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232.ドッキリ

お話内の〈〉部分は、英語で話している部分です!!

「ケニーはねぇ、たまに天然な所があってね――」


 昼食を食べ終えて、ケニー一家がここに来るのを待っている。


 そして、羽衣はケニーがどんな男の子かを昼食の時から布教のごとく僕に説明してきている。


「羽衣」

「なに?」

「さっきも聞いた」

「何度も伝えたくてね」


 多分、ソワソワを隠したいのだろう。


 ケニー一家が乗っている飛行機は、予定通りに着陸したみたいだ。後は、入国審査を待つのみだ。


「ちょっと、疲れたから椅子に座る」


 丁度、一席椅子が空いたのでそこに座る。


 羽衣と母さんは僕の近くで、到着を待つ。


〈ケニー、こっち!〉


 羽衣が、英語でケニーくんを呼んだ。


 視線の先には、まだ幼さが残っている金髪の男の子が片手で、羽衣に手を振っていた。


〈久しぶり!〉

〈会いたかったよ、羽衣〉


 羽衣とケニーくんは、ハグして再会を喜んでいた。


 母さんは、ケニーくんのお母さんとハグして再会を喜んでいた。


 ケニーくんのお母さんは、長い髪が清楚感を引き立てている凛々しい女性で、お父さんは物静かな印象を抱く。


〈みんな、どう?元気にしている?〉

〈元気だよ。羽衣との写真を撮ってきてって言われてる〉

〈そうなんだぁ~~また、皆とも会いたいなぁ~~〉


 積もる話があるのも解るのだが、少しばかり羽衣の声が大きい。母さんもケニー母とのお話で気づいていない。


 僕は立ち上がって、羽衣の背後に移動する。


 ケニーくんとのお話に夢中な羽衣は、僕が背後に移動している事に気が付いていない。


 ケニーくんは、僕の存在に気が付いたようだ。僕は、羽衣にバレないようにケニーくんに対して指でシーポーズで伝える。


 僕は、左手で手刀の構えをした。


〈詩季にぃも出迎えに来てくれていてね――イダァァ!〉


 天下の宝刀の手刀を羽衣に、お見舞いした。


 突然、変な声をあげた羽衣にケニー一家と母さんが注目した後に、僕に注目が集まった。


「羽衣、声が大きいよ」

「だからって、手刀する必要ないじゃん。ケニーの前で変な声出たじゃん」

「知らん。母さん通訳して」


 母さんは、僕が英語を話せるのに通訳をお願いしたことに不思議に思ったようだが、聞き返すこともなく通訳をしてくれた。


「ケニーくん。うるさい妹を黙らすには、手刀が一番ですよ」

〈ケニーくん。うるさい妹を黙らすには、手刀が一番ですよ〉

〈お、おぉ……しずかさん、もしかして羽衣のお兄さんですか?〉


 ケニーくんは、突然、自分の彼女を手刀した男に羽衣と母さんが敵視しない事で僕を兄だと認識したようだ。


〈そうだよ。私の息子の白村詩季〉


 僕は、英語での会話が解りませんと演技をした。すると、ケニーくんは、緊張した面持ちになった。


「は、はじめ、はじめまして、羽衣さんとお付き合いさせて貰っていますケニー=ブラットと言います。よろしく、お願いします」

 

 ケニーくんは、沢山、練習したという日本語で自己紹介をしてくれた。

 そひて、僕はその自己紹介に対してこう返す。


〈初めまして。愚妹の兄の白村詩季と言います〉

〈え、英語?!〉


 僕からの英語の自己紹介に対して、ケニーくんはもちろんだが、ケニーくんの両親も驚いていた。


〈ケニー一家の日本滞在が、いい思い出になるように、協力させて頂きたいと思います〉

〈う、羽衣。お兄さん、英語流暢に喋ってんだけど?!〉

〈し、しずか?!詩季くんも英語喋れるの?!〉


 ケニーくんとケニー母は、驚いたようで英語で羽衣と母さんに尋ねていた。


 面白い。


 最初はケニーくんだけをターゲットにしていたが、ケニー母までも驚いてくれるとは、ドッキリのしがいがあるものだ。


〈ケニー。詩季にぃさんは、喋るだけでなく聞き取りも出来るよ。まぁ、英語で話す事は、難なく出来るからこれまでの会話も理解しているよ〉

〈そ、そうなんですか?〉

〈うん〉


 ケニーくんの顔からは、緊張の色が消えている。


 これでいいと思う。


 緊張して会うよりかは、素のケニーくんを見てみたいと思うから。


〈羽衣に、英会話のいろはを叩き込んだのは詩季だからね〉

〈凄いですね。てっきり、日本に残っていたから英語が話せないのかと思っていました〉

〈まぁそこは家の問題なので、深く詮索はしないで貰いたい〉

〈す、すまない〉


 イギリスでは、家族ぐるみの付き合いがあったそうだが、日本に居る間は、家族に関すること、特に、父親に対する事に関しては触れてくれるなと警告を出している。


〈じゃ家に行こうか〉


 ケニー一家は日本に居る間は、母さんの住んでいる家に泊まる事になっているようだ。


 とりあえず、車で母さんの家に荷物を置いてから6人で観光する予定だ。


 車には、運転席に母さん。助手席にケニー母。真ん中の席に、僕と羽衣。後部座席に、ケニーくんとケニー父が座った。


「ケニーくんの隣じゃなくていいの?」

「詩季にぃさんのお世話をしないとじゃん?」

「あんがと」

「いぇいぇ、愚妹と言われようと、切なくお世話をする私可愛いなぁ〜〜」

「しばき倒していい?愚妹?」

「また、言ったなぁ〜〜アダッ!」

「先手必勝!」


 羽衣に、先制手刀からの羽衣からほっぺを引っ張られる痴話喧嘩?をしている。


〈2人とも仲良しですね〉

〈そうだね。兄妹じゃなかったらカップルに見てるぐらい仲がいいよ〉

〈本当に、カップルみたいね〉

〈まぁ、大人の事情で年単位で引き離しちゃったからその分の反動も来ていると思う。元々、お兄ちゃん子だったから羽衣は〉


 運転席と助手席では、そんな会話がされていた。


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