90.両校生徒会
「よし、これで、何時でも藤宮の生徒会を迎える事が出来る」
今日は、藤宮学院高等学校との合同クリスマスパーティーの話し合いの日だ。
僕は、陽葵さんと春乃さんと共に、登校してから松本先輩の下で、僕が出来る準備を行った。
2人は、待っている間は、広報のお仕事で生徒会新聞を制作するようだ。
ブー♪
古河先輩のスマホが鳴った。
古河先輩は、内容を確認し終えると2年生2人に声をかけた。
「藤宮の生徒会が、到着した。出迎えに行くから着いてきてくれ。優花は、白村と共に、ここで待っていてくれ」
そう言うと、古河先輩は部屋から出て行った。
「所で、僕を生徒会に入れたもう1つの理由は、まだ、聞けないのですか?」
「お願いだから、少し待ってくれない?まだ、話せない事が山ほどあるの。確かに、裕大が、君を生徒会に入れようとしていたのを利用した形ではあるけど」
僕を生徒会に入れた理由に関しては、以前、松本先輩から聞いていた。
だけど、役職に関しては、疑問は残っている。
何故、僕だけ、会長補佐で松本副会長の下で働く事になっているのか。
ただ、2年生に刺激を与えるだけなら、僕を広報で、陽葵さんと春乃さんを広報補佐にして、広報代表としてこの場に出席させても良かったはずだ。
「白村くんは、頭の回転早いから察しも良いね。かなり、困ったものだよ」
「僕としては、理由を知りたいだけなのですが?」
何かがあるのは、確かだ。だが、松本先輩は話そうとしない。
いや、話せないのかもしれない。
まぁ、僕や陽葵さんたちに危害が及ばないのなら放置で大丈夫だろう。
数十分ほど待ったタイミングで、古河先輩と2年生の先輩方2人が藤宮高校の生徒会の方々を連れて部屋に入って来た。
「すみません。奥に座っているのは、1年生なのですが、足が不自由なので座ったままの挨拶になります」
「はい、大丈夫ですよ」
古河先輩が話している藤宮の生徒会の人は、女性だ。しかも、かなり顔が整っていた。
もう一人の女性もかなりの美人さんで、アイドルをやっていると言われても疑わないと言う程の可愛さだ。
桜宮生徒会と藤宮生徒会のそれぞれ別れて座り、初対面の人も居るので自己紹介から始まる。
ちなみに、座席順だと
星川 橋渡 古河 松本 僕
となっている。
まずは、話し合いの会場の主催の桜宮生徒会が、古河先輩から順番に自己紹介をしていき、最後は僕だ。
僕は、杖を使って立ち上がろうとする。
「座ったままで大丈夫ですよ」
古河先輩と話していた女性の方は、座ったままでいいと言われたので、僕は立つのをやめて自己紹介を始める。
「白村詩季と申します。会長補佐を務めています。1年生で、つい最近生徒会に入らせて頂いた新参者ですが、合同イベントの成功に向けて頑張って行きたいと思います」
軽めの自己紹介を終えて一礼をすると、アイドル級の可愛さを持つ女性は、僕の事を興味津々に見ている。
「1年生で生徒会に入ってすぐに、大事なイベントに抜擢。なんだか、親近感湧くんだけど」
「確かに、似てるよね」
藤宮の生徒会の女性2人が、仲良さげに話している。
「2人とも、次は、僕らが自己紹介だよ」
藤宮生徒会唯一の男子メンバーである男の子が、2人をたしなめた。僕としては、この子に親近感を抱いてしまう。
「では、私から自己紹介をします」
最初に、椅子から立ったのは、藤宮生徒会のリーダーだと思われる女子生徒だ。
「私は、望月柚羽と言います。生徒会の役職としては、白村くんと同じ会長補佐を務めています。一応、2年生です」
会長補佐の役職を聞いて、僕は、望月さんに親近感を抱いた。同じ、役職で働いている者同士で、少し、交流を持てたらと思う。
「次は、私ですね」
望月さんと変わって立ち上がったのは、アイドル級のルックスを持っている女子生徒だ。
「有隅桃花です。望月とは同い年で、副会長を務めています。白村くん、うちの生徒会長に似ているね。古河さんが、会わせたがっていた理由、わかります」
藤宮の生徒会長に似ている?
生徒会長の自己紹介はまだなので、1人の男の子が生徒会長なのだろうか。
「最後に、清水陽太と言います。1年で、会計を務めています」
ん?
会長補佐、副会長、会計点々
何か足りないな。
と言うか、この足りない物に関しては、気が付かない方が、おかしいと思える程だ。
「すみません。少し、いいですか?」
手を挙げて、意見を述べる許可を申請する。
「白村、どうした?」
古河先輩からの問い掛けに、答える形で、藤宮の生徒会の方に質問を述べる。
「藤宮高校の生徒会長は、どちらにいらっしゃるのでしょうか?私は、生徒会に入ったばかり故に、事情を把握出来ておりません」
僕の質疑に、松本先輩は、古河先輩を睨みつけていた。
「……すみません。事情を説明するのを忘れていました」
「良いですよ。むしろ、疑問に思うのは当然ですし、それを質疑できるのは凄いですよ」
望月さんが、古河先輩と対等に対応している。
「私、望月が、会長補佐として、生徒会長である柏木倖白の会長代理を務めています」




