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24.ニックネーム

「という事があったのですよね、中等部時代に」

「そ、そんな事があったんだね。ヨシヨシ?」

「春乃さん、僕は、子どもじゃないですよ?」

「あぁ、ごめんなさい。何だか、落ち込んでいる弟にそっくりだったから……」


 放課後に、学校近くの図書館に移動して壁新聞を作りながら、幼馴染達との関係と中等部時代に何があったかを春乃さんに説明していた。


 どうやら、春乃さんには弟くんが居るようで、説明する様子が弟くんに似ていたようで、謎のなでなでをされた。


「むきぃぃ、詩季くんの頭、なでなでぇ~~」


 何だか、陽葵さんから身に危険を感じてしまう視線を感じるが……まぁ、僕には危害が無いだろう。


 本当に、無いよね?


「春乃さんは、中学校時代には、どのような勉強方法をしていたのですか?」

「あ、俺も気になる」


 高等部からの入学で3位入学を果たした学習方法は、気になって仕方が無い。そして、瑛太くんも勉強方法は気になる事で、2人して春乃さんに興味を向けている。


「えいたぁ~~?」

「ち、違うよ。ただ、住吉さんの勉強方法が気になるだけで、他意はねぇって!」

「ホントかなぁ~~はるのん可愛いしぃ~~」


 瑛太くん・奈々さんカップルのいちゃいちゃを眺めていると僕にも脇腹に痛みが走った。


「詩季くぅ~~ん?」

「陽葵さんは、何で、僕の脇腹を抓っているのですか?」


 何故か、陽葵さんに脇腹を抓られてしまったが、春乃さんの勉強方法を知りたい欲には抗えない。


 地味に痛い。


「そうですねぇ、詩季くんが、過去を話してくれたので、私も話しますね」


 春乃さんの中学校時代の話を聞くことになった。


 春乃さんは、中学校までは、隣県の公立中学校に通っていたようで、親の転勤のタイミングが、高校進学と同じタイミングになったようだ。


 勉強自体は、元々出来ていたようで、レベルも高めの公立高校を目指していたようだ。


「公立学校に拘った理由はあるのですか?」

「弟と妹が居るの。二人の為に、私に使うお金を減らしてあげたかったの」


 レベルの高い公立学校を探していた中で、春乃さんの中学時代の恩師だと言う学年主任の先生からこの学校を紹介されたと言う。


「私は、努力家だから環境的には、ここの環境が合うって。両親も後押ししてくれて。それに、成績優秀者は、学費が無料になる制度もあるじゃないですか」


 成績優秀者には、学費が免除になる。


 ちなみに、僕も高等部に上がる際に、この制度を申し込んだ。


 学費を祖父母が支払うのか、実の両親が支払うのかまだ、わかっていない。実の両親には、頼りになりたくない思いが、強いのと、祖父母に金銭的負担を負って欲しくないのだ。


 その申請は、入学前に通っている。


「学年主任の先生は、いい先生だったんですね」

「うん。勉強法もその先生に教えて貰ったんだ」


 春乃さんは、授業を内容をまとめているノートを開いて見せてくれた。


 まとめ方は、かなりシンプルだった。


「最初は、色も黒を含めて4色位使っていたんだけど、黒を含めて3色までで、黒以外の2色で優劣を付けて、優れている色は、あまり使わずに、劣っている色は、頻繁に使うようにしましょうって」


 参考になる。


 色は使い過ぎると、視覚がどの内容が大事か見分けが付かなくなる。


 そして、黒以外に2色を優劣を付けて使う事で、視覚的に大事な部分も協調させるか。


 参考になる勉強方法だと思う。


「この勉強方法は、有りだな。詩季はどうするんだ?」

「勉強方法は、人それぞれですからね。取り入れる入れないはこれからの判断でしょう」


 春乃さんの勉強方法を聞けたことで、大分、満足だ。


 何なら、春乃さんから聞いた勉強方法が、天才の僕に合っている部分があるのか家で試してみても良いかもしれないと思う。


「おいコラ、そこのバカ瑛太としきやん。勉強オタクを発揮していないで、自分の内容をまとめてよ!」


 奈々さんから注意を受けた。


 のは、いいのだが、しきやん?


 急に変なニックネームを付けられているでは無いか。


「奈々さん、何でしきやんなのですか?」

「直感!ひまりんとしきやん、何かいい組み合わせじゃない?」

「では、陽翔くんはどのようなニックネームなのでしょうか」

「そうだねぇ~~はるるんとかかな?」

「んぐぅ!」


 ニックネーム製造マシーンと化している奈々さんに、はるるんというニックネームを付けられた陽翔くんはむせていた。


「陽翔、汚いよ。でも、はるるんは、可愛いねぇ~~」

「うるさいな、お前だってひまりん――」

「私は、気に入っているけど?」

「うぐっ」


 陽翔くんは、心にダメージを受けたようで、ライフが半分近く削られた様な表情になっている。


「はるるんくん、大丈夫ですか?」

「詩季まで、言うのかよ! ていうか、はるるんに、くんを付けるのは、違和感しか覚えないんだけども!」


 僕からの一言は、陽翔くんのライフの残り4分の1を削ってしまったようだ。


「では、春乃さんはどうですか?」

「う~~ん、はるはるかな!」


 陽翔(はると)春乃(はるの)で、名前のイントネーションが似ている名前だとどうなるのかと思ったが、ニックネーム製造マシーンと化していた奈々さんは、すんなりと思い浮かんだようだ。


「はるはるとはるるん。これもいい組み合わせじゃない?」

「いいニックネームです!」


 どうやら、僕と陽葵さん。陽翔くんと春乃さん。


 組み合わせが良い様にニックネームを付けているように感じる。


 春乃さんも気に入っているようなので、良い事だと思う。


 何だかんだで、奈々さんは、このグループのモチベーター的立ち位置になりつつあるようだ。





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