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305.どうすればいい

「どうすればいいんだよ。もぉ〜〜」


 夜の21時を過ぎた未来創造の会社オフィスの会議室。


 この時間に会議をするのは、幹部社員以外の一般社員に聞かれたくないのと、こう言った話を一般社員の耳に入れて萎縮させたくないからだ。


 この会社の社長が、頭を抱えて机に伏せた。


 社長夫人も背中を摩っている。


 副社長の誠と平だが役員の聡もなすすべがないからか椅子に座って下を向いている。


「スワングループ……とのアポイントは?」

「取れていないです」

「何処で切られている?」

「受付の段階です。最近は、会社名を名乗るだけで切られます」


 会社としての重大な取り引き先であるスワングループもとい黒宮家から現状の取引契約満了をもっての取引停止を告げられている。


 そこから幾度か交渉を重ねたが、スワングループが首を縦に振る事は無かった。


 最後の交渉から別の提案を練りに練って、再度の交渉の席を設けて貰うべくアポイントを取っている。


 だが、最後の交渉から数ヶ月経っているがアポイントを取れない。


 最近は、受付の段階で門前払いされている始末だ。


「……聡。しずか、詩季くん羽衣ちゃんとの接触は?」

「出来ないよ。下手に近づけば家族としての縁を切られてしまう」

「誠は……すまん。聞かなかった事にしてくれ」


 今も尚、友情を取って未来創造に残り続けている聡。


 聡にとって、学生時代からの友情があればこの危機も家庭の危機も何とかなると思っているのだろう。


 そんな考え方だからだろうか、交渉相手が自分の妻か子どもになっていてもどうにかなると思っている。


 交渉においての大事な事である相手の思惑を読んで考える事を放棄しているのだ。


「なぁ、2番手の人と交渉出来ないのかな?」


 社長が何かを思いついたようで、この場にいる皆に質疑した。


「2番手と言うけど、誰なんだ?そもそも、この交渉は未来創造とスワングループのという形式だけどバックには黒宮家が居るんだろ?」


 聡の返答で社長の提案も暗礁に乗り上げる。


 対未来創造のチームの2番手に交渉を持ち掛けるにしても相手方の交渉担当の序列を把握出来ていないのだ。


 例え、直接の交渉相手の序列を把握出来た所で、バックに黒宮家が居るためほとんど意味が無いだろう。


 何せ、スワングループは黒宮家の傀儡だろうから。


「……聡にとって好ましい事では無いのは理解しているけど、黒宮本家との交渉は出来ないか?」


 相手の序列が見えてこないならバックに居る黒宮家との直接交渉に打って出れないか道を探る。


「すまない。黒宮本家……俺の父親との連絡を取る手段が無いんだ。家から絶縁する際に消したから」


 唯一の希望である聡が連絡先を知らないという事で、その道も閉ざされた。


「しずかしか知らなかったんだな」


 ここに来て、しずかが退職した影響が重くのしかかってきた。


 頼りたいはずのしずかは、現在、相手方だ。


 道がない。


 交渉のキャッチボールにおいてボールはスワングループ側が持っていて大元が投げ返す事を許可していないだろう状況だ。


 何とかしてボールを投げて欲しいが投げてくれない。


「どうしたらいいんだよ」


 警察からの捜査協力は拒否している。


 だから、黒宮家の情報網だろうが耳に入ることは無いだろうと踏んでいる。


 今、警察からの捜査協力を受けてしまえば、更に、ボールを強く保持するだろう。


 つまりは、交渉が息詰まる。


 それに、最初に警察からの捜査協力が来た際は、入口で帰って貰って影響は葉月と受付嬢1人の退職だけだった。


 だけど、数度の捜査協力依頼での訪問に、受付への電話で少なからず社内で変な噂が流れていて鎮静に時間も喰っていた。


 最近は、警察からの捜査協力が無くなって落ち着いて黒宮家との交渉に重きを置けている。


 ブー♪


 聡のスマホに、1通のメッセージが入った。


『 (しずか) 5月1日なら交渉の席を開けるけどどうする?』


 しずかからのメッセージに、聡は勢いよく立ち上がる。


 急に立ち上がった聡に、注目が集まる。


「どしたんだよ。聡」

「誠に皆!しずかからメッセージが来て、5月1日なら交渉出来るって!」

「おぉ〜!」

「当日は、会議の予定だったけど延期だな」


 会議室内は一気に明るくなった。


 黒宮家側が、キャッチボールのボールを投げ返す用意があると表明したのだ。


 そこ日は、社内の各部署の責任者を集めての会議が予定されていたが、キャンセルして黒宮家との交渉に重きを置くことになりそうだ。


「その日にしよう!」

「返信する」


『 (白村聡) その日で大丈夫だ』

『 (しずか) 了解。10時には着く』


 会議室内は少ない期間で、最善の交渉をするべく作戦会議を進めていく。



〇〇〇



「詩季。5月1日の10時になった」

「了解〜〜」


 母さんが父親を経由して、交渉のアポイントを取ってくれた。


「トーク内容見るに、食い付いて来たね。既読になるの早かったし」

「返信も5分以内だったね」


 メッセージのトーク履歴を見るだけで、相手側がどれだけこの機会を待っていたのか丸わかりだ。


 更に、余裕が無いことも。


 余裕があれば、既読を付けるのもこの時間なら日付が変わるのを待ち翌日の朝に既読を付けて「話し合って返答します」と返せばいいのだ。


 そして、12時を超えてから了承の返事をすればいい。


 こっちから返答の期日は設けていないのだから。


 この行動だけで、相手方に余裕が無いのが丸わかりだ。


「こっちの勝ちですね」

「もう確定なの?」

「この慌てよう。イレギュラーがあったら1個も対応出来ずに沈みますよ」


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