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318.プクー

「今日の晩御飯はロコモコ丼だよ」

「楽しみ。陽葵のご飯は美味しいから」


 疲れた。


 疲労が困憊だ。


 沢山、動いていた。


 今回の事を完遂するために起こりえる分岐ルートを幾つも考えて対策できそうなものは対策していた。


 今日の起こった出来事も事前に想定していた分岐ルートの1つであった。


 色んな分岐ルートを想定してそれぞれで起こりえる不測の事態の対策も考えて頭に記憶していた。


 それが、終わった事で相当の疲労感が身体を襲ってきている。


「詩季、疲れてるね」


 陽葵に対していつも通りの返答してみたが、疲労の色が消えていなかったようだ。


「隠しているつもりはないんだろうけど溢れてるよ」

「隠せてない?」

「うん。今も今後に起こりえるかもしれない出来事を考えてるでしょ?」


 陽葵に見透かされていた。


 高校生の間は、ゆっくり出来るだろうか。


 もしも、高校生の間に何かあるとすればどんな事があるのだろうかだとか考えていた。


「私はそっちの事情に詳しくないから何とも言えないけどね。ここからは大人の仕事だと思うの。だから、大人レベルで考えるのは高校生の間はいいんじゃない?」


 陽葵の言う通りでははある。


 ここからは、大人の仕事だ。


 子どもの僕が出来る事は限られている。


 なら、今からの高校生活はのんびりと謳歌するべきなのだろう。


 時期が来れば呼ばれるだろうから。


「うん。そうだね。それと、今日の春物の服も可愛いよ」

「えへへ。頑張って選んだんだ」


 陽葵は上は白にちょびっとのピンク色の花が付いているシャツに青色のスカートだった。


「陽葵」

「なに?」

「隣、座って」


 自分が座っているソファの隣をポンポンと叩いてここに座ってと陽葵を呼ぶ。


「どうしたの?」


 陽葵は、僕にくっ付く形で隣に座ってきた。


 陽葵が僕の事を信頼してくれている事が伝わってくる。


 すると、陽葵は目を閉じた。


 陽葵には、僕が何を求めているかバレバレのようだ。


 陽葵とキスをした。


 ここまで頑張ってきた事に対するご褒美を味わえている気がする。


「ありがとう」

「うぅん。私もしたかったから」


 キスを終えると陽葵は立ち上がって、僕の膝の上に乗るとハグをしてきた。


 この体制だと僕の顔が陽葵の胸の位置に来るわけで。


「むふっ、ひふぁみ。むにぇ〜〜(陽葵。胸〜〜)」

「存分に私の胸を味わってね。わざと押し当ててんの」


 陽葵は、僕をハグして僕の顔を自身の胸に埋めさせた。


 陽葵がいいと言うので大人しくそのままにしてもらう。


 陽葵の着ているお洋服の柔軟剤だろうかいい匂いがする。


 そういう事をする時に触っているが、顔ではない。


「おひぃふぅく(落ち着く)」

「そっか。思う存分、味わってね」


 上手に喋れないが、陽葵は僕の言いたいことを汲み取ってくれる。


 そこから数分この体勢のまま居させてもらい、陽葵の脇腹をポンポンと叩いて解放してという意志を伝える。


「満足?」

「うん。大分、落ち着いた」

「そっか!そろそろ、ご飯の準備するね。詩季にはロコモコ丼のハンバーグ作ってもらうから」

「解った」


 陽葵はキッチンに移動してご飯を作り出した。


 最初に僕が形を成型するハンバーグの元を作って、僕の前に置いてくれた。


 僕はハンバーグを成型しながらリビングで調理を続ける陽葵を見る。


 ピンク色の可愛いエプロンを身に着けて料理をしてくれている。


 将来はこう言った光景が沢山見られるのかなと思うと楽しみだ。


「なに、詩季?」


 見つめ続けたため陽葵が気になったようだ。


「見てたらダメなの?」

「ダメじゃないけどさ。気になるんだもん」


 陽葵は頬にお菓子でも詰め込んでいると思えるぐらいに膨らませていた。


(感情表現が面白いな)


 カシャ♪


「あっ、写真に撮った!私、怒ってんのに!」


 料理の最中で手が離せないのを解ってやっているので、陽葵の頬は膨れたままだ。


 カシャ♪


「あ、また撮った!」


 陽葵はプクーっと怒っている。


(やった!可愛い陽葵の表情のコレクションが2枚も増えたぞ)


 僕は座ってニコニコとスマホに保管している『可愛い陽葵コレクション』にさっき撮った写真を写した。


 それを終えたタイミングで、僕の頬が引っ張られた。


「詩季~~」


 どうやら、後はハンバーグを焼いて盛り付けるだけになったようで、2枚の写真を撮った事に抗議しに来た。


「詩季~~何を勝手に撮ってんの?」

「だめひゃの(だめなの?)」


 頬を引っ張られているので上手に喋ることが出来ない。


「だ、ダメじゃないんだけど……急に、撮らないで!可愛い姿を撮って欲しいもん」

「おふぃているのもふぁわいいから(怒っている姿も可愛いから!)」

「可愛いって言えば何でも解決すると思ってない?」

「はなひぃて(はなして)」

「あっごめん」


 陽葵はやっと頬から手を放してくれた。


「だって、リスのように頬を膨らませてんの可愛かったもん」

「……そうなの?」

「それに、将来、結婚してここに一緒に暮らせばこの光景が毎日見られるのかなっておもってさ」

「……子どもが出来たら楽しそうだよね」


 陽葵のお怒りが収まったようだ。


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