表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
247/326

247.激論

「お疲れ様です」


 生徒会室には、星川先輩が既に到着していた。


「お疲れ。桜井さんはまだかな?」

「遅れて来ますよ」


 そこからは、守谷先生が到着してすぐに奈々さんが到着した。

 到着がギリギリになった奈々さんさんは、守谷先生から注意を受けていたのは言うまでもない。


「それでは、本日の業務を始めましょうか」


 そこから、一通りの通常業務を終わらせた。


 本来ならここで終了になるのだが、今日は、ここからが本番だ。


「それでは、本日は終了でよろしいでしょうか?」

「他に話し合う議題が無ければ終了でいいんじゃないか?」


 司会進行を務めた星川先輩が守谷先に確認を取ってから僕に決定を委ねてきた。


「では、僕から一つ議題を上げさせて頂きたいと思います」


 僕は、リュックから守谷先生分含めた5つのクリアファイルを取り出して配った。


 議案のコピーだ。


「僕からは、文化祭後夜祭の廃止に関しての議案を提出させて頂きたいと思います」


 全員に、議案の内容を確認してもらった。


 内容を確認していくうちに、表情で賛成派か反対派か、くっきり別れている。


 表情的に賛成派は、僕と春乃さん。反対派は、星川先輩と奈々さんだ。


 まぁ、イベント事大好きな奈々さんさんが反対するのは解りきっていた。星川先輩も反対しそうなのは、想定外だった。


「表情を確認した感じ、中立が守谷先生。反対が奈々さんと星川先輩ですかね?春乃さんは、賛成?」

「うん。賛成」

「うん。反対」

「しきやん、反対だよ」


 明確に賛成反対が別れたので、ここからが議論だ。


「では、反対の理由を聞かせてくれますか?」

「まず、後夜祭の廃止の理由を白村会長の口から聞かせて貰えますか?」


 狭い生徒会室という空間だが、国会での法案の話し合いの雰囲気を味わえている気がする。


「後夜祭廃止の理由の発端は、告白祭りの廃止にあります。告白祭りだけを廃止にしても生徒間で勝手にしかねません。だからこそ、後夜祭事廃止にする必要があります」


 後夜祭というのは、自由参加という体を取っている。しかし、実質的な強制参加という空気があるのは事実だ。


「では、後夜祭廃止の理由は?」

「先生方の負担の軽減です」


 この学校は私立だ。だから、公立校のような定額働かせ放題では無い可能性が高いが、文化祭の運営で疲れている先生方を夜遅くまで残らせるのは、間違いなく大きな負担だ。


「そうですか。私からは以上です。桜井さん、ありますか?」

「はい。告白祭りの廃止の理由はなに?これは、桜宮の伝統ある行事だよね?これを、廃止にしたらしきやんの支持率にも影響するよ。来年の選挙戦に大きな影響出るよ」


 これまでの生徒会長とは違い、1年生で生徒会長になった僕は、来年も生徒会長選挙に出ることが出来る。


 奈々さんの反対意見は、来年を見据えた物だ。


「まず、来年の生徒会長選挙を見据えた耳障りのいい施策だけをするつもりはありません。ダメだと思った事には、支持率が下がろうとも切り込むべきと考えます」

「告白祭りは、伝統的な行事。多くの生徒も楽しんでいます」

「それは、多数の意見でしょう?確かに、政治において多数意見を優先するのは鉄則かもしれませんが、少数意見も聞き入れないといけないのも事実です」


 全校生徒の多数が楽しんでいる行事なら少々の問題点があっても続けたらいいと思う。だけど、看過できない問題も起こっているは事実なのだ。


「多数・少数の意見だけど、今年の告白祭も楽しかったという意見が、8割以上。廃止にする意味が解りません」


 ここら辺だろう。


 反対派の意見も大分出尽くしただろう。


 ここからが、僕達賛成派の意見を述べていくだろう。


「では、添付している資料の1ーAをご覧ください」


 この議案成立のために色々な資料を用意している。


「この資料は、スクールカーストの有無に関するアンケートです」


 スクールカースト。


 先生方はこれを無くそうと努力をしているが、必然と生まれてしまうクラス内が学年内・学校内の序列だ。


 そのアンケートを1学期に取っており8割以上の生徒が感じていると答えている。残りの2割の生徒は、陽キャや一軍と自覚している生徒だろう。


「殆どの生徒がスクールカーストを感じています」

「それがなに?」

「序列が上の人から序列が下の人に告白する際には、今後の学校生活も考えて断れない空気になるでしょう。それなのに告白祭りとなれば全校生徒の注目を浴びてしまうので余計に断りにくくなるでしょう」


 序列問題で断れないのに、他人からの視線でも断るという逃げ道を塞がれている状況。


 これが問題なのだ。


「でも、断りたいなら断ればいいじゃない?それにスクールカーストがあったとしても同じ序列の人としか付き合わないでしょ?」


 奈々さんは解っていないな。


 このアンケートに置いて『感じてない』と答えたのだろう。


 友人グループ間でも役割という名の役割(じょれつ)が出来上がってしまう事もある。


「それが出来ない人も居るんですよ。それに、グループ内でも序列って出来上がる場合もあるんですよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ