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273.覚悟をきめな

 陽葵はリビングで、何かを準備している。


 僕はカバンの中で渡すタイミングを失った箱をどうするか考える。


 毎朝、家に来ているのでお皿とかの場所は覚えているようで、手早く用意している。


 冷蔵庫から今朝入れていた紙箱を取り出した。


「詩季。紅茶。ミルクと砂糖はお好みで」

「ありがとう」


 陽葵はリビングに戻って何かを切っているようだ。


 僕は紅茶を飲みながら待つ。


「詩季。バレンタイン」


 陽葵はそう言って、チョコチーズケーキを目の前に置いてくれた。


「食べて良いよね?」

「うん!」


 大好きなチーズケーキという事もあって、我慢が出来すに一口味わう。


 口の中に、陽葵が頑張って作ってくれたんだと感じる味が広がる。


「美味しい!」

「……やった!」


 陽葵は安心したようだ。


 単純な味だけならプロが作った方が美味しいと思う。


 だけど、陽葵が作ってくれたチョコチーズケーキは、僕の事を想って作ってくれたんだという気持ちがプロのケーキを超えている。


「まだ、冷蔵庫に残っているから。羽衣ちゃんにもこれは詩季専用だからって言っておいたから」

「うん。味わって食べるよ」


 紙箱で持って来てくれたという事は、ホールで作ってくれたのだろう。


 無くなるのが勿体ないが、毎日のご褒美として味わおうと思う。


「作るの大変じゃなかったですか?」

「お母さんに助けてもらった。後、毒見に陽翔」

「陽翔くんの扱い雑過ぎませんか?」

「詩季と羽衣ちゃんが仲良すぎるんだよ。歳の近い兄妹はこんなもんだと思うよ」


 陽葵はそう言うと何かを思い出したかのように紙袋の中から小さくラッピングされた袋を手渡された。


「これは?」

「陽翔が渡す予定だったんだけど……春乃ちゃんに低一杯だったから預かったの。陽菜からのチョコ」

「あぁ~~!」


 袋の中のチョコは、湯煎で溶かしたチョコを型に流し込んで固めたのだろう。


 小学1年生の陽菜ちゃんなら湯煎でチョコを溶かすのも大変だっただろう。


「陽菜ちゃんにありがとって伝えて」

「うん。……それでね……今日、羽衣ちゃんと静子さんたち……ホテルのバイキング食べてそのまま泊まるんだって」

「……え?」


 陽葵の言っている事に、僕はフリーズしてしまう。


「私もお母さんにお泊りの許可貰っているし……着替えもあるし……食料は静子さんが用意してくれていて……」

「と、泊まっていくの?」

「……うん」


 陽葵のお泊りが突如決まった。


「そ、それに……に、2回目には――」

「わかったから!」


 羽衣と祖父母が気を使ってくれたのだろう。


 今夜の予定は決まった。


「そ、それに、せ、制服も――」

「陽葵。一旦、冷静になろうか」


 目が回ってパニック状態の陽葵を落ち着かせる。



〇〇〇



 ブー♪ブー♪ブー♪


 お風呂からあがり陽葵が入っている間に、スマホに着信が入った。


 今日はこれまでのお泊まりとは違いお風呂は別々にした。


  画面には「西原陽翔」と表示されていた。


「何?陽葵とお泊まりなんだけど?」

『ごめんて。2人の時間に電話して』


 少しだけ抗議をした。


 陽葵がお風呂から上がるのを待っている時間だったから良かったものの、一緒に居た場合はあと少し不機嫌だっただろう。


「それで何かあったんですか?」

『春乃からチョコ貰えたんだけど、本命って――』

「惚気けるために電話してきたなら、僕も惚気返しますよ?」

『ちょっと待ってくれ!相談したくて電話したんだよぉ〜〜』


 電話越しでも陽翔くんが何やらテンパっているのが解る。


 春乃さんと一緒に帰って夕方頃に、チョコを受け取ってから数時間悩みに悩んで、電話してきたのだろう。


「それで、何で今電話なの?」

『いや、陽葵に電話掛けても出なかったからお風呂かと……』


 なるほど。


 陽葵の耳に入れるとからかわれて話が進まない事を危惧したのだろう。


「それで、本命チョコを貰って何か問題でも?」

『返事どうしたらいいかな?』


 この場に陽翔くんが居れば、しばき倒したいと思った。


「それは、自分で考えてください」

『そんなぁ〜〜相談に乗ってくれよォ〜〜』


 普段のクールな陽翔くんからは想像が出来ない。


 春乃さんに授けた策が想像以上に効いていてびっくりした。


「そんなの嫌ならきっぱり断ればいいじゃないですか?」

『か、簡単に……』

「春乃さんだって相当な覚悟を持って本命だって伝えてくれたんですよ。何時までも、ひよってどうしますか?」

『う、うん』

「今、逃げてどうするんですか?後、多分、陽葵お風呂から上がりましたよ」

『解った。覚悟を決める』


 そう言って陽翔くんは電話を切った。


 陽葵は少しして制服姿で現れた。


「何で、制服?」

「ズボンも履いているよ?学校スタイル」


 陽葵、スカートを捲って見せてきた。


 話が噛み合っていないが、見させてもらう。


「制服はね、選択したのを着ているなら。スカートはさっきまでのと一緒だけど……」

「何で制服?」


 同じ質問を投げかける。


「だって……一度きりの高校生活だし……制服着てのHしたいなって……」


 陽葵の表情を見た僕は、陽葵にキスをして自室に行って僕も制服に着替えてかは陽葵を呼び――


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