283.新しい実家
「大分変わったねぇ〜〜」
実家の改修が終わったようだ。
年明けから始めて、3ヶ月程で完成した。
早いのか遅いのかは、分からないが。
それなりの名の通った企業に改修を依頼したのは聞いていた。
それに、改修内容に関してもかなりの複雑な改修をすると聞いていた。
これらの条件を加味すると、それなりのお金の出費はあったはずだ。
「やっと完成したよ。お給与の10%と賞与ヲタ工事費にあてただけはある。後は、貯金!」
母さんは、胸を張っていた。
ささ、見てよ。
ちなみにだが、年末年始に羽衣がケニー一家とここで過ごしていた時から軽く工事の下準備をしていたようだ。
言われるまで、全く気が付かなかった。
駐車場の奥に移設したという玄関に向かって歩いていく。
元々、駐車場が広かった事もあり、車が停まっていたとしても余裕に動ける。
「はい。新しい家の鍵」
母さんから家の鍵を受け取り開けて家に入る。
1階部分は、奥の方にエレベーターと隣に階段があるだけのシンプルな作りだ。
「このエレベーターは2人までだから。羽衣。詩季と乗って2階にきて」
「わかった」
母さんが祖父母と共に階段で2階に上がって行った。
僕は、実家に付けられたエレベーターに乗った。
ボタンがあり、2階を押したら動いた。
エレベーターなのだから当然の機能だ。
しかし、自分が過ごしているお家にあるエレベーターと言うのが、何とも興味を抱く。
「どう?」
2階のエレベーターの前で母さん達が出迎えてくれた。
「何か新鮮。家のエレベーターだからなのか、楽しいかも」
「あはは。でも、乗りすぎると電気代大変だから注意してね」
そこから、母さんは2階の案内ををしてくれた。
以前聞いていた、台所・お風呂・トイレ等々の生活に必要な水周りは、2階に集まっている。
最後の2階の案内は、僕のお部屋だ。
脚が不自由な僕が、この家での基本的な生活スペースは、2階になる。
だから、2階に僕が必要な生活スペースが揃っている。
「広くない?」
実家は、元々、面積があった。
エレベーターを取り付けるとの事で狭くなると思った。
だが、エレベーターを取り付けても平均的な一軒家の面積はあるみたいだ。
それに、僕の部屋になる予定の部屋も祖父母の部屋より大きい気がする。
「将来的に陽葵ちゃんと結婚した際には、陽葵ちゃんの部屋にもなるんだから」
このお家は、僕が成人か結婚か適したタイミングで、僕が譲り受ける事になっている。
そして、改修も僕が生活する事を考えたと。
つまりは、僕の部屋の予定のここは、将来的には陽葵との寝室になる部屋だと。
「収納も多いですね?」
「女の子って荷物多いんだよ?かわいい服とかね」
「そうだよ詩季にぃ。今のお家に置いてある陽葵ちゃんの服は一部だと思うよ。可愛い下着とか勝負下着とかね」
羽衣からの情報は、後半部分はこの場で話さなくてもよいと思う情報だと思う。
でも、陽葵とした時の下着は勝負下着なのだろうか。
「あぁ~~詩季にぃさん。ニヤニヤしてる」
「うっさい!」
「あだだぁ~~頭、グリグリやめてぇ~~」
仕方がないだろう。
好きな人との事を思い出すとニコニコしてしまうのは仕方がないだろう。
だって、普段見せてくれる可愛い表情から色っぽい可愛い表情を見せてくれたのだから。
「ゴホン!まぁ、将来は陽葵ちゃんとここで致すんだろうけど」
「母さんまで何を言うの!」
「まぁ、3階に行きましょう」
今度は、僕1人でエレベーターに乗って3階に上がった。
「3階は4部屋あるよ。パントリーを移す計画だったけど、それは無しにして部屋にした」
「うん」
「この4部屋の使い道は詩季と羽衣と陽葵ちゃんで相談しなさい」
「僕たちで?」
3階の部屋に関しての使用用途は気になっていた。
どこかの部屋は、母さんの部屋と羽衣の部屋になると思う。
「相談ってのは、詩季が大人になってここで生活するようになったらね。それまでは、3階に私と羽衣の部屋にするつもりだから。私は、詩季が大人になったタイミングでおばあちゃんの家に引っ越すから」
大人になって母さんが、祖父母のお家に引っ越したタイミングでどうするかを相談しなさいという事だ。
大人になるという事で、独り立ちの際にどうするかの相談だったのだろう。
「羽衣は、ケニーくんと結婚するならイギリスでの生活になるかもだしね。おばあちゃん家に部屋を置いとくより、大好きなお兄ちゃんの家に部屋を置いておく方がいいかもだしね」
「確かに。イギリスでの生活で、日本に帰ってきたら詩季にぃに会いたいもん」
何とも嬉しい事を言ってくれる妹だ。
「なら、3階の一室を部屋としてもらうのもありじゃない?ホテル代も馬鹿にならないし」
「そうだけどさぁ~~詩季にぃと陽葵ちゃんの仲良しさ見てねぇ~~3階の4部屋とも子供部屋になりそうなんだよねぇ~~」
「確かに。そうなれば、羽衣が追い出されるね」
何だろうか。
近くで母親と妹による偏見の入った会話がされている。




