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308.高所からの眺め

「きゃぁ〜〜スカートめくれるぅ〜〜」


 奈々さんがめくれかけているスカートを抑えながらそう言っている。


 僕達友人たちはそんな奈々さんに冷ややかな目線を向けた。


「強い風が吹くアトラクションでスカートの方はジャージを貸し出すので履き替える旨の注意書き無視したのはお前だろ」


 4月も最終日。


 今日は、校外学習に来ていた。


 校外学習先は、サイエンス系の学習が出来る施設だ。


 今、僕達がいる場所は、強風を体験出来る施設で、前後左右上下から様々な強さの風が吹いてそれらが体験出来る施設だ。


 ちなみに、僕は身体的な理由から見学で陽葵も僕に付いて一緒に見学だ。


 ちなみに、上記の注意書きの通り春乃さんと琴葉さんは、ジャージを借りて対策をしていた。


「あっそっか。別に体操ズボン履いてるからいいっか!」

「ここは、公共施設だから体操ズボン履いてようがガードしろ!」


 奈々さんの制御役の瑛太くんが、大変、苦労されている。


「陽葵はいかなくていいの?」

「いいかな。詩季くんの隣に居たいから」

「嬉しい事言ってくれる。それにしても、瑛太くんは大変だねぇ〜〜」

「あはは。奈々ちゃんは予測不能か動きをするからね」


 予測不能な行動をするのは、陽葵も変わらないと思うが黙っておく。


 機嫌が悪くなるかもしれないからね。


 数回に渡る強風体験。


 スタッフさんは女性な事も奈々さんを安心させた要因なのだろう。


 様々な風の方向や強さを体験している。


 スタッフさんから「一旦、着替えますか?」の提案も拒否してスカートのまま楽しんでいる。


 下からの風の時は、彼氏である瑛太くんが奈々さんのスカートを必死に抑えていた。


「2人きりになったら私の見る?」

「……見る」


 陽葵には、僕が考えている事はお見通しだったようだ。


「ふぁ〜〜楽しかったぁ〜〜シャツぐちゃぐちゃだよ」


 アトラクションから出て来た奈々さんは、僕達の前に移動するとシャツ直しを始めた。


 更衣室に移動した春乃さんと琴葉さんと一緒に行ってそこですればいいと思うのだが黙っておく。


 言ってしまえば、陽葵が拗ねてしまうだろうから。


 瑛太くんは僕と言うか陽葵に1、2回ペコペコしているのは気になるが。


「奈々ちゃん。彼氏以外の男の子の前で出来るんだね」

「体育の時間に見せてるじゃん?」

「それもそっか。私もしよ」


 着替えを終えた琴葉さんと春乃さんが合流した。


 琴葉さんも奈々さんに同調してシャツ直しを始めたのには驚いた。


 そして、琴葉さんは僕にウィンクをしてきた。


 琴葉さんは、新たな友人と1ヶ月で大分打ち解けている。


 それは、いいのだが。


 さっきのウィンクは、何の意味何だろうか。


 色々と考えていると左頬に痛みが襲ってきた。


 僕の左隣に座っているのは、陽葵だ。


「いひゃい」

「チラ見はいいけどガン見はダメ」

「ごめんなひゃい」

「よろしい」


 なるほど、琴葉さんにはめられたか。


 琴葉さんは、クスクスと笑っていた。


 ただ、春乃さんの必死に笑いを堪えている姿には少しばかりイライラしたので、無理難題な仕事を振ろうか。


「では、次の展示施設に向かいましょうか」

「逃げたなぁ〜〜」

「逃げますけど何か?」


 琴葉さんに煽られながらも次の施設に移動するのだった。



〇〇〇



「1班全員居るな?」


 定時の先生への確認を行っている。


 その間、僕はベンチに腰掛けて休んでいる。


 班長・副班長の西原兄妹が守谷先生にチェックを受けている。


「疲れた?」

「1年前に比べると大分まし」

「そっか」


 暇を持て余した琴葉が話しかけてきた。


「詩季ってさ。高い所からの景色好きだよね?」

「夜景が好きなんだけどね。高所からの夜景って本当に綺麗なんだよね。特に、六甲山の」

「小さい頃ロープウェイに乗って見た景色楽しそうだったもんね」


 懐かしいお話だ。


 皆で六甲山に遊びに行った帰りのロープウェイから見てた神戸の夜景に心奪われた懐かしい記憶。


 それ以来、高所からの景色は夜になるとどんな感じになるのかを想像して見るようになった。


「まぁ、ここは3階だからそんなに高所ではないけどね」

「そうだね」


 地上で歩いている人を眺める。


「ねぇ」

「琴葉さんも見えましたか」


 幼少期の長い間一緒に居たからこそ、相手の好みの服装を把握してしまっている部分がある。


 僕に関しては1年のブランクがあるがはっきりと解ってしまった。


「石川くんと岡さん。謹慎処分の意味……解っていないですよね」


 服装の特徴だけでなく長年関わっていた事による直感もそう告げている。


「白村……何か気になるのか?」


 守谷先生が僕の事を呼んでいる気がするが2人が何を目的にここに来ているのか考える。


 私服を着ている時点で謹慎処分は開けていないのだろう。


「何を見てるんだ?」

「あぁ、守谷先生。謹慎処分中の生徒かもしれない人を見かけましたので……」


 僕は守谷先生に情報を話した。


 それを聞くと僕たちの班に点検は終了した旨を話してどこかに歩いて行った。


「ねぇ……あの子たち……」

「僕たちの年齢なら行ってはいけない方向ですね」


 2人はホテル街に歩みを進めていた。


「……でも、入ることはないでしょうね」


 しかし、連絡を受けたのだろう。


 2人の後ろから担任教諭と学年主任が付いていくのが見えた。


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