272.進捗状況
「すみません。急な招集になってしまいました」
今日の放課後。
生徒会の1年生メンバー(春乃さん・奈々さん)を生徒会室に招集した。
「内容としては守谷先生の方から活動に対するアンケートだそうです」
星川先輩は、2期目の生徒会役員という事もあり免除されているが、春乃さんと奈々さんは1期目なので活動内容に対しての不満が無いかのアンケートを取るそうだ。
僕に関しては、生徒会長という立場上……
アンケートはなしだそうだ。この前の面談がアンケートの代用らしい。
「奈々さんにはご足労掛けましたが、帰る前に春乃さんにエールでも送ってあげてください」
同じクラスなのだから教室内で渡したらいいものだ。
まぁ、この後に春乃さんと話をしたくて生徒会室に来てもらったのだが。
「頑張ってね!」
奈々さんは、春乃さんに数分程エールを送ってから帰って行った。
「マフィンは上手くいきましたか?」
「うん。ていうかさ、陽葵ちゃんは大丈夫なの?」
「教室で兄妹仲良く待っているんじゃないですか?」
「あの兄妹が仲良くねぇ~~」
僕と春乃さんは、2人してクスクスと笑った。
「詩季くんが知りたがっている情報はこれだよね」
春乃さんは、カバンからファイルを取り出した。
恐らくは、僕が現状の状況がどうなっているかの問いかけがあった際に何時でも見せられるように用意していたのだろう。
僕は、春乃さんから手渡されたファイルの中にまとめられている調査報告書を目に通す。
「これ、貰ってもいい?」
「うん」
調査報告書と言う名目だが実質的には、警察の調査状況をまとめている報告書だ。
「5月位?」
「でしょうね。これから、捜査協力を依頼していくでしょうけど、ここまで隠してきた訳ですからそう簡単に捜査協力は受けないでしょう」
「少なくとも内輪揉めになる」
僕の事故に、未来創造の社用車が絡んでいる可能性が出た。
警察としては、高梨さんから提出された証拠を元に調査を進めた。
結果は、高梨さんが提出した証拠類はかなりの信憑性がある。
そして、未来創造への捜査協力を依頼する事が決められたと記されている。
「本当に黒宮家の情報網は凄すぎませんか?」
警察の操作状況の事細かな事まで記されている。
被害者の僕にでさえ言わないであろう事も記されている。
「清孝さん的には、5月だって。警察が本格的に動くとしたら」
捜査協力を仰ぐとして、ここまで隠してきた高梨誠が素直に応じるだろうか。
他の幹部連中が引き受ける姿勢を見せた所で、揉めるだろう。
「スワングループ……いや、黒宮グループの顔色を悪くするかもしれないという理由付け……しそうですね」
「追い込まれていますからね。警察の調査協力には素直に応じた方がいいものを冷静に判断できないでしょうね」
未来創造の司令塔的存在だった、母さんが抜けてしまっている以上、正常な判断が出来るだろうか。しかも、会社の存続の危機的状況に。
「もしも、捜査協力した場合は?」
「その可能性は無いでしょう。母さんをイギリスに追いやった時点であの会社は終わっています。まぁ、捜査協力するしないにしろ高梨誠は、終わるでしょう」
捜査協力があれば、葉月さんはどう動くか悩むところだろう。
ただ、警察が動いたとなれば、高梨さん母娘がの状況が心配になる。
「一応、高梨琴葉さんと葉月さんが避難用のホテルとか取っておこうか?」
「可能ならお願いします」
「解った」
高梨さんは以前の行いを反省して、身の危険を覚悟で証拠探しをしてくれたのだ。
「それじゃ、僕たちは帰りましょうか。進捗があったら教えてください」
僕と春乃さんは、生徒会室を後にしたり
丁度いいタイミングで守谷先生が見回りに来たので、鍵を預けた。
教室に近づくと、僕に気がついた陽葵が荷物を持って出て来てくれたので、春乃さんとは廊下で別れた。
〇〇〇
「生徒会、お疲れ」
「ありがと」
特段、何処かに寄る予定は無いので、このままお家に帰っていく。
「実家の方のリフォームは順調なの?」
「順調みたいですよ。学年が上がる前には完了する予定みたいです」
実家に戻ることになれば、陽葵のお迎えも無くなるのだ。
今でも朝早くに起きてお迎えに来てくれているのに、さらに早起きさせては陽葵の体調が持たない事は想像出来る。
「問題が片付いたら羽衣と一緒に実家に戻ります。なので、お迎えも――」
「うん。でも、途中で待ち合わせとかしようね」
「もちろん」
お出迎えがダメでも、待ち合わせたらいい。
そこから、雑談をしながら帰っていると家に到着した。
陽葵も家に上がるらしく一緒に入ってきた。
「詩季、座ってて」
陽葵に言われたので、大人しく座って待つ。
祖父母と羽衣は、出掛けているらしい。
机の上に置き手紙があった。




