244.翌日の朝
いつも通りの時間に目が覚めた。
隣には、昨日のイチャイチャのまま一糸まとわぬ姿で寝ている陽葵がいる。
昨日の事を思い出すと、反応しそうになるので堪える。
ただ、昨日はお互いの愛情を感じることが出来た。
1回では治まらず、何回かお互いの愛情を確かめあった。
陽葵の寝顔が愛おしく感じた。
陽葵を起こさないように、優しく頭を撫でた。そして、頬っぺを引っ張った。
起きてしまうとは思ったが、引っ張りたい欲求に逆らえなかったのだ。
「いふぁい」
「おはよう。陽葵」
「おふぁふぉう」
「何て、言っているかわかんない」
「ふぁなへぇ〜〜」
これは、頭を撫でたタイミングで目が覚めていたな。
陽葵は、頬を引っ張られながらも喋るので、何を言っているのか分からない。
「ぷっはぁ〜〜いきなり、頬引っ張らないでよ!」
「だって、引っ張ってみたくなったんだもん」
「だもんじゃないよ、なでなでしてくれて気持ちよかったのにぃ〜〜」
やはり、頭を撫でたタイミングで起きていたようだ。
「ごめん」
「いいよ」
陽葵も怒っていないようで、許してくれた。
僕と陽葵は、おはようとキスをして抱き合った。
「陽葵、スイッチ入る前に服着ようか」
「そ、そうだね」
早くて今日のお昼には、祖父母が帰ってくる予定だ。
朝早い時間に起きたとは言え、スイッチが入ってしまえば、時間を忘れかねない。
昨日がそうだったから。
僕の陽葵は服を着てリビングに移動する。
昨日のゴミに関しては、リビングのゴミ箱の奥深くに入れておいた。
「朝ごはん作るね」
「お願いします」
陽葵は、テキパキと調理をしていく。
「ごめんね。疲れているだろうに、任せきりで」
「疲れてないよ!むしろ、コンディションは最高潮!」
「なら、良かったです」
本当ならお手伝いの1つもしたい所だ。
こういう時に、杖が無いと立てない自分の身体に嫌気がさす。
まぁ、この事を陽葵に話すと責任を感じてしまうので、口には出さないようにする。
「はい」
「おいしそうです」
朝食は、ご飯にお味噌汁とサバの塩焼きだった。
ゆっくりと食べ進めていく。
陽葵が作ってくれた朝食は食べやすい味をしている。既に、胃袋を掴まれているように感じる。
昨日の夜に運動したからか、何時もより多めに朝食を食べる事が出来ている。
「ごちそうさまです」
「はい」
陽葵は、食器を洗ってくれた。
「お部屋行くね」
「お手伝いします」
陽葵は、今日帰ってしまう。
僕のお部屋に行って、陽葵の身辺整理のお手伝いをする。
僕の部屋に行って、僕はベットに座る。
陽葵は、家に持って帰る服類を入れた。
「あっ、これ戻すね」
「う、うん」
陽葵は使いかけでベットの端に置きっぱなしだった使いかけの赤い箱をタンスの陽葵ゾーンに戻してくれた。
少しばかり、気まずい時間が少し流れたが僕から話し出す。
「陽葵、帰っちゃうのか」
「そうだね……まだ、高校生だからね」
「そうだね。高校生だもんね」
早く、自分でお金を稼げるようになりたい。
僕の場合は、陽葵と婚約してから同棲になると思う。それまでは、祖父母宅なのか母親宅に過ごすことになるのかは解らないけど。
「それに、私が近くに居ると、詩季がしたい事を出来ないもんね」
「……ごめんね」
「ううん。詩季が私を巻き込みたくないって思ってくれているのは解っているから」
「ごめんね」
謝る事しかできない。
今、僕が動いている事に関しては、陽葵を巻き込むつもりはない。
巻き込んだことで、陽葵を黒宮に想定よりも早く関わらせる事を避けたいのだ。
将来的に、結婚するとなれば、陽葵には黒宮家と関わる事になる。
陽葵が黒宮家と関わるのは、ここからだ。それまでは、今の関係での交際を続けていきたい。
「リビング戻ろ!」
暗い空気はこれで終了と陽葵がカバンを持って一緒にリビングに移動した。
ピンポーン♪
お昼すぎに、祖父母が帰宅した。
「おかえり、2人とも」
「ただいま。陽葵ちゃんも、詩季のお世話ありがとね」
「い、いえ」
前回みたいに、おじさんとおばさんは一緒では無いようだ。
「これ、お土産。両親に渡してね」
「あ、ありがとうございます!」
陽葵は、静ばぁからお土産を受け取った。
「あ、あの、お昼は食べましたか?ビーフシチューを用意しているですけど?」
「あらぁ!有難いわぁ〜〜私達もお腹空いた頃なのよ。お昼ご飯にしましょ!」
4人で食卓を囲む事になる。
今度は、僕と陽葵が隣合っ同士で向かいに祖父母が座る形で。




