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286.【別れ】

「詩季の実家を見せてくれるの?」

「うん。母さんから陽葵にも見せておいたらって」


 3学期の終業式を終えた。


 高等部1年のカリキュラムを終えたその日の放課後に、陽葵をデートに誘った。


 新しい実家を見せるという名目で。


 お菓子を買うためにスーパーに寄り、途中のドラッグストアで安売りしていたお菓子を目当てに立ち寄ってから実家に向けて歩みを進める。


「リフォームしたんだよね?」

「うん。僕が過ごせるように。エレベーターもつけたみたい」

「ほんと?!一軒家だよね?!」

「本当だよ。一軒家にエレベーター。まぁ、ヒョロヒョロな僕と女の子2人までの定員の小さめのだけど」


 陽葵は、驚いていた。


 驚く表情も可愛いと思う。


 その際に、ぴょんぴょんとはねたりしていたので、スカートが動いていた。


 動いた拍子に、スカートの中に履いている体操ズボンの下の方か見えたりもしていた。


「何、脚見てんの?暖かくなったからタイツのデニール数小さめのだから脚見える?」

「ち、違います。スカートが動いて体操ズボンの端見えてたから」


 すると、陽葵はスカートを少しだけ捲って体操ズボンの一部を見せてくれた。


 僕は、一瞬じっと眺めて直ぐに視線を逸らした。


「詩季って、スカートの中の体操ズボンフェチな所あるよね?奈々ちゃんがシャツ直ししている時も一瞬だけど見るじゃん?」

「……ノーコメントは――」

「見ているよね?」

「すみません」


 陽葵から素直に認めた方が楽だよと言わんばかりの強い視線を感じた。


「そう言うのには、やっぱり人によって基準が違うからね。私は、ズボンだとしてもスカートの中は詩季にしか見られたくないし。逆に、奈々ちゃんはズボンなら平気みたいだし」


 陽葵は、何やら語りだした。


 本当に恋人らしい会話ではないが、それも僕達なのだろう。


「それで、スカートの中の体操ズボンフェチなの?」


 陽葵の中で、そこははっきりさせたいのかもしれない。


「そうだと思う」

「そっか!」

「なに?!この羞恥プレイは!」


 バレてしまった僕に問題があるのだろうが、恋人に自分のフェチ的なのをバレると言うのは恥ずかしいものがある。


 今思えば、バレンタインの時にした時の誘い方もこれを踏まえたのか。


「ここが、実家?」

「うん。母さんは、今日は出張」

「って事は2人か」


 何だろう。陽葵から肉食獣のような雰囲気を感じる。


 今日は、終業式で午前中で下校になっている。


 時間はあるのだが。


「ここが、入口」


 鍵を開けて家に、陽葵を招き入れる。


「わぁ〜お。エレベーターある。何だかおかしい!」


 陽葵もエレベーターに興味津々だ。


 幸いな事に、僕と陽葵が乗っても制限体重はオーバーしていなかったようで、ブザーは鳴らなかった。


 まずは、3階を案内して次に2階を案内した。


「凄いね。しずかさんの詩季に対する愛情を感じるよ」

「凄いでしょ。実は、ここね。大人になった際に、僕が譲り受ける事になってる」

「って事は?」

「将来、僕と陽葵が結婚したらここに住むかも?」

「じゃ〜2階の詩季の部屋が私達のお部屋か!」

「そうなるね」


 陽葵は2階の僕の部屋に入って用意されているベットに腰かけた。


「詩季。しずかさんが置手紙……」


 陽葵は頬を赤らめながら母さんからの置手紙を見せてきた。


『 するのはいいけど、ゴミ箱に捨てるまではしといてね!シーツとかは洗っとくから 』


 僕は置手紙を握りつぶした。


「母さんが、ごめん」

「……大丈夫」


 母さんに流されてしまったが、今日、陽葵をデートに誘った理由を解決できていない。


「……陽葵」

「……どうしたの?怖い顔して」

「3学期始まってすぐに、喧嘩したじゃん」

「うん」


 陽葵自身はあまり気にしていないような表情で、こちらを見てきている。


「その時に、【別れ】を……なんと言うか……僕がされて嫌だったことを陽葵にしちゃったから……悪いことをしたと思って……」

「……なんだ、そんな事か」

「そ、そんな事って……」


 陽葵は気にしていない様子だった。


「詩季が、【別れ】を切り札にしたけどさ……仲直りしてからは、今まで通りじゃん。私を支配下に置こうとしてないじゃん」

「……うん。陽葵とは対等な関係で居たいから」

「それでいいじゃんか!」


 陽葵は自身のスカートを捲って中の体操ズボンを見せてきた。


「……え、えっと」

「見て。私のスカートの中の体操ズボン」


 陽葵が自らスカートを捲っているので、見ても問題は無いのだろうけど、ためらってしまうものはある。


 だけど、陽葵から見てと言われたので、しっかりと見つめる。


「興奮する?」

「……うん」


 少し悩んだが、素直に答える。


「ちょっと、待ってね」


 陽葵はスカートをおろしたかと思ったが、スカートの中に手を入れて体操ズボンを脱いでタイツを脱いで、再び、スカートを捲って可愛い水色のパンツを見せてくれた。


「見て!」


 陽葵に言われたとおりに見る。


 心臓のバクバクが止まらない。


「次は……」


 スカートを再度おろすと、次はブレザーを抜いてワイシャツの胸部分のボタンを外して、下着と同じ柄のブラと豊満な胸を見せてくれた。


「ひ、陽葵……したくなるから……」

「しよ?」

「いいの?」

「いいよ。私、詩季と今からエッチがしたい。ドラッグストアでゴムも買っているから」


 僕と陽葵は抱き合ってキスをした。


「詩季。私を一杯見て!【別れ】を盾にしたことに罪悪感を感じているなら……私を沢山見て!」


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