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237.暴走モード

「おはよう、皆!」


 家に、羽衣がケニーくんを連れてやって来た。


〈詩季さん。おはようございます〉

〈おはよう。日本には慣れました?〉

〈はい〉


 僕の隣に座っている陽葵は初対面の人を前にして、身構えている。


「陽葵ちゃん、今日はパンツスタイルなんだねぇ~~スカートスタイルは、詩季にぃと2人だねぇ~~」

「う、うん」


 隣で、僕の独占力を燻るような会話が繰り広げられている。


〈詩季さん、隣に居る方が……〉

〈僕の彼女の西原陽葵。英語は、単語を知っているだけで会話は苦手だから〉


 僕は立ち上がて、陽葵とケニーの紹介をする。


「陽葵ちゃん。こちら、私の彼氏のケニー」

「は、はじめまして、ケニーと申します。本日は、お会いできたこと嬉しく思います」


 ケニーくんが挨拶をしたので、次はこっちからだ。


〈先ほども紹介しましたが、僕の彼女の陽葵です。性格は、羽衣に似ているので仲良くなれるかと思います〉

〈は、はじめまして……ひ、陽葵です。よろしく、お願いします〉


 陽葵も練習してきたのだろう。


 拙いながらも英語で自己紹介をして、握手をした。


〈アニメを見に行こうか。三宮に行くよ〉

〈う、うん!〉


 アニメと言う単語を聞いた、ケニーくんは楽しみそうな表情になった。


「三宮に行きます。ケニーくんの要望でアニメショップに行きます」

「そ、それさぁ、大丈夫なの?」

「何がですか?」

「白村兄妹……暴走しない?」

「何を言っているのですか?今日は、ケニーくんのおもてなしも兼ねていますからね!安心してください」


 陽葵からは、「本当に大丈夫か?」と言う視線を向けられた。


 家を出て、電車に乗り込んで三宮に向かう。


 ケニーくんは日本の電車にも興味津々で、乗る前と降りた後に、写真を撮っていた。


〈ケニー電車そんなに、好きだったっけ?〉

〈なんと言うか、イギリスの物と全然違うから新鮮で〉


 羽衣もケニーくんの意外な一面を見て驚いているようだった。


〈2人とも手を繋いでもいいのですよ?〉

〈え、で、でも……〉

〈ケニーね、詩季にぃさんと陽葵ちゃんが手を繋がないから遠慮しているの〉


 何処までも遠慮深い性格だなぁと思う。


〈僕と陽葵の場合は僕が杖なので、転けた時に空いている手で受け身を取る為なので、ご遠慮なく〉


 ケニーくんは、おじおじとしながら羽衣と手を繋いだ。


 羽衣は、ドンと来いと言った感じで受け止めていた。


 三宮のセンター街にあるアニメ街に着いた。


 そこには、アニメ好きなら堪らないグッズを置いてあるお店が沢山ある訳です。


 そして、アニオタな僕と羽衣にとっては、ここ最近でも兄妹デートでよく来る場所な訳ですよ。(よく行くので、祖父母もここならOK)


 陽葵と3人で来た時にも、僕と羽衣は、暴走してアニメショップを片っ端から見回るのです。


 今回は、ケニーくんのおもてなしを兼ねているのは理解がしている。


 しかしだ。


 こんなにもアニメグッズが目の前にあったらオタクとしての血が騒ぐというものではないか。


「詩季にぃ」

「そうですね」

「「行くしかねぇ〜〜」」


 オタクの血が騒いでいる、僕と羽衣を止められる者は誰も居ない。


 僕と羽衣は、目の前のアニメショップに入ってグッズ類を見て回る事にする。


「ねぇ〜〜このキャラのぬいぐるみあったけ?」

「新発売じゃない?」

「そうじゃん。書いの候補だぜ!」

「部屋に入るの?」

「いやぁ〜〜これは、スペースの問題ではないぜ、旦那!」

「スペースを作り出すと?」

「そうでっせぇ〜〜」


 僕と羽衣は、アニメグッズに夢中になって見物している。

 後方の何時もは姫なのに怒ると怖い鬼が居るのを忘れて……


「詩季にぃ、これなんて良く――んがあ!」

「変な声出してどうし――いだァい!」


 羽衣は服の襟を引っ張られて、僕は手刀をお見舞いされた。


 その犯人は、僕の最愛の彼女の陽葵だった。


「2人とも夢中になり過ぎ。ケニーくんの観光……なんだよね、詩季?」

「な、なんで、僕だけに矛先が……」

「だって、羽衣ちゃんがケニーくんとなら仕方ないよね?」

「は、はい。すみませんでした」

「陽葵の姉貴、すみませんでしたぁ〜〜」



〇〇〇



 私は、目の前でアニメグッズを見物しているバカ兄妹に呆れている。


 これまでも3人でここに来た際には、周りを忘れて見物をしていた。


 元々、2人が仲良し兄妹なのと同じ趣味を持っているので微笑ましいと見ていた。


 だけと、今日は違う。


 2人ともケニーくんを忘れて自分達の世界に入り込んでいるのが問題なのだ。


 私は慣れているので問題ないが、ケニーくんはどうすれば良いのかと言った表情だ。


〈2人、と、とも、楽しそうだね?〉

「そ、そうですね」


 私は、知っている単語を繋げて何とか意味を繋げようとする。ケニーくんは、日本語で返してくれた。


 バカ兄妹の言う通り、紳士な男の子だと思う。


 このままだと、会話のらちが開かないので、スマホを取り出してマイクに向かって日本語で喋る。


『2人とも自分達の世界に入っているから少し眺めようか』


 ケニーくんに、とある先生が翻訳してくれた英語を見せる。


 ケニーくんも意図を理解してくれたようで、自分のスマホを取りだした。


『2人は、ここに来るとこんな感じなんですか?』

『そう。自分達の世界に入り込むんだよね。まぁ、その姿もかっこいいんだけど』

『解る。今の羽衣、物凄く楽しそうに見えるよ』

『そろそろ、2人を止めに行ってくるは』


 私は、暴走を止めない2人を止めに入ったのだった。


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