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246.同盟結成?

「3年生は卒業式に向け――」


 3学期の始業式。


 校長先生の長いお話に生徒会長として壇上に立っている、僕は眠気を隠すので低一杯なのだ。


「では、3年生より教室に戻って下さい」


 始業式が終了して一般生徒は、教室に戻っていく。


 生徒会に関しては、始業式の後の反省会という名の校長先生と守谷先生とのお話をしてから生徒会は解散になる。


 今日の放課後は、3学期最初の生徒会活動の日だ。


 教室に守谷先生と一緒に戻る。


 午前中で終了するので、終わりのホームルームを終えて、クラスメイト各々帰宅していく。


 春乃は、生徒会に行くまでの少しの時間を陽翔くんとのお話に使いたいようで、話しかけに行っていた。陽翔くんも嬉しいようで受け入れていた。


 本当に両片想い状態が続いており、早く付き合え状態なのは、見ている側としてはもどかしいと思ってしまうだろう。

 だけど、恋路は2人の道だ。その恋路に対して他社が介入するべきでないだろう。


「ねぇ、詩季。こっち来て」


 僕は、陽葵に呼ばれた。


 陽葵とお付き合いするまで時間が掛かったが、自分たちのペースで進めたこともあり、いい関係を築けていると思う。


「何ですか?」

「4人で陽翔と春乃ちゃんの恋の後押ししよう作戦を立てようよ考えてて……」


 僕・陽葵・奈々さん・瑛太君の4人で、陽翔くんと春乃ちゃんの恋を応援しよう会を結成するようだ。


 応援をする会を結成することに関しては、賛成の立場だ。2人の恋路を遠目で見て観察をする分に関しては、2人の恋路への介入にはならない。


「それで、私は陽翔が押せばはるのんは受け入れると思うんだけど~~逆は、どう思う?瑛太」

「春乃からでも受け入れると思う」

「妹の目線から見てどう?」

「陽翔は春乃ちゃんの事好きだからね。早く、くっ付いて欲しいよね」


 3人は、2人の関係性に関して話していた。


 あと一歩、どっちかが踏み出せばくっ付く事は、僕でもそうだと思う。


「それで、どうやってくっ付かせる?」


 僕の彼女の陽葵から発せられた言葉に、僕は耳をピクッとさせた。


 それは、僕にとっては一線を越えたのだ。


 もし、この4人が陽翔くんと春乃ちゃんの恋を応援しよう会の結成意義だったのなら僕は、反対の立場だ。


 よく、2人がじどろもどろしている間に別の異性に持っていかれると言った事もあると聞くが、それは、一歩踏み出せなかった2人の責任だ。


 そもそも、その人の事が好きなら別の異性が近づいて来たって靡かないはずだ。靡いている時点で、その程度の愛情だったという事だ。


「2人きりにして、告白させる空気を作るのが1番じゃない?」

「そうだよな」

「例えば、ゲームをして4人で結託してその空気が作るのが1番じゃない?」


 3人は内緒話をしているようだが、地獄耳の春乃さんの事だから耳に入っているだろう。


 僕は、今回に関しては、春乃さんと陽翔くんの味方だ。


 3人が作戦会議で盛り上がっている中、僕は3人から一歩引いた立ち位置で話を聞いていた。時計を見て生徒会活動開始までの時間を確認する。


「ねぇ、詩季」


 これは、春乃さんにとっては対応に困る事だろうなと思う。

 どうにかして、話を止めさせなければいけないが。


「詩季ってば!」

「何ですか?」


 陽葵に呼ばれた。


 考え事をしていて、呼ばれているのに気が付かなかった。


「詩季は、何かいい方法ある?」

「方法とは?」

「……2人をくっ付ける方法だよ」


 話を聞いていなかった事に、呆れられている感じがする。


 ただ、僕は、2人を外的要因で付き合わせる事には反対だ。だって、僕がそれで失敗したのだから。


 他人の恋を応援すると言うのは、青春の1つのページになるだろう。


 だけど、線引きはしないといけないだろう。


(時間には早いですが、仕方が無いですね)


 僕は立ち上がって、春乃さんのもとに移動する。


「春乃さん。少し早いですが、生徒会に行きましょうか」

「そうだね。陽翔くん。バイバイ」

「おぉ、頑張れよ」


 春乃さんと共に生徒会に行くことにする。


「奈々さんは、帰る準備もあるでしょうから、ゆっくりでいいですよ」


 奈々さんは、帰りの準備をせずにこのお話をしていたので、僕達からは遅れるだろう。


「詩季くん。ありがとね」

「やっぱり、聞こえてましたか」

「そうだね。間接的に詩季くんのせいだけど、地獄耳だからさ」


 やはり、聞こえていたようだ。


「どうにかして、抑え込まないとですね」

「無理に抑え込まなくてもいいよ?」

「いや、あれは完全にゾーンに入っているから余計なお節介かけてくるよ?」


 3人には悪意がない。


 陽翔くんと春乃さんの交際に際して、自分たちが告白の空気を作ることが善意と言う認識だ。


 善意は時には、善意に見えた悪意に変わってしまうのだ。しかも、善意に見えた悪意は、行っている人物からは悪意とは認識されないから困ったものだ。


「僕は、こう言うのは好きじゃないですから。他人に、空気を作られて告白して付き合うのは」

「私も嫌いだな」

「そこは、同じ価値観ですね。なら、この後の生徒会でもよろしくです」

「もちろん」



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