろうか。よく分からない。
陽葵さんは、客間に寄った後、リビングにやって来た。
今日は、肩掛けの白色のワンピースを着ている。
本当に、陽葵さんの清楚さが際立っていて、本当に可愛い。
ロングスカートなのも、僕好みで、見とれてしまう。
この感情の正体は何なんだろうか。
高梨琴葉という女性と交際した時には、味わった事の無い感情だ。
「ねぇ、詩季くん。私ね、詩季くんの好きな事を知りたい。だから、一緒に、アニメ見たいかな?」
陽葵さんは、僕と一緒にアニメを見たいとお願いしてきた。
昨晩は、陽菜ちゃんの好きなアニメを見ていたが、今日に関しては、僕の好みのアニメを見たいそうだ。
昨日と同じ配信アプリをテレビで視聴する。
テレビの前に置いてあるソファに腰掛けて、視聴するが、陽菜ちゃんというストッパー的存在が居ないからか、昨日より距離が近いように感じる。
「へぇ〜〜詩季くん。こんなアニメ好きなんだ」
僕は、色んなアニメを漁って見ているが、やはり1番好みなのはラブコメものだ。
今の、陽葵さんへの感情が何かが、さっぱりわからない人間にラブコメは、???なのは、わかる。
しかし、男女の掛け合いが、面白くてついつい見入ってしまうと、気が付くと告白シーンになっているのだ。
本当に、こういう作品を創作してくださる方々には頭が上がらない。
陽葵さんには、退院後にドハマりした、春アニメ枠で放送されたラブコメアニメを見せている。
布教という意味なら、夏アニメの中から紹介して、感想を語り合うのもありかもしれないが、今はノーマルでいいだろう。
「むむぅ〜〜」
何だか、陽葵さんが頬を膨らませている。
「何か、詩季くんの好きなアニメに登場するキャラクター……巨乳か貧乳のキャラしか居なくない?」
何故に、アニメキャラに嫉妬しているのか。
「詩季くんはさぁ〜〜巨乳と貧乳……どっちがいいの?」
何で、陽葵さんは、自身の胸に関して、僕の感想を拘るんだ?!
というか、巨乳か貧乳のどっちが好みかなんて、正直な所、無いよ!
「ねぇ~~どっちなの?私、結構ある方だと思うんだけど……」
そこで、胸を強調しないでもらえますか!
と言うか、陽葵さんは、やっぱり着痩せするタイプだよね。まぁまぁどころかかなり協調されているよね。確かに、体操服でも制服以上に強調されていたよね。
どう、答えたらいいんだよ。
「高梨さんは~~あまり、大きくなかったよね?」
体育の着替えの時にでも見てサイズ感を把握していたのだろう。と言うか、僕は、高梨さんとそういう関係にはなっていないので、彼女の胸のサイズは、知らないのでどうでもいい情報だ。
「あっでも、そこまで行かなかったんだね……それで、巨乳と貧乳のどっちが好みなの?間とか無しだからね」
勝手に自己完結して、答えを催促してきた。
しかも、無難な答えを許さないと言った事も言われてしまったので、逃げ道が塞がれた。
「正直言うと、胸の大きさには好みは無いのですが……」
「そ・れ・で!」
これは、答えるまで許してくれなさそうだ。
「好きになった人の胸を好ましいと思うと思います」
「うわぁ~~そっち方面の無難な答えがあったかぁ~~ここを消さなかったのは盲点だぁ~~」
本当に、この子は、何で僕の胸の好みでここまで悔しがっているのだろうか。
そして、その言動を清楚な印象を抱かせる格好でしているのだ。
本当に、黙っていれば、清楚系の美女と言えるのに、何故、こうなってしまうのか。
ある意味、ガッカリ系女子とも言えなくもない。
僕の事を、男して見ていないのかもしれない。
だから、スカートの中を見せてきたり、胸の話が出来るのではないのか。
いや、もしかしたら、僕に対して好意があるから、アピールの意味を込めて……?
いや、それは無いか。
友人として信頼してくれているかるだろう。
本当に、僕だけが、ドキドキしていて、陽葵さんは、余裕そうだ。
「陽葵さん。お胸の話は、終了で!他のアニメを見ましょう」
〇〇〇
あばばばば……
ついつい、聞いちゃったよ。
普通、好きな男の子に聞かないよね。巨乳か貧乳のどっちが好みかなんてぇ〜〜
そして、聞いたのはいいけど、上手いこと交わされた(躱された)しぃ〜〜
あぁ、恥ずか死ぬよぉ〜〜
わかってますよ。自分で自分の首を絞めたこと位。
でも、仕方なくない?
好きな人のハマってるアニメみたら、やたらと巨乳キャラいるし、まぁ、それも面白くするための演出の一環なのはわかるけども。
まさか、アニメキャラにまで嫉妬するなんてぇ〜〜
詩季くんと、1つ屋根の下で2人きりは、初めてじゃない。
詩季くんを膝枕した時は、2人きりだった。
だけど、今回は訳が違う。
改めて実感した。
今晩のお泊まりは、静子さんや健三さんが居ない。そして、陽菜も帰った。
本当の意味での好きな男の子と2人きりなのだ。
ドキドキがやばくて隠すので必死なのだ。
あぁ〜〜なんで、詩季くんは、平然としてられるの?
その極意とやらを教えて欲しいよ。
お母さんから、ゴムを渡された。
もしも、そういう雰囲気になったら受け入れると思う。
だって、好きな人と出来るんだよ。
やばい。
最初は、しっかりと段階を踏んでいきたいと思ってたけど、好きな人と2人きりでのお泊まりは、やばい。
舐めてた。
段階をぶっ飛ばしそうで…………怖いな。
詩季くんは、脚が悪い。だから、私が押し倒したとして力では私に敵わない。
だから、詩季くんへの恋心を今は、抑えないといけないのに…………
2人きりで、彼の新たな一面を知ると恋心が暴走しそうだ。
詩季くんは、私を友人として信頼してくれているんだ。
今は、この距離を大事にして、段階的にステップアップしていかないとね。
まぁ、今晩、前に詩季くんが言ってた期末テストのご褒美は、しっかり貰うけどね。




