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261.情報源

「当主にならないか?」


 黒宮家の当主 = 大企業の社長。


 僕にとって美味しい話しすぎる。


 まぁ、黒宮家の当主になるならそれなりの覚悟を持って勉学に励まないといけないのは確かだ。


「僕自身、黒宮家に入るのは問題ありません。羽衣のプライベートへの不介入に復縁時の条件を守って頂けるなら」

「もちろん。復縁時の約束を違えるつもりは無いし、君の大事な妹さんの生活に介入するつもりは一切ないから安心してもらいたい。その上でだ。黒宮家の当主に興味はないかい?」


 僕が黒宮家の当主になるという事は、裏切り者の親を持つ子どもが当主に就くという事。

 それと同時に、黒宮家の伝統的な長男の血筋の人間が家を継ぐという慣習に則る形になる。


「興味はありますよ。だけど、真司郎くんを次期当主として僕は推薦したいですね。出来るならですけど」

「ほう、真司郎か。確かに、君は真司郎と仲が良かったな。君のアドバイスのお陰で、幼馴染とは蟠りが無くなったと喜んでいたぞ」

「本人から聞きました」


 真司郎くんもそうだが剣くんもずっと黒宮家内で当主の座を継ぐために頑張ってきたんだ。


「当主の座を継ぐために頑張ってきた2人から横取りするのは嫌だと言う顔をしとるな」

「そりゃそうじゃないですか。10年頑張ってきてたのに……」

「まぁ、そこら辺の情がないと言えば嘘になる。だけど、時には非情な決断をせねばならぬのだよ」


 非情な決断か。


 恐らくは、春乃さんから聞いたのだろう。陽葵を生徒会から外したことも。


「まぁ、とりあえずは真司郎を見るよ。君の推薦を受け取ってね」


 とりあえず、黒宮家当主の話は終わった。


 と言うか、僕の事故の件に関して聞いたのに、当主の話に持ち込まれていた。


「1つお尋ねしたいんですけど……」

「何かな?」

「柏木倖白という人物はご存知でしょうか?」

「あぁ〜〜アイドルをしている子だね」


 やはり、何でも知っていると言うことか。


 柏木さんは、本名でアイドル活動をしていない。


 アイドル名……いわゆる芸名を使っている。


 だけど、柏木さんの本名を告げただけでアイドルだと言い放った。


「昨年辺りだったかな……夏のアイドル番組をきっかけに一気に人気が爆発してるよな」


 それに、僕が知らない情報まで話している。


「その方がどうしたのかな?」

「柏木さんは、黒宮に関係する人物ですか?」

「どうだろうな。ただ、近い将来、黒宮内で荒れる事は間違いない」


 はぐらかしているようで、僕に対して警戒するように告げているようにも聞こえる。


 近い将来、黒宮内で荒れる事は確定している言い回しだ。


「何か起こり得るのですか?」

「詳しくは話せないがね。君も覚悟はしといて欲しい」

「はい」


 清孝さんとのお話は、2時間ほど話した。


 時間は15時を回っていた。


 今から帰宅すれば家でご飯を食べることが出来る。


 それに、今晩は母さんとの面会日だ。


 僕は黒宮家から後にする。


 春樹さんの運転で家に戻る最中の高速道路で僕は、柏木さんに対して疑問に思った。


 後夜祭に関する情報源だ。


 行きの電話では聞きそびれた。


『 (白村詩季) 柏木さん。今、お話いいですか?』


 メッセージを送ってすぐに、電話が掛かってきた。


『何かなぁ〜〜』

「今、お時間大丈夫ですか?」

『大丈夫だよ!収録前だからねぇ〜〜』

「先程、電話した際に聞きそびれた事がございまして」

『何かな?』


 数時間でテレビ局かどこかに移動している辺り、この人は本当に芸能人なんだと思う。


 そして、相変わらず自分のペースを乱さない。


 清孝さんとは別のタイプではあるが、主導権を握れない。


「うちの学校の後夜祭の件……どうやって情報を得たのでしょうか?」

『テレビ関係の人との飲み会で知った。もちろん、僕は飲んでないよ?相手が飲んで酔って口が軽くなった弾みにね』


 僕は分からなくなった。


 何故、テレビ関係の人がこの情報を知っているのだろか。


『何で、テレビの人が知ってんだって悩んでいるね?』

「当たりです」


 本当に、この人はこっちの心を読んでいるのだろうか。

 もしくは、異能者では無いかと疑ってしまう。


『例えば、マスコミに垂れ込むでしょ?マスコミってテレビ関係者とも繋がりあってその繋がりで知るの』

「マスコミに垂れ込むって……」

『誰がだよね。1番可能性が高いのは被害者の周りの人。例えば、被害者の担任の先生とかね。こう言うのは、被害者の周りの人が誤った正義感もしくは、お金儲けで垂れ込んだりするの。芸能界ではよくある話だよ』

「断定は出来ないんですね」


 柏木さんは、超能力者かと聞きたい気持ちになるがそれは聞かない事にする。


『そこまでは知らないよ』

「何で報道されていないのでしょうか?」

『多分、学校がわから口止め料的なのを貰っているかテレビ側で温めているかだね』

「温める?」

『テレビに夢見たらダメだよ』


 柏木さんの言っている「温める」の意味が分からなかった。


『今掴んでいる情報では報道しても数字が取れない。だから、取れるようになるまで温めているんだよ。だって、ここ5年以内でこれだけ起こっているんだから。もっと、美味しそうなの出てくると思うでしょ?』

「た、確かに、そうですね。それを僕に教えても良かったのですか?」

『だって、人が死んだらダメじゃない?特に、外的要因で。そして、それをネタに数字は取らせたくないよね。だから、役割分担!僕は、情報を提供。君は、後夜祭を廃止!』


 表面的には、これ以上の被害者を出さないために協力をしてくれた感じだ。


 だけど、僕には、柏木さんからこの件は、借りだぞと遠回しに伝えられているように感じる。


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― 新着の感想 ―
 だけど、「僕には」、柏木さんからこの件は、借りだぞと遠回しに伝えられているように「感じる」。  ~僕には……感じられた  か、  ~僕は……感じる と、前後を一致させた方が自然だと思います。
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