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263.いつも通りの朝

「おはよう。詩季」

「おはよう。陽葵」


 1週間ぶりだろうか。


 陽葵が家にお迎えに来てくれた。


「髪するね」


 お迎えに来てくれた時のルーティンとなっている僕の髪のお手入れを始めてくれる。


「陽葵ちゃん、おはよう!」

「羽衣ちゃん。おはよう!」

「いやぁ〜〜仲直りしてくれて本当に良かったよ!陽翔くんも面白かったけどやっぱり、陽葵ちゃんじゃないと落ち着かない!」

「うふふ。陽翔は、どんな感じだったの?」


 陽葵は、陽翔が迎えに来てくれていた1週間が気になるようだ。


「陽葵ちゃんと同じ感じで接したらじどろもどろになってた!」


 陽翔くんと陽葵の双子は、性格は真反対だ。


 陽葵は、活発で明るい性格をしている。羽衣と同じような性格なので波長が合うのだろう。


 一方の陽翔くんは、物静かな性格をしている。僕と同じような性格なので一緒に居て心地いい。


 僕の場合は、羽衣がウザ絡みをしてきた場合は手刀をお見舞いして黙らせる。


 しかし、陽翔くんは羽衣を黙らせる手段を知らなかったのだ。


 反撃されないと面白がっていた。


 何度も陽翔くんに助けを求められたが、「大丈夫。害は無いから」と静観していた僕も楽しんでいたのだ。


「はい!出来たよ!」

「ありがとうございます」


 髪のお手入れが終わった。


「私が来てない間は、羽衣ちゃんがしていたの?」

「いや、詩季にぃが1人でしてたよ」

「そうなんだ。どうリで、後ろの方がお手入れ甘かった訳だ」


 そんな所まで見られていたとは思わなかった。


「陽葵ちゃん、おはよう!」


 2階から洗濯物を干し終えた静ばぁが降りてきた。健じぃとは既に挨拶済みだ。


「静子さん。お久しぶりです」

「うん。うん。久しぶり。って、一昨日も会ったよね」

「そうですけど、朝のお出迎えは久しぶりなので」


 静ばぁも久しぶりの陽葵のお迎えに来たことが嬉しいようだ。


「2人が喧嘩したと聞いた時は、驚いたよ」

「ご迷惑をお掛けしました」

「怒ってないよ!喧嘩するほど仲がいいとも言うし、周りに合わせる癖のある詩季が自分の意見をしっかり言えたんだからいい事だよ」

「これからも喧嘩することもあると思いますけど、仲良くしていきたいです」


 陽葵は静ばぁとさらに仲良くなっているようだ。


「でも、お迎えも引っ越した場合は無くなるのかな?」

「えっ引っ越すんですか?」

「私たちは残るよ。詩季と羽衣が、元の家に戻った際にね。陽葵ちゃんのお家とね学校を中心にして反対方向だからね。今まで通りの送り迎えは厳しくなるかも」

「そうなんですか」


 僕と羽衣は、祖父母のお家に仮住まいとして生活している。


 それは、実家の方が僕が生活する環境に適していない事と両親との関係性の悪化が原因での仮住まいとしてここにお邪魔している。


 祖父母も気長に居てくれてもいいと言ってくれているが、将来的なことを考えると築年数も浅いし改修している実家に戻ることを望んでいるだろう。


 それに、僕も何時かは戻るつもりだ。


 祖父母も高齢なので、僕のお世話に負担を掛けるのを減らしたい。


 羽衣が家事を手伝っている事もあって負担は減っているみたいだが。


「父親の問題が解決したら実家のほうに戻る話を進めていくつもりです。祖父母にもこの1年大分苦労掛けましたから」

「苦労だなんて思ってないよ」

「うん」


 時間になったので、学校に向かう。


 家を出て何時も通りの道を歩いていく。


 駅から通学する人たちと合流する道で、瑛太くんと奈々さんと合流した。


「ひまりん。仲直りできたんだねぇ~~良かった」

「うん。心配かけてごめんね」


 陽葵が、瑛太くんと奈々さんに心配かけたことに対して誤っていた。僕の乗り遅れてしまったと陽葵に続いて頭を下げた。


「なぁ、詩季」

「しきやん……」

「2人ともどうしました?」

「ごめんね。しきやんにとってトラウマ思い出させるような真似して……」

「ごめん。そこまで考えられなかった」


 瑛太くんと奈々さんからこの前の事を謝罪された。


「はい。大丈夫ですよ。良かったです。友人関係が崩壊しなくて」

「詩季にぃさんはね……抱え込んじゃうんだよ。抱え込んじゃうから爆発した時が予想よりも大事になりかねないの。だから、詩季にぃさんは、しっかりと相談すること」

「解ったよ」


 羽衣から厳しめの注意を受けた。


 実際に本当の事だから言い返すことは出来ない。


「なんで、そんなに抱え込んじゃうかなぁ〜〜もう少し気楽に行けばいいのにねぇ〜〜」

「羽衣。少し黙ろうか?」

「うわぁ〜〜助けてぇ〜〜」


 羽衣は、そう言いながら前方に歩いていたお友達と合流していた。


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