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268.恋愛相談

「おはよ」


 陽葵が1番手で家に来た。


 祖父母と羽衣には、今日、友人が家に来る事を伝えていた。


 陽葵はいいが、奈々さんと春乃さんを自室に入れるのはダメだと思うので1階のリビングでお話をする予定だ。


「春乃ちゃんの恋愛……お手伝いするんだ」

「本人が動く気があるならアドバイスしてあげたいじゃないですか」

「そうだよね。詩季が嫌なのは本人たち以外が動いて付き合わせる事だもんね」

「うん。それだと当人間で付き合う覚悟がないまま付き合う事になるじゃん?」


 昨日の奈々さんと同様に、今回の件は大丈夫なのかを聞かれた。


 陽葵とは仲直りした際に、僕としての基準を話していた。


 陽葵もその基準を照らし合わせてきた。


「でも、2人の恋愛は1つのきっかけを与えれば、急速に進展すると思うんですよね」

「そうなのかな?」

「そうだよ。僕たちが異質な恋愛をし続けただけだと思いますけど……」

「そ、そうなのかな」

「そりゃ、恋人前提の友人だなんて滅多にないでしょう?」


 自分達が色々と寄り道をした恋愛をしているのは自覚している。


 陽葵の事を好きだと自覚したが、過去の事があったので本当に好きなのな分からずに、恋人前提という友人になった。


 ピンポーン♪


「私、出てくるねぇ〜〜」


 インターフォンが鳴ったので、羽衣が出迎えに行ってくれた。


「おはよう。詩季くん」

「しきやんのお家、何気に初めて入った……」


 春乃さんと奈々さんが到着した。


 2人は、僕と陽葵の向かい側に座った。


「皆さん。ゆっくりして行ってねぇ〜〜」


 羽衣がお茶と茶菓子を置いていった。


「妹さん。可愛いね」

「そうでしょ!」

「奈々ちゃん。詩季くんは、羽衣ちゃんの話になると長いから!」


 妹の自慢話をしようと思ったが、春乃さんが静止してしまったので出来なくなってしまった。


「それで、今日は春乃ちゃんの恋愛なんだっけ?」

「恋愛と言うか、バレンタインのチョコの本命を陽翔くんに手渡したいみたいなのですが、どうすればいいか悩んでいるそうです」


 奈々さんからの質問に、僕が解説をする形で説明する。


 春乃さんは、頬を真っ赤にしながらモジモジしている。


「あぁ〜〜だから、瑛太は無しなんだね。あいつ、こういう手には口軽いからね」


 瑛太くんの場合は、彼自身の口からは喋らない。けど、雰囲気で悟られてしまうのだ。


「ある意味、今日、陽翔くんと瑛太くんが遊びに行くのが丁度いいですね」

「「だね!」」


 僕の感想に、陽葵と奈々さんが同意した。


 春乃さんは、未だにモジモジしている。


「どうやって渡せば、本命だって伝わるかよねぇ〜〜」


 奈々さんは、考えている。


「奈々さんの場合は、交際するきっかけは何でした

?」

「私達の場合は、 呼び出されてからの告白だったな。そこまでは、部員とマネージャーの関係で部活頑張っていたあいつをかっこいいなぁ〜〜とは思ってた」


 何回か遊びに行って付き合ってみたいと思っていた時に、告白されて付き合った。


 付き合ってみると性格的にも相性が良かった事もありどんどん仲良くなったそうだ。


「2人の恋愛は、両想いかもって自覚はあるんでしょ?」

「う、うん。何回もデートしたし、陽翔くんの私との接し方見てもそうかなって……」

「となると、しきやんとひまりんの付き合うまでの方が参考になるんじゃない?2人も両想いと自覚してから長かったし……」


 そう言えば、皆には説明していなかったか。


「僕、陽葵に、2回告白してるんだよね」

「「に、2回?!」」


 やはりか、春乃さんと奈々さんは驚いていた。


「最初に好きって僕から伝えたけど、色々あって付き合うのは待って欲しくて恋人前提の友人って事にして貰ったんだよね」

「こ、恋人前提の友人?!」

「結婚前提なら聞くけどさ……」

「そういう反応になるよね」


 春乃さんと奈々さんの2人は、目をぱちくりしていた。


「うぅ〜ん。となると、どうしたらいいんだろう?」


 話し合いは、行き詰まってしまった。


「でもさぁ、今の2人見ていると、1つのきっかけがあれば動くと思うんだけど……」

「きっかけ……?」


 2人は、お互いが両想いかもと思っている状況だ。


 むしろ、両想いだからこそ、「思い出に残る告白をしたい」「告白して欲しい」「告白して失敗したらどうしよう」だとか、色々考えているのだろう。


「多分だけと、陽翔くんは春乃さんで色々考えていると思いますよ。お付き合いしてデートしたりする事とかHする事とかね」


 後半部分で春乃さんは、頬を赤らめた。


 包み隠すのもあまり良くは無いと思う。


「だけど、1歩踏み出せないんじゃないですかね。両想いだと思っているのは自分だけじゃないだろうとか失敗したらどうしようとか。だから、色々考えてリセットしたりしているんだと思います」

「そうなると、詩季の外部からの協力と干渉の判断が難しくない?」


 陽葵の考えることも最もだ。


「問題は、本人が動く意思があるかどうか。今の陽翔くんはきっかけ待ちですが、本人が誰にも相談していません。そこで、外部の力が働くのは干渉です。今回の春乃さんのように、きっかけが欲しくて相談した際は協力だと思います」


 陽葵が自分に言い聞かせるように、頷いていた。


「陽葵も自分が納得出来なかった場合には素直に言ってくださいね?僕は、陽葵とは対等になりたいので」

「……うん。わかった」

「ちょ〜と!ナチュラルに2人の世界に入るな!……それで、しきやんには何か策ありそうだわけど?」


 少しだけでも陽葵とイチャイチャしようと思ったが、奈々さんに妨害された。


「春乃さんは、告白されたいんだよね?」

「うん」

「それに今の陽翔くんの状況を加味すると……」


 2人の関係性を進めるには、1つの簡単な一手を加えるだけで成立すると思う。


「バレンタインチョコを渡す時に「本命だよ」って伝えるだけで動くと思うよ」

「そ、それだけ?」

「うん。それでも陽翔くんがヘタレるなら、以前の陽葵みたいに2人きりの時にスカートでもまく――陽葵?手刀の構えはやめてくれない?」

「詩季?見たいなら見せたげるけど、他人には言わないでね?」

「……はい。すみません」


 どうやら、陽葵を怒らせたようだ。


 と言うか、見たいと言ったら見せてくれるのか。


 今度、お願いしてみるか。


「しきやん。そんな冗談言えるんだね!」


 奈々さんはと言うと何やら楽しそうだ。


「楽しそうですね」

「だって、中等部のしきやんと全然違うんだもん」


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