289.奈々と瑛太
「疲れたぁ〜〜」
奈々はそう言うと、俺の部屋のベットにダイブした。
「一応、俺の部屋なんだけど?」
「えぇ〜〜瑛太の部屋で、何時もしてんじゃん?ベットへダイブ!」
「……いっつも、奈々が帰った後に母さんに怒られんだよ!ベットが汚いって!」
「えぇ〜〜そりゃHしたら汚くなるくない?あんたのベットメイキングが下手なのさ!」
「怒られんのは、しなかった日だ……」
彼女の奈々の言動にイライラしながらも、堪える。
奈々とお付き合いを初めて、2年以上は経過しているだろう。
お互いに、記念日とかに拘りが無いので、交際初めて何日とかは全然数えていない。
そう言う事も、お互いがしたいと思ったタイミングと場所が整えば致している。
「えぇ〜〜じゃぁする?今日、おじさん達留守でしょ?」
そう言いながら、スカートを捲り、中の体操ズボンから下着をちら見せしてくる。
「……女の子日だろうが。乗れないのに誘うな!」
「瑛太ならそこら辺自制してくれるから誘えんだよ!それに、したくても出来なくてもだ――んがぁ!」
ベットに寝転がっている奈々の上に乗り、彼女の頬っぺを掴み口をタコの形にさせる。
流石に、ここまで挑発されて黙っている訳では無い。
「きふぅ!きふぅ!(ギブ!ギブ!)」
「よろしい!」
ギブアップを宣言したので、解放する。
何時もの流れだが、この流れも楽しくある。
奈々の上から退いて、奈々の隣に腰掛ける。
「スカート邪魔だぁ〜〜!」
ハイテンションな奈々は、スカート脱いだ。
安心してください。
体操ズボン履いてますよ。
的に、下は体操ズボンになった。
「本当、スカート嫌いだよな」
「だってぇ〜〜ズボン履かなかったらパンツ丸見えじゃん?それに、スースーするしぃ〜〜。シャツ中に入れないといけないからモゾモゾするしぃ〜〜」
「だからって、人前でスカート捲るなよ」
「仕方ないじゃん。モゾモゾしてきになるもん。それに、体操ズボンは体育の時間に見せてるもんじゃん」
俺としては慣れてしまった。
付き合って最初の事は、人前でスカートを捲ってのシャツ直しを注意していたが、今日と同じような理由を返されて納得してしまった。
それに、奈々がそういう行為をする事には慣れてしまった。
まぁ、よくよく考えると、部活動の大多数の男子が居る前ではしていなかったし、している時は仲のいい信頼できる友人の前でしかしていなかった。
「……なに?嫉妬してんの?」
奈々が、揶揄いモードになっている。
こういう時の奈々は、うざくもあるが可愛いんのだ。
「まぁ、信頼している人の前でしかしてないもんな」
「よく見てんなぁ~~ちなみに、しきやんがチラ見してすぐに目をそらしてんのも知っているからぁ~~」
「あんのやろぉ~~」
「あはは、瑛太。大丈夫、大丈夫。しきやんがチラ見したときは、陽葵ちゃんが同じことして見せつけてんからねぇ~~」
「え、陽葵が奈々みたいなへ――」
「ああぁん?」
「すみません」
奈々からの言われたことに、俺は、驚いた。
陽葵は、しっかり者だ。
そして、春乃もしっかり者だ。
俺たちの友人の間で、唯一、こういった行為をする奈々が浮いていたと思っていた。
「ひまりんはね。大好きなしきやんの前でだけ気を許して、するんだよ。要するに、人によってその基準が違うってだけぇ~~」
それを言われると、複雑な心境になる。
だけど、慣れてしまった。
「なぁ~~陽翔と春乃はどうなるかな?」
「上手くいくと思う。むしろさぁ、あの4人と私たちが友人で居られるのが好運なんだよねぇ~~」
奈々からは、生徒会での業務内容とかを聞いていて、詩季と春乃の活躍具合を聞いていた。
現生徒会は、基本的に詩季と春乃が中心で回して、昨年の経験のある星川先輩が2人が知らない部分をフォローする形を取っていると。
「だって、私は広報で生徒会に居るけどね……多分、私が居なくても回るよ」
「そ、そうなのか?生徒会新聞は、奈々が作ってんだろ?」
「形だけね」
奈々の言った事は、何か引っ掛かる。
「最初は、私が全て書き上げるんだけど、そこにしきやんとはるのんの添削が入ったら6割方は内容変わってる。4割も残してくれているのは、ある種の情だと思えるよ」
「……心折れたりしないのか?」
多分、俺だったら折れている可能性はある。
中等部まで、定期テストは主席を維持してきた。
だけど、詩季が本気を出したら主席を取られた。そして、高等部入学の新鋭の春乃がガッチリと次席の席を我が物としている。
高等部入学後……
確か、一学期の中間からはワンツーをこの2人が占めている。
俺も思った。
あの2人は、異次元だと。
そして、あの2人と対等に接している西原兄妹も、また別の意味で凄いと思える。
「解るよ。あの4人と接していて、嫉妬する事あったもん」
「だよねぇ〜〜でも、嫌いになれない。むしろ、抜けてる所もあって追いつきたくなる」
「解る。いい友人であってライバルだよ。あの時、友達の誘いを受けて良かったよ」
「ねぇ〜〜」
改めて、詩季・春乃・西原兄妹と仲良くなった事が、俺や奈々の学校生活を変えてくれた事を自覚した。




