結婚式&新婚旅行
「詩季にぃ。陽葵ちゃん。結婚おめでとう!」
「ありがと」
今日は結婚式だ。
結婚する事を決めた翌日に役所に行って婚姻届を貰うつもりが土曜日でお休みなのに気がつかなかったが、母さんと桜さんが証人欄に2人の名前を書いた婚姻届を持ってきてくれた。
週明けに婚姻届を役所に提出してから諸々の手続きを行ってから結婚式の準備を始めた。
約1年の結婚式の準備を終えて、今日、僕と羽衣は結婚式を挙げる。
〈詩季お兄様。ご結婚おめでとうございます〉
〈ケニーもね〉
ケニーくんの僕の呼び方が、お兄様となっている。
様付けなのは、羽衣が叩き込んだ結果なので放置を決めている。
呼び方が変わった理由は簡単だ。
羽衣とケニーくんも少し遅れたタイミングで結婚を決めて僕と陽葵の後に結婚式を挙げるのだ。
ちなみに、僕と陽葵夫婦とケニーくんと羽衣夫婦の結婚式と新婚旅行はリンクしている。
予定としては、
【詩季&陽葵】
今日 結婚式
来月 イギリスに新婚旅行
〖ケニー&羽衣〗
今日含めた5日間 日本に新婚旅行
来月 イギリスで結婚式
ケニーくんと羽衣は、先に新婚旅行に日本を選びその中で、僕達の結婚式に出席しているのだ。
ちなみに、僕と陽葵も新婚旅行でイギリスを訪問した際に2人の結婚式に出席の予定だ。
「にしても、予定合わせたん?」
「いや、偶然。てか、同棲初日に結婚決めるとは思わないよね」
「まさかのお互いの結婚報告になるとはね」
僕は羽衣と話している。
結婚を決めて役所に大事な書類を提出した後に、羽衣達に呼ばれて食事を共にしたがその時に、お互いに結婚の報告だった。
「私達は、事前にお互いの両親に話してたけど、詩季にぃ達は突然だったから母さん焦ってたよ」
「確かに。陽葵を孕ませたかって疑われたもん」
「そりゃそうなるよ!」
僕と羽衣は、積もる話もある。
陽葵もケニーくんと英語で上手に会話していた。
「新郎新婦様。ご準備の時間です」
「行ってらっしゃい!」
僕と陽葵は、結婚式の服に着替えるため一旦、別々の控え室に移動した。
「おぉ〜〜陽翔くんではないですか!お手伝いよろしくです!」
僕の控え室には母さんや祖父母の他に陽翔くんが居た。
脚が不自由な僕の着替えのお手伝いだ。
「これからもよろしくねぇ〜〜僕の従者くん?」
「改めて、春乃が詩季の無茶振りに平然と答えている凄さが解る」
陽翔くんは、春乃さんとの結婚のお話が進んでいる。
陽翔くんは、前の会社を退職して、今は僕の従者としての教育期間だ。
「僕の従者としての教育って名目で恋人と一緒に働けてるんだからねぇ〜〜」
「……プライベートと仕事モードの春乃の違いにも泣きそうだよ」
陽翔くんに着替えを手伝って貰いながら雑談をする。
「物凄く緊張してるのは、失敗したら怒られるから?」
「そうだよ!従者としての仕事……正直舐めてた」
「そりゃ、頑張って貰わないとですね。春乃さんが育児に入る場合は陽翔くんが僕の従者になる訳ですから」
陽翔くんは、住吉家に婿に入る予定だ。
「詩季の従者になるのは良いんだよな」
「陽葵の言うことを聞くのは嫌だと?」
「そゆこと」
「ちなみに、本家の人の前でその口調だとしばかれるから結婚式本番は注意してね。披露宴は友人しか呼んでないけど」
そう言うと、陽翔くんから物凄い緊張感が漂ってきた。
結婚式には、黒宮家の人物も呼んでいる。
清孝さんの号令で披露宴は、友人家族だけになっている。
「どう?」
「似合ってるよ。陽葵ちゃんも惚れ直すんじゃないかな」
「ケニーくんはどう?」
「は、はい!にあっているとおもいます!」
「ありがとう」
ケニーくんにイタズラで日本語で尋ねてみたが、完璧とは言わないがしっかりとした発音で文法通りに返してくれた。
相当、練習していた事が見て取れる。
〈どうしたの?ケニーくんもこれ着るつもり?〉
〈はい。羽衣が喜びそうかなぁ〜〜と〉
ケニーくんが日本語を喋るのは上達しているが、英語の方がスラスラと会話出来るので使い分けている。
〈ケニーくんは、着ない方がいいよ。これは、僕が似合うだけだからね。僕と君はまた別だよ〉
〈は、はい〉
〈それで、2人は結婚後は日本で暮らすの?〉
〈はい!日本の事が気に入りました!〉
ケニーくんは羽衣と結婚したら日本に移住する事にしたそうだ。
初めて日本に来た時に環境が気に入ったようだ。
そのため、2人の結婚式はイギリスで執り行う事にしたそうだ。
〈羽衣の事泣かしたら持てる力使って叩き潰すからね?〉
〈幸せにします。これだけは、絶対に約束します〉
〈あはは!半分、冗談のつもりだったのにね〉
〈半分、本当じゃないですか〉
陽葵が着替え終わるのを待つ間に、ケニーくんと雑談をした。
羽衣は、陽葵の方に行っているみたいだ。
「新郎様。新婦様の準備が整いました」
呼ばれたので陽葵の元に移動しようとしたら、部屋の扉が開けられて、純白のウェリングを身にまとった陽葵が入ってきた。
「そっち行くのに」
「わがまま言って来ちゃった。だって、ドレス着ても私の方が歩くの早そうだし?」
「それは、否定出来ぬ」
西原両親が母さんと祖父母と合流して会釈等々しながら会話をしている。
「可愛すぎる」
「ありがとう!」
正直な感想を伝える。
この姿の陽葵は今日しか見られないのだ。




